NEWSLETTER FROM ON READING 2026.01.30

名古屋のbookshop & gallery ON READINGから、週に一度のニュースレターをお届けします。
ON READING 2026.01.30
誰でも

こんにちは、ON READINGの黒田義隆(義)と黒田杏子(杏)です。突然の選挙ですね。なぜ今こんなときに…と思うことは多々あれど、自分の考えをまとめたり、意思を表明できる機会だととらえて淡々とやっていくしかないですよね。私はどう考えたって戦争がおそろしい。人が人をないがしろにすることを許す国ではあってほしくない、と思っています。(杏)

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入荷情報 PICK UP

【サイン本】そいつはほんとに敵なのか / 碇雪恵
『35歳からの反抗期入門』で注目を集める碇雪恵による〈喧嘩入門エッセイ〉集。キレる他人や分断、すれ違う関係から逃げず、生身で向き合うための思考と実践を14編収録。SNSを捨て、“合わない人”と生きる道を探る一冊。

お金信仰さようなら / ヤマザキOKコンピュータ
『くそつまらない未来を変えられるかもしれない投資の話』で話題をさらった、投資家でパンクスのヤマザキOKコンピュータによる最新作。 お金信仰が終わったあとの時代で、何を指針に生きるのか?まだ名前の付いてない、新たな時代へと突き進む私たちのための入門書。

Spectator スペクテイター 55号 特集:にっぽんの漂泊民
ひとつのジャンルにとらわれず、地球上のあらゆる場所へ足を運び、綿密な取材をして得た体験、真実を、飾らない言葉で自由に表現する雑誌、スペクテイター。今号は「にっぽんの漂泊民」特集。定住を拒み自由に生きた人々の歴史を辿り、管理が進む現代における〈漂泊〉の意味と、失われた精神の根源に迫る。

無理して頑張らなくても / チェ・ウニョン(著)、古川綾子(訳)
当店でもロングセラーとなっている『ショウコの微笑』や『わたしに無害なひと』で知られる注目の韓国人作家、チェ・ウニョンによる短編小説集。誰もが知るほろ苦い感情を掬いあげ、それぞれが抱える傷み、苦しみにやさしく寄り添う珠玉の十四篇。  

いきなり知らない土地に新築を建てたい / 徳谷柿次郎
全国47都道府県を行脚する作家/編集者・徳谷柿次郎が綴った、豪雪地帯の長野県信濃町に移り住んで、畑を耕して、集落の草刈り、除雪の世界に身を投じ、大型犬のラブラドールレトリバーを飼って、最愛の娘が産まれた“とある一年”の実践的な記録。

遊戯[完全版] / 我是白(ウォシバイ)
中国で人気のカートゥニスト/イラストレーター、我是白(WOSHIBAI)のデビュー作「遊戯」。無口でシュールな現代チャイナコミックスの傑作、完全版で日本初上陸。掌編サイレント・ショートストーリーを720Pに及ぶ大ボリュームで収録。特別付録「WOSHIBAIへの100の質問」も封入。  

Alone Together / 天野裕氏
30歳で写真を撮り始めていきなり大きな写真賞を獲得しながら、展覧会や写真集といった発表の場に背を向け、元カノにもらった軽自動車で寝泊まりしながら全国を走り回り、SNS 上で日時と場所を指定して、やってきた客から見料として1冊千円を取り一対一自身の写真集を見せる、独自の撮影〜発表行為「鋭漂」を続けてきた天野裕氏による初の大型個人作品集。

Dora, Yerkwood, Walker County, Alabama / Fumi Nagasaka
ニューヨーク拠点の写真家・長坂フミによる写真集。2016年の米大統領選を機に、アラバマ州ドーラの小さな町へ通って撮影した作品群。外から来た写真家のまなざしが、もう一つの「故郷」と出会っていく過程を静かに映し出している。めちゃくちゃよいです。

Fruiting Bodies / Ying Ang
オーストラリア・メルボルンを拠点に活動するアーティスト、Ying Ang(イン・アン)による写真集『Fruiting Bodies』。本書は、キノコという存在を通して、女性の身体や「豊穣性(フェルティリティ)」の意味をあらためて問い直す作品。  

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RECOMMEND BOOK !

意見が違っても、それぞれの背景を話すことができて、それを聞くことさえできればいいのかもしれない。意見の違いがそのまま断絶を意味するわけではない。冷静に考えれば、身近な人たちともすべての意見が一致するわけはないのだ。(中略)れおさんが最後に言った「違うところを探すよりも、同じところを探したほうが楽しい」という言葉は、他人に対する防衛を解くヒントになるかもしれない。楽しいほうが絶対にいい。

碇雪恵『そいつはほんとに敵なのか』(hayaoki books)より

め~っちゃ面白かった!ぐんぐん一気に読みました!

ZINE『35歳からの反抗期入門』が当店でもロングセラーとなっている注目の書き手・碇雪恵による、現代人必読の〈喧嘩入門エッセイ〉集。

…と言うものの、血気盛んに手当たり次第に怒りをぶちまけたりするような本では、もちろんありません。

駅でキレているおじさん、写真を撮りまくる観光客、理解できない政党と支持者、疎遠になった友だち、時にすれ違う家族や恋人……。

日常のなかのふとしたことや、勝手なイメージで反射的に「苦手!嫌!」=「敵」と決めつけて遠ざけてしまっていた人たち。(…いますよね…)SNSではなく生身の体でかれらと出会い直し、逃げずにコミュニケーションをとりたい。そのことを、喧嘩、とよんでいるのです。

むしろ私は、愛だな、と思いました。

過剰に防衛してしまう自分と出会いなおし、早急に分類して遠ざけてしまっていた他者と出会いなおす。

私たちはきっと、生身同士でなら”おとなりさん”として対話をすることができるのだ。

新宿ゴールデン街のバーの客と、路上で見かけた困っていそうな人と、5年ぶりにできたパートナーと。憎みかけた「そいつ」と共に生きていくための思考と実践の記録をまとめた14編を収録。

なにより「自分が支持しない政党に投票した人に会いに行く」がすごい。私も碇さんと同じく、前回の参院選後のゲンロンのYouTubeに衝撃を受けた一人だし、以降はなるべくいろんな人と、対面で政治についておしゃべりしよう、と心がけてはいるけど、こんな真正面にはやっぱりできない。れおさんへのインタビュー、そしてその後の碇さんの変化、最後の「誰かを敵にしない、誰とも戦わないという意思を持つことが、じつは何より強いことなんじゃないか」という言葉には、ぶんぶんうなずきながら読みました。

(早速、おそらく投票先が違うだろう人とゆっくり政治の話をしました。互いが許せないこと、重視していることが違うから考えが変わったりはしないけど、勉強になったし、なにより率直に話せることがうれしかった。引用部分の言葉を実感しています。)

初回入荷分はサイン入り&特典ペーパー『そいつはほんとに敵なのか考えるための映画と本』(最高)が付いています!

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枝葉末節な日々

今週の担当:(義)

1/23(金) 朝ごはんは、ふるさと納税でゲットしたTESIOのハムをバゲットに乗せて少し優雅な気分。今日届いていたフィッシング詐欺メール。実際に取引のある会社の社長さんの名前を使って、「業務上の都合により、新しく LINE グループを作成いただきたく存じます。」との内容でLINEのQRコードを送らせようとするもの。あの手この手でリンクを踏ませたり情報抜き取ろうとしてくるのが怖ろしい。メールに関しては基本的に疑ってかかるようになってしまって、なんだかいやな気分。この頃は、AIで声まで複製・クローンされるようになってしまったため、アメリカではAI音声を使ったオレオレ詐欺の被害が急増しているとのこと。内沼さんのポッドキャスト「本の惑星」でも話題にされていたが、「目の前にいる」ということにしか信用が発生しないというディストピアがもうそこまで来ている。文章も、声も、写真も動画も、いくらでもそれらしく生成できる世界では、身体ごとその場に存在している、ということだけが最後の拠り所になる。いよいよやっぱり「有限性」というものにきちんと立ち返って向き合う必要があるんじゃないかな~と改めて思ったり。人間は「無限」を手懐けることなんてできないのではとつくづく思う。明日のトークイベントの会場準備をして帰宅。

1/24(土) 杏子の誕生日。朝ごはんは、バブーシュカのすぎちゃんにもらった、涼太郎というパン屋さんのパン。とてもおいしい。今日はゆいちゃんも出勤していたのだけど、体調がかんばしくなく早退。心配。夜は、編集者の小林百合子さんと、写真家・野川かさねさんのトークイベント。前回は2018年の「山小屋の灯」のときだったから、実に7、8年ぶりか。今回は『山の時刻』というふたりの共著の刊行記念イベント。本書は、野川さんが15年くらいの間に撮った山の写真をセレクトし、その一枚一枚に小林さんが短い文章(散文)を書いていったもの。この写真に散文をつけていくというのが小林さんにとっては思考錯誤の連続で、これだという感覚をつかまえるまでに5年くらいかかってしまったのだとか。小林さんが最近、いっちゃん(植本一子さん)と「記憶」と「記録」についてLINEで話していた際に、「記憶」が時間をおいて発酵・腐敗していくとどろどろと溶けて原型をとどめなくなって、それはもはや「詩」としか言いようのないものになるのではないか、という話になったと言っていて、おぉ~、なるほど~!と静かに興奮した。記憶のディテールが抜け落ち、どんどん抽象化して説明的な要素を失った、言葉になる前の感触だけが残ったもの=「詩」という考え方は、めちゃくちゃ腑に落ちる。一方、野川さんは感動してシャッターを押した瞬間から、その写真をセレクトする間に、自分という記憶はどんどん抜け落ちていって、「記録」(=ただそこにあった)という写真が残っているというようなことを話されていた。「山という自分よりも全然大きなものを、自分の感情や物語という小さな枠におさめてしまうなんておこがましい」、「なにか言っているようで、なにも言ってなくて、でも何かあるみたいなのが、私たちがやっていることだよね」とも。これもまさしく「詩」の話だと思う。「詩的(ポエジー)」なものを言葉で表すと「詩」になって、カメラでつかまえようとすると「写真」になるんだろうな~。とても心に残るイベントになった。

1/26(月) 朝ごはんは引き続き涼太郎のパン。今日は、18時に店を早じまいさせてもらって、杏子、ゆいちゃん、元スタッフのあいちゃんと伏見にあるSAAGへ。僕と杏子、あいちゃんは一月生まれなので誕生日会も兼ねてちょっと奮発したディナーを。ここは店主ひとりで切り盛りしているエスニックのお店で、四人とも初訪問。勝手がわからず少し戸惑いながら、あいちゃんが「何かおすすめはありますか?」と聞くと、「いやぁ~、好みがわかんないからね~」と店主。そりゃそうだよね、と苦笑しつつ、黒板に並ぶ気になるメニューの中から、それぞれ食べたいものを選ぶ。苺とリンゴのパクチーサラダ、カカオとさつま芋とジャガイモのポテトフライ、ゆり根の春巻、水餃子、黒酢酢豚、牡蠣と葱の十三香粉伴麺(だったかな。。。)、スズキのコロッケなどなど。一皿ごとに店主のこだわりが詰まっていて、そのたびに感嘆の声でテーブルがにぎやかになる。料理を囲みながら、近況やこれからのこと、最近気になっていることをあれこれ話す、なんとも幸福な時間。店主の料理の解説もいちいち面白い。お茶を注文するとさらにぐいっとギアがあがって、白茶、烏龍茶、紅茶の発酵の違いや、それぞれの産地のことなどもお話してくれて、ぐっとお茶に興味が湧いてくる(何よりめちゃくちゃ美味しかった)。ゆいちゃんはお茶にも詳しいので話もどんどん弾み、いつの間にかそれぞれが頼んだお茶の飲み比べ大会のようになっていた。しめで頼んだ担々麵も今までに食べたことのない感じ。爽やかで華やかでフルーティー。何が入ってると思いますかと聞かれて、ゆいちゃんが「カルダモン!」というと、おー、すごい!よくわかりましたね。となった。杏子が「ショウガ!」というと、それは見ればわかりますからねと言われていた。気づけば4時間半、、、美味しい料理とお茶でお腹もパンパン。めちゃくちゃ美味しかったです!というと、「オレ、まだまだやれますんで!」と店主。よい店だった。また行きたい。

1/27(火) 今日は一日ダラダラする日。ここ最近、以前途中まで観ていた「ブレイキング・バッド」を改めて見直していて、今日も一気見。昼過ぎに一旦起きて、スーパー銭湯に行き、スシローでランチ。豆蔵でコーヒー豆を買ったり、ちょっと買物して帰宅し、猫を撫でながら再び「ブレイキング・バッド」。いよいよクライマックス感が出てきた。夜はラーメンをつくる。しかし、今回の選挙も本当に地獄でしかない。というか腹立たしくてしょうがない。やる前から希望が全く抱けなくてつらい。こんなにも生きるちからを奪っていく政治っていったい何なんだ。

1/28(水) 今日も涼太郎のパン。嬉しい。出勤して、あれやこれや仕事を片付け、杏子とゆいちゃんにお店をまかせて夕方に一旦帰宅。スーパーで買い物。麻婆豆腐を作る。今夜は、鷹見くんの家(喫茶たかみ)で、TEMPORAの内装チーム(鷹見くん、裕太くん)とお疲れさま会。芸術祭事務局のYさんも来てくれたのだが、体調が優れないらしく、差し入れ(しかもめちゃ豪華なケーキ!)だけおいて帰宅。そんなに無理を押してこなくてもいいのに届けにだけ来てしまうのが律儀すぎるYさんらしい。料理上手の裕太くんがつくってくれた祝蕾をさっと湯がいて和えたもの、細切りじゃがいもの和え物、揚げ春巻き、卵と菜っ葉の中華炒め、鷹見くんの魯肉飯、中華スープ、自分がつくった麻婆豆腐で中華パーティー。鷹見くんが毎年作っている粗品タオルのデザインを、今年は自分がやらせてもらっていて、その現物も丁度届いたばかり。よい仕上がりでうれしい。みんな、喫茶たかみに招かれるともらえるらしいですよ!TEMPORAのことももちろん振り返りつつ、インザメガチャーチ、ファンダム、物語化、詩、建築、写真、Y氏、それぞれの仕事のことなどおしゃべりしながら話がどんどん展開していく。こういうことを気兼ねなく話せる友人が近所にいてくれるのとってもありがたい。

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EXHIBITION INFORMATION

2026年2月14日(土)~ 3月1日(日) ON READING GALLERY
植本一子 写真展 『ここは安心安全な場所』

写真家・植本一子による写真展を開催します。

本展では、昨年刊行されたエッセイ&写真集『ここは安心安全な場所』に収録された馬と風景写真に加え、植本が遠野に通う日々のなかで撮影した写真を展示します。

いよいよ残席わずか!あと2名ほどです。
<TALK EVENT>「うえもとの現在地」植本一子×高橋翼(予感)
2026年2月14日(土) 19 : 00~
入場料:2,500円(お買物券500円分付き)
要予約:https://onreading.jp/exhibition/anshin/

植本一子さんをゲストに迎え、トークイベント「うえもとの現在地」を開催します。聞き手を務めてくださるのは、前作『それはただの偶然』や日記にもたびたび登場し、昨夏に行われた同写真展では構成を担当された、予感の高橋翼さん。親交のあるお二人だからこそ生まれる会話や、ここでしか聞けないお話があるのではないかと思います。

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♪ Now Listening

ヤッホー / 坂本慎太郎

無事にレコード買えました。もともとシニカルでクリティカルな歌詞を書く人だったけど、本作はいよいよ真ん中に立って歌っているような気がする。。。このインタビューも感慨深かった。

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今週はこのあたりで。

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