NEWSLETTER FROM ON READING 2025.11.28
はい、この週末でTEMPORAもいよいよクローズです。始まってしまってからは、本当にあっという間。準備していたころが遠い昔のようです。もちろん色々と不慣れでご迷惑をおかけしてしまったところもあったと思いますが、それでも今、やれることをちゃんとやり切れた。そんなお店だったと思います。国際芸術祭「あいち2025」も残り2日間。ぜひご来場ください。そして、ON READINGの福士遥さんの展示もぜひ見ていただきたい。こちらは展示は明日11/29(土)まで。オンラインでの作品販売は11/30日までとなります。よろしくお願いいたします!(義)
NEWS
あと2日!
国際芸術祭「あいち2025」の開催にあわせ9月13日(金)より2ヶ月半の期間限定でオープンしているTEMPORAも、いよいよあと2日で閉店となりました。いや~~過ぎてしまえば本当にあっという間でしたね!毎週のように通って下さっていた方や、展示が変わる度、お弁当やPOP UPイベントの度にご来店下さる方もいて、短い間ながら皆さんの日常のお店になれたことがとても嬉しいです。もちろん、芸術祭の前後でお立ち寄りくださって「本の見え方が変わった」とか「ざわざわした心が落ち着いた」といった声もいただき、芸術祭とともにあるミュージアムショップとしての役割も多少なりとも果たせたのかな、と思います。
最後の2日間はいつもより1時間だけ営業時間を延長いたします。
時間いっぱいまで展示会場にいても間に合いますので、是非お立ち寄りください。
また、最終日の11月30日(日)は、先日もPOP UPイベントをしてくださったMAQUETTEさんが再び来て下さって、オリジナルブレンドコーヒー“TEMPORAブレンド”をふるまってくださいますよ~!
TEMPORA(テンポラ)
2025年9月13日~11月30日
定休日:月曜(祝日の場合は営業、翌日休)
愛知県芸術文化センター地下二階(名古屋市東区東桜1丁目13−2)
地下鉄栄駅・オアシス21から直結
【TEMPORA EXHIBITION-04】“A Petal of Life”YUKO KAN Exhibition
2025年11月11日(火)~11月30日(日)
TEMPORAの最後の展示を飾るのは菅祐子さんです!
過去最大の作品も展示しております。展示作品はすべて販売しております。早いもの勝ちですよ~!ーーー
家の庭や屋外の作業場にはたくさんの虫やいきものたちがやってきます。虫に興味を持ち始めた息子のおかげで私も彼らの存在を以前より愛おしく感じるようになりました。ブーブー大きな蜂の羽音、光の中で踊る蝶、真夜中の透明な蝉の羽化、オケラやカエルの大合唱。小さないのちたちが大きな花のように広がってこの世界を彩っています。(菅 祐子)
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菅祐子 Yuko Kan
1981年京都生まれ。多摩美術大学大学院美術研究科版画専攻修了。木版画の様々な技法を用いながら、独自の世界を表現する。2016年より木彫刻の制作を始め、2020年からは岐阜県・多治見市に拠点を移し陶作品にも取り組んでいる。
@yuko_kan
今年もTOKYO ART BOOK FAIRに出展します!
nakabanさんの作品集『In Modest Blue』(ELVIS PRESS)のお披露目も兼ねております。
我々は、WEEK1のENTRANCE FLOOR(1F)のブースです。ぜひお立ち寄りください。
TOKYO ART BOOK FAIR 2025
※入場にはチケットが必要です。
チケット・詳細:https://tokyoartbookfair.com/
Week 1
12月11日(木)12:00-19:00 最終入場時間:18:30
12月12日(金)- 14日(日)11:00-18:00 最終入場時間:17:30
Week 2
12月19日(金)12:00-19:00 最終入場時間:18:30
12月20日(土)- 21日(日)11:00-18:00 最終入場時間:17:30
会場:東京都現代美術館 企画展示室B2F、エントランスホール ほか
住所:〒135-0022 東京都江東区三好4-1-1
公式サイト:https://tokyoartbookfair.com/
入場料:オンラインチケット(日時指定)一般1,000円+発行手数料165円(税込)*小学生以下無料
※当日券1,200円(販売は各日16時まで/予定数に達した場合はその時点で終了)
※一部のイベントには別途参加費が必要です。
EVENT
トークイベント:「読む生活・書く生活・喋る生活」青木真兵、柿内正午
日程:2025年12月27日(土)
時間: 開場 18:30 開演 19:00~
参加費:1,500円(500円分お買い物券付)
定員:20名(要予約)
予約:https://onreading.jp/event/yomu2025/
奈良県東吉野村で私設図書館「ルチャ・リブロ」を運営し、『手づくりのアジール「土着の知」が生まれるところ』や『つくる人になるために: 若き建築家と思想家の往復書簡』などの著者でもある青木真兵さんと、『プルーストを読む生活』(祝重版!)、『会社員の哲学 増補版』などの著者、柿内正午さんによる当店恒例のトークイベント。
今回は、今年の10月にH.A.Bより出版された『山學ノオト6(二〇二四)』、ポプラ社より11月に刊行されたばかりの『古代文字を解読していたら、研究に取り憑かれた話』の刊行を記念しての開催。
読むこと、書くこと、喋ること。今年の様々な話題を振り返りつつ、二人が考えてきた/いることを、いつものように縦横無尽におしゃべりいただきます。ポッドキャスト論も展開されるとかされないとか。。。ぜひお楽しみください。
入荷情報 PICK UP
・もうしばらくは早歩き / くどうれいん
短歌から小説まで、言葉と心を通わせてきた書き手が贈る、一歩ふみ出すエッセイ集。今回は「移動」がテーマ。初回入荷分はサイン入り&ステッカー付です。店頭にて。
・本が繋ぐ / 木村綾子
本に真っ向から真摯に向き合い、長年に渡り本にまつわる文章を綴ってきたコトゴトブックス・木村綾子によるエッセイ集。一度でも本に救われた経験のある全ての人におくる、暮らしと本を巡る物語。
・USO 7 / 野口理恵、畑中章宏、若林恵、のもとしゅうへい、pha ほか
文章、漫画、写真から成る、「嘘」をテーマにしたきわめて私的な文芸誌『USO』。漫画家や文筆家、歌人など、さまざまなジャンルで活躍する人たちが、これまでついてきた「嘘」をテーマにエッセイを寄稿しています。今回の特集は「恋」。
・石と桃 / Kazuhei Kimura 木村和平
多岐にわたり活躍中の写真家、木村和平による最新写真集が入荷しました。本作は、ものの大小や遠近が現実と異なって見えたり、色覚・時間感覚に異常をきたすなど様々な症状が現れる「不思議の国のアリス症候群」という症状から着想を得て、長期間にわたり取り組んでいる作品シリーズをまとめた1冊。
・THE ARCHIVES / Wes Anderson
アメリカ人映画監督、ウェス・アンダーソンの作品集。本書は作者の30年以上の映画活動の功績を称える一冊である。キャリアの初期から収集してきた、ノート、ドローイング、絵画、ポラロイド、小道具、人形、セット、衣装など、作品にまつわる豊かな資料を収録。
・AFTER PRIMAL [SIGNED] / 横浪修 Osamu Yokonami
日本人写真家・横浪修による作品集。移ろう空の下、肩と顎のあいだに果物を挟むというシンプルな行為は、「ただ在ること」を示す詩的なメタファーとして機能する。5年を経て再び向き合った被写体には、無垢な自然さの奥に、自我の輪郭がわずかに立ち上がる変化が見える。果物と肌、空と肩、本能と意思のあいだに漂う、かすかな移行の瞬間を捉えた一冊。
・SÜÜ / Taemin Ha
韓国人写真家テミン・ハによる、モンゴルの遊牧民の日常を子どもたちの肖像と四季の風景から描いた作品集。家族と過ごした時間の中で捉えた自由で自然と結びついた姿に、移ろう光が寄り添う。モンゴル人詩人の詩が全編に織り込まれ、言葉と像が響き合う親密な一冊。
・CLIN D'ŒIL / Cécile Poimbœuf-Koizumi & Stephen Ellcock
芸術における「目」をモチーフにした作品に焦点を当てた作品集。見る・見つめる・発見する、あるいはただ観察することを可能にする小さな器官、すなわち「目」の多様な姿を、時代と表象史を横断するよう網羅する。
・日めくりジャズ365 2026年版 / ジャズ録音日調査委員会・編
毎日一枚ずつジャズのレコードを紹介する日めくりカレンダー。掲載のレコードはすべてその日付に録音されたものです。
RECOMMEND BOOK !
いつしかわたしたちは、プリントの物質的な質以上に、そこに眠る物語に強く惹かれるようになったのです。人知れず失われつつある物語をもう一度見つけ出す。その方法を洗練させ続けることこそ、わたしたちの営為の中心にあります。(ティモシー・プラス)
黒鳥社が編集・制作を担当する、「自律協働社会」という社会像を手がかりに、これからの社会を考える上で重要な指針となりうるテーマやキーワードを拾いあげ、探究・発信するマガジン『WORKSIGHT』。
今号のテーマは「アーカイブする?」。いつも、テーマチョイスが“いま”の関心にぴったりなんですよね~!
のこすもの、のこってしまうもの。忘れたい、忘れたくない。
情報の渦に飲まれながらほとんどのことを忘れていってしまう私たちは、「アーカイブ」という行為とどう向き合うことができるのだろうか。
「記録」「保存」「継承」といった人類が続けてきたこの行為を、企業・文化・アート・哲学の観点から多面的に見つめ直します。
ロンドンにある世界有数の個人アーカイブ〈アーカイブ・オブ・モダン・コンフリクト〉があつめてきた戦争や社会の断片、本誌の発行元であるコクヨの社史を個人の人生からまとめ直すプロジェクト「コクヨの生活社史」では社会学者・岸政彦さんも登場します。建築・デザイン事務所スノヘッタによる“人と知が出会う風景”としての図書館設計、ヤマハ・川島織物セルコン・ポーラ文化研究所に見る企業アーカイブの現在・・・
他にも、作家・円城塔、人類学者・ティム・インゴルド、漫画家・今日マチ子らによる「アーカイブの哲学」では、記憶と想像、身体と記録のあいだをめぐる思索を展開。情報学者・山田奨治が読み解くデジタル時代の知の共有と著作権の課題、メディア美学者・武邑光裕が論じる「記憶の時代」の新たな文化の姿など、アーカイブをとりまく議論を多層的に掘り下げます。
枝葉末節な日々
今週の担当:(杏)
11/21(金) 夕方、ゆいちゃんと交代してTEMPORAへ。品出しをしたり接客をしたり、明日からの最後のPOP UPウィークの準備をしたり。TEMPORAには常時スタッフがいてくれるので、私たちはシフトに入っていない。いつも午前中の1時間ちょっとだけ、せわしなく用事だけ済ませてあとはスタッフにお任せになってしまう。けれど本当は、皆と一緒にわいわい働きたかった。今日は夕方からNさんと一緒にレジに入ったりして、つかの間、TEMPORAのスタッフができて楽しい。ラーニングの仕事で来ていた野田ちゃんが閉店間際にすべりこみ。明日は、中高生の新聞記者たちに「アートマネージャー」という仕事について話すらしく、予定しているスライドを見せてもらいつつ聞かせてもらう。アートの面白さを知ったきっかけや、アーティストともキュレーターとも違う在り方でアートと社会をつなぐという仕事についてなど、はじめて聞く話も多くてめちゃ面白かった。
一見なんでもないガラスの玉が、受け手次第でアートにも障害物にもなり得る。何かを見て、きれいだな、いいな、という心のゆらぎ、そうした「アート」的な感覚を「マネジメント」(飼いならす、と野田ちゃんは表現した)するということは、本来誰もが持っている能力であり、育てることができる技術である。芸術を社会の中に価値づける裏方的な職業としてのイメージがある「アートマネジメント」という言葉を、広く身近にひらかれたものとして位置づけしていて、なんというか、感動した。漠然とアートに憧れて、学芸員資格やらアートナビゲーター検定やらをとっていた10代の頃に、こんな講義がきけたらよかったな。TEMPORAのおかげで、まるで同僚のように野田ちゃんとちょくちょく会えるのが嬉しい。いつだってハードな状況にいるのに大きなふところで関わる人をハグしてまわるような人。いつもそうはできないけど、すくなくとも、そうあろうとしている人。私はいつも、励まされている。今日は、母が郡上から芸術祭を見に来ている。夕飯も作ってくれた。なんてありがたいんだろう。おでん、味噌汁、マッシュポテト、野菜いため。
11/22(土) 朝、ウィンナー、卵やき、マッシュポテト、ごはん。TEMPORAは、好学茶会と菓子屋おむすびのPOP UPイベント。あすかさんがオリジナルで作った薄茶「OUSU」とつい先日リリースされたばかりのお茶をもっと楽しむための本『好学茶道』のお披露目も兼ねている。今日のため、TEMPORAには畳を敷いた。トップに鰹節がゆらいでいる不思議なお饅頭と不思議とさっぱりとしたお茶。とってもおいしくて、不思議と朝食にぴったりだった。ON READINGでの私のTO DOは、月末の経理と、中区のプロジェクトと、明日発売の芸術祭の公式カタログの予約分の発送準備…。何も終わっていないのに、今やらなければならないことがどんどん目の前に積まれていって、一回パニックになった。たまらずよっさんに「何からやればいい?」と内線。もちろん、よっさんはそんなこと知ったこっちゃない。彼は彼で、別の山盛りのタスクを抱えているのだ。閉店後、再び愛知に来ている是恒さくらさんとごはん。久々の東北大冷麺へ。芸術祭にあわせて刊行した『ありふれたくじら』、とにかくTEMPORAで大ヒットしている。同じ芸文センターの8階で展示している是恒さんの大規模なインスタレーションは、今回芸術祭を観た人の感想でも多く言及されている作品。高い天井の大きな部屋を悠然とおよぐ、布でできたくじら。足元には、鯨の骨格のかたちに、骨や土管、塩などが配置されている。常滑の土管産業とくじらの繋がりが、地理的にも時間的にも長く広く大きくひろがっている。作品が来場者の心に強く印象つけられているから、本を手に取ってもらえているのだ。是恒さんはどこまでも深く広く、好奇心と探求心が止まらない。是恒さんが2016年からつくっているリトルプレス『ありふれたくじら』は、私たちもそうであるように、いくつかの書店で扱っていて、多くの人に愛されている。「リトルプレスで是恒さんを知って、今回初めて作品を観ました~」という声も多くて、本は、ちゃんと遠くまで届いているんだなと思う。合本版は、部数も増えているし、日英バイリンガルでつくっているので、より遠くへより多くの人へ届くといい。
11/23(日) TEMPORAはbabkaのPOP UPイベント。本山のカレー屋babooshkaに、時折あらわれるチャイとホットビスケットのお店。唯一無二のカレーをつくるSさんなので、babkaを始める時もこだわりにこだわっていた。私たちも何度も試作を食べさせてもらったけど、久々のbabkaは数種類の味にも展開していて進化がすごかった。チャイをテイクアウトして飲みながらON READINGへ移動。スパイスが凄くて、カッカしてきた。語弊はあるがほとんどカレー。夕方からは星が丘三越にて、インドの出版社タラブックスのドキュメンタリー映画の上映&トークイベント。タラブックスで『つなみ』日本語版を作った三輪舎の中岡さん、映画監督の山根さんとよっさんが登壇。「世界一美しい本」と名高いタラブックスの本を作っている若き職人たちのめっちゃリアルな日常がおさめられているのだそう。よっさんが店に帰ってきて気がゆるんだのか、閉店後、頭痛が大爆発。もう無理。「夕飯作れない~~」と言うと、よっさんはピザを買ってきた。「あっさりめのを選んだよ」というが、ピザなのでね…。いろんな種類があるようだけど、どれを食べても同じ味がする。数枚食べてダウン。
11/24(月) 朝、昨日の残りのピザ。今日のTEMPORAはマケットさんのPOP UPイベント。中区のプロジェクトでは、無事に参加者全員からエッセイが届いて、少しずつお返事をしている。文章の技術的な部分ではなく、今回のプロジェクトとして「こうあってほしい」が自分の中に根強くあることに気づいてしまう。けれど、コントロールしたいわけでも、私好みのエッセイ集をつくりたいわけでもない。書くということ、思い出すということ、そうした営みと、向き合う時間が重要なのだから。ちょうど、話したいな~と思っていたタイミングで、春日井市で自分史の企画を担当している山川さんがご来店。今、考えていることや、編集という立場の難しさなどについて話す。私が「できれば出てきたものをそのまま受けとめたい。そういうことをしたいわけではない」というと「でも、やるしかないよね!」とズバリ。目が覚めた。今回のプロジェクトは、運営サイドも参加者も、全員にとってはじめての試みだから、やってみて初めてわかることばかり。だから逡巡しながら、でも、やるしかない。
夜、ピザの残り。母のマッシュポテトとウィンナーでグラタン風に。
11/25(火) 朝、babkaのホットビスケット。美容院でかかっていた曲がよくて、これなんですか?と聞いたら来年公開のジャームッシュの新作のサントラだった。最近、映画のサントラが好きでよく聴くようになった。『オールド・ジョイ』のYo La Tengo、『私たちが光と思うものすべて』のTopshe、長いあいだマイベストサントラだった『ひかりのまち』のマイケル・ナイマン。サントラを聴くかぎり、ジャームッシュの新作もよさそうで楽しみだ。アダム・ドライバーらしいし。よっさんは10年くらい自分で髪の毛を切っている。私は後ろ髪を担当しているが、最近こだわるようになってきて時間がかかるようになった。風呂場で裸になって暖かいシャワーを足にあてながらやっている、という話をしたら、使い古したケープをくれた。「これで寒くないね」とKさん。
栄に移動して、まだ見れていなかった芸文センターの展示を見る。8階のラーニングセンターへたちに行ったら、ラーニングボランティアの皆さんの活動の記録が。発案から結果までが貼りだされていて面白い。その中に、へたちのライブラリーを作ったメンバーのボードがあって、企画案の欄に「テンポラさんと連携」と書いてあって、ほろっとする。結局、直接的にはなにもできなかったけど、本を通じて芸術祭と向き合ったのは私たちも同じだから、お話してみたかったな。このところ、幾度となく、1年くらいあったらな、と思わないではなかった。読書会も編み会もしたかったし、せめてあと3か月でもあったら。TEMPORAという場所の可能性はやるにつけどんどん拡大していっていた。2か月半はお店としてはまだまだ生まれたてのひよっこなのだ。けれど、今、できなかったことはまたいつか違う形でできるときがくるはず。それを私は、もう知っている。
毎週楽しみにしている、内沼晋太郎さんのポッドキャスト「本の惑星」で、「ポップアップと祝祭 みんなでつくる第四の本屋はひろまるか」と題し、芸術祭とTEMPORAの話をかなりがっつり話してくれていた。店というのは、作り手と受け手の影響が混在しているということもあって、批評の対象になりづらいもの。こうして、今、現在進行形で起きているものごとに対しいち早く反応して、メタ的な視点で捉えてもらえたのはとてもありがたい。自分たちでも、TEMPORAというこの試みが「どういうこと」なのかは、ずっと考えている。そういえば、オープン直後に来てくれた、ORDINARY BOOKSの三條さんも先日、関西のブックフェアに「TEMPORAで参加してもらうというのも面白いかも」と言っていて、それそれ!と思った。この時、この場所でのTEMPORAは終わるけど、”一時的な仮設のお店”という概念は、この先もなくはないよな~~と思っている。すくなくとも妄想できるのは楽しい。夜、白菜と鶏肉のあごだし鍋。
11/26(水) 朝、SUNのトースト、かき、キウイ、バナナ、ヨーグルト。テレビをつけたら『あさイチ』で、首のストレッチの特集だった。日曜に爆発してからこっち、なかなか頭痛が治らない。さっそくテレビに倣いながらストレッチをする。ちょっと楽になったような。ON READINGにデザイナーの伊藤さんがご来店。伊藤さんは今回、芸術祭に関連する多くのデザインを担当された。今年はまるっと休みなく芸術祭のことにかかりっきりだったという。特に23日に発売になった公式カタログに関しては、芸術祭の会期中に発行されたのはなんと10年ぶりとのこと。秘仏か。もちろん、開幕後しかできない作業の多い展覧会図録の制作は、時間との勝負。想像するだにハイスピードで取り組まれたのだろうと思う。この秋の頑張りをお互いに労い合う。いや、お互い、がんばりましたね。かけぬけたね。よくやったよほんとに。
仕事が終わらないので今日は残業をすると決めて、閉店後ガストで「名店の味再び!博多明太もつ鍋」。これは数年前、プロローグのSくんに「けっこうおいしいですよ~」とお勧めされて以来気に入って、毎年食べている。やっぱり、けっこう美味しい。23時すぎまで仕事をして帰宅。
11/27(木) 朝、マケットさんからいただいたユヌクレのシュトーレンを一切れ。ON READING開店直前に、画家の湯浅景子さんから「ガストの駐車場まで来て~!」とLINEがくる。走って降りていくと、大きな3枚のパネルに描かれた大きな大きな金色の花が光っていた。「頑張ってるふたりに、最初に見てほしくて」と景子さん。金箔を削って貼って、また削って、途方もない作業の果てにさいた一輪の花。それ自体が発光しているかのように、きらきらと眩しい。
開店直後、スーチェさんが来てくれた。スーチェさんはTEMPORAの会期中に3回、素晴らしいクッキー缶を作ってくれた。びっしり入っているクッキーは、ふたを開けるたびにときめく。最近、公開している日記をいつも楽しく読んでいて、書くのがすきな方なんだろうな、と思っていた。わちゃわちゃしている日常を、わちゃわちゃしているスピードとグルーヴのままに書くのって案外難しいこと。スーチェさんのつくるお菓子は、どことなくクラシカルで風格のあるものだから、そのギャップが最高に楽しい。つい数日前にあげていた「日記を書くことの効用」について話す。私はどうだろう、書いて整理できるとか、アウトプットしている、というよりも、書いているあいだ、もう一回、体験したことをあじわいなおしているような、その時間そのものが面白くて仕方ない。週に一度、自らで決めた〆切に苦しめられて焦って書いているので、思う存分というわけにはいかないが。書いているという時間自体に、救われているところはあると思う。
夜、Mさんがご来店。Mさんは栄付近で働いていて、TEMPORAには毎週金曜に通ってくれていたのだそう。「仕事に行くのが嫌だな、と思っても、今日はTEMPORAに行けるからと思って家を出ていました。来月からどうしたらよいか」とお話くださって、なんてこったい、と思う。たった2ヶ月半なのに、もう日常にするりと入り込んで。さみしいですね、という言葉は私のそれよりも重かった。お客さんも友人も、会う人会う人「もう終わりだね~頑張ったね~」と声をかけてくれる。そのたびに、じーんとする。いつもはつい口から出てしまう謙遜も出ないくらいには、よくやったな、と思っている。いよいよあと3日でおしまい。多分ここから3日間、こんなことばっかだろうな。祭りのおわり。夜、中途半端に一人前だけのこっていたあごだし鍋のもとで、白菜と大根菜と鶏肉の雑炊。キムチ。
EXHIBITION INFORMATION
2025年11月15日(土) ~ 11月29日(土) ON READING GALLERY
福士遥 個展『みちて、ひいて』
オンライン販売は11月30日(日)スタートしました! 全員見て!
光と闇、喜びと悲しみ、夢と現実。相反するものたちのなかを行き来しながら、繰り返される日々。その大きな流れの中で、バランスを取ろうと漂う自分。色や形の明るさの奥に潜む小さな影や、滲む稜線の中に浮かぶ遠い記憶を感じていただけたら嬉しいです。
福士 遥 / FUKUSHI HARUKA主にパート・ド・ヴェールという技法を使い、ガラス素材を電気炉で成形して作品づくりをしています。ガラスの粒が溶ける時に空気を抱き込んでできる質感は、やわらかく、独特の光をたたえていて、その様子は、曖昧だけど親しい、記憶のなかの光景とよく似ていると思います。 フォルムの中に絵を描くような意識で、くらしや壁面をいろどる作品の制作を行っています。
2025年12月19日(金) ~ 2026年1月12日(月祝) ON READING GALLERY
nakaban Exhibition『In Modest Blue』
画家、nakabanによる作品集『In Modest Blue』(ELVIS PRESS)の刊行記念展を開催します。作品集、めちゃくちゃ良いものになります。こうご期待!本山のbabooshkaさんでも展覧会を同時開催します。
nakaban なかばん
画家|1974年広島県生まれ。広島県在住。旅と記憶を主題に絵を描く。絵画作品を中心に、印刷物の挿絵、映像作品を発表する傍ら、音楽家のトウヤマタケオと『ランテルナムジカ』を結成し、音楽と幻燈で全国を旅する。2013年には新潮社「とんぼの本」のロゴマークを制作。数多くの絵本を制作する絵本作家でもある。
https://www.nakaban.com
♪ Now Listening
PANTILDE / THE WORM
イギリスの音楽家エイミー・ローレンスによるプロジェクト、The Worm。アシッドで幽玄なアヴァンギャルド・フォーク。
今週はこのあたりで。
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