NEWSLETTER FROM ON READING 2026.02.20

名古屋のbookshop & gallery ON READINGから、週に一度のニュースレターをお届けします。
ON READING 2026.02.20
誰でも

こんにちは、ON READINGの黒田義隆(義)と黒田杏子(杏)です。最近はちょっと時間ができてきたので、いろんな映画やドラマをみたり本を読んだり。これくらいの感じで暮らしていければいいのだけど、なかなか難しい。でも今年はできるだけ暇をつくって、自分の手を動かして何か作ることをやっていこうと思っております。改めてのD.I.Y。いろんなワークショップっぽいのを企画できたら。皆さまもぜひご参加ください。

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入荷情報 PICK UP

【サイン本】体の居場所をつくる / 伊藤亜紗
美学者の伊藤亜紗が綴る、体の居場所をめぐる思索の記録。障害や病気、診断のつかない苦しみ、人種的マイノリティなど、体に「問題」を抱える11人が、日々の工夫を重ねて自らの「体の居場所」を築く姿を描く。結晶のように凝縮された言葉に耳を傾け、ともに悩み伴走しながら、生き抜くための究極の工夫を探る一冊。

プレイ・ダイアリー / 大前粟生
読むこと/演じること。そこには加虐も被虐も潜んでいる――。『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』『おもろい以外いらんねん』など数々の話題作で知られる大前粟生が、新たな文体で挑んだ圧巻の日記文学!

批判的日常美学について──来たるべき「ふつうの暮らし」を求めて / 難波優輝
「ちゃんとしなければ」に疲れた人へ。日常の美と倫理を問い直し、自分の理由で生きるための思考の道具。

ケアする心 / キム・ユダム
韓国社会と向き合った優れた作品に贈られるシン・ドンヨプ文学賞を受賞している女性作家、キム・ユダムによる注目の短篇小説集。育児や介護など家族のケアに時間と労力を捧げる人々が、ケアされない日常の中で静かに奮闘する心を描いた、純度100%のケア文学。

ホドロフスキー、魂の言葉 / アレハンドロ・ホドロフスキー
世界中で熱狂的に支持される映画監督にしてアーティスト/タロット研究家/サイコセラピスト、多才な活動を続けるアレハンドロ・ホドロフスキーによる珠玉の言葉の贈物。人生を彩るための名言集。

Music for 3 (Special Edition CD) / Henning Schmiedt
ベルリンのピアニスト、ヘニング・シュミートが日本のデザイナーのミズシマナツコ、調香師の沙里とのプロジェクト「Drei 3」のために制作した音楽をパッケージングしたニューアルバム。

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RECOMMEND BOOK !

文学の手前で寸止めするようなこの「N=1の科学」には、思ってもみなかったような知恵に至る扉が、あちこちに隠れているように思います。N=1の科学は、実践の中にあるからこそ、頭で理解した「あたりまえ」をすっとばす、生きることの複雑さと愉快さのようなものがつまっています。

伊藤亜紗『体の居場所をつくる』(朝日出版社)

美学者の伊藤亜紗が綴る、体の居場所をめぐる思索の記録。

そもそも「私」って、なんなんだ。いつだって思わぬタイミングで私の邪魔をしてくる、この体も「私」なのだろうか。

摂食障害、ナルコレプシー、ALSなどの障害や病気の当事者。診断がつかない人、治療の道がない人、人種的マイノリティ。不調や病、差別などによって体と自分の調和が失われた人々による、この体で「なんとかやっていく」ための対話と工夫を集めた、著者から11人への「体の贈り物」。

コントロールできない。話も通じない。こんなに近いのに、遠い。自分の体をそんなふうに感じる日には、まずは対話から始めようと思う。

帯文に濱口竜介さんの「あえて言いたい、何と面白いのか!」というコメントが載っていますが、本当に、人が生きていくことための工夫は、何と面白いんだろう、と思いました。

少しだけ、サイン本を分けていただいています。ご希望の方はお早めにどうぞ。

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枝葉末節な日々

今週の担当:(杏)

2/13(金) 植本一子写真展『ここは安心安全な場所』搬入日。昼過ぎに、いっちゃんと、東京で「予感」というハンカチと日用品のお店をされている高橋さんが到着し、搬入をすすめていく。写真が素晴らしくてはっとする。これまでは、家族や友人など親しい人が被写体になることが多かったので、遠野の風景や馬を撮った今回の作品群は新鮮。それでも、いっちゃんらしい写真だと思うから不思議。いっちゃんの写真を見ると、まっすぐだな、といつも思う。common houseのさやかさんとみつるさんも夕方に合流。今回の展示は夏にcommon houseで展示したものの巡回で、その際の展示構成も高橋さんが担当されたのだ。高橋さんにお会いするのは初めてだけど、近年の植本作品にたびたび登場することもあり、なぜかそんな気もしない。common houseのおふたりは、sakumagのチームとして以前一度ご来店いただいたことがある。まだお店を始める前だった。夜は、みんなで味仙へ。いっちゃんはいつも名古屋に来ると「味仙!味仙!」とはしゃぐけれど、台湾ラーメンは辛くてひとくちしか食べられない。今回もひとくちだけすすって、すっと静かにしていた。チーム植本は明日、伊勢神宮に行くということで早めにおひらき。帰宅後、うちに泊まるいっちゃんとお茶を飲みながら、あれこれすこし話をする。文章を書いて本をつくるのも野菜やはちみつをつくるのも、そんなに違わないんじゃないか、とか、今なにを書きたいか、とか。毎度、この時間がありがたいんだよね。

2/14(土) Aちゃんが「ハッピーバレンタイン!」ときれいな紫色のスイートピーを持ってきてくれた。覚王山にお友達が新しくお花屋さんをオープンしたそう。ちょうちょみたいに可憐なひらひら、Aちゃんみたいだな、と思う。ふいにもらうお花って最高に嬉しい。夜はお楽しみのトークイベントで、植本作品ではお馴染みの「高橋さん」がトークのお相手。かねがね思っていたことだがいっちゃんは、この人にこれをやらせたらよさそう、という勘がとても鋭い。今回の展示にしても、common houseで展示をすることも、展示構成を高橋さんが担うこともいっちゃんの発案だそう。トークでは、この半年の間の変化も加わって「ひとつの時代の終焉」にたどり着いた。人間関係に由来する傷をかかえて遠野の地で馬と出会って、「人と心を通じ合わせることがしたかったんだ」という自身の軸を知る。そうやってひとつずつ「もう大丈夫」を獲得していく。高橋さんはそれを「運がいい」といった。いっちゃんはずっと「ひとりが苦手」と書いてきたが、それを今日はトークのなかで「自分といることが苦手」と言っていた。ひとりでいることは自分といること。誰かと歩くのもいいけど、自分と歩くのも悪くない。それが「うえもとの現在地」なのだろう。それにしても、先月の野川かさね×小林百合子トークといい、このところON READINGのトークイベントが良すぎる。同時代の、生身の人間が、その場で言葉を探し出合っていくような対話の時間。一緒にテーブルを囲んでいるような親密な夜だった。夜、近所のかるび丼のお店でいつものユッケジャンスープ。あそこ、正式な店名はなんなんだろう。

2/15(日) 朝、残っていた冷凍パン、ウィンナー。昨日、常連のNさんが話してくれたことが気になっている。Nさんは素敵な熊の柄のスウェットを着ていた。川の中で直立して水からざぱーっと手をあげている熊の絵がプリントされている。「わ、いいスウェットですね~」というと「着るかちょっと迷ったんだけどね」と言う。熊が人を襲う事件が大きな話題になった昨秋から、熊に対するイメージが変わった(あるいは変わったと思われるようになった)と思う。秋頃、それまで熊をモチーフに作品を作られていた方や、作品のなかに熊モチーフが登場していた方が、今はやめておいたほうがいいのかどうか、と気にされているという話を聞いて、どういうことなんだろうと思っていたのだ。Nさんの話をきいていくとどうやら、熊モチーフを喜んで愛でること自体が不謹慎だと思う(あるいは、思われるのではないかと思う)ということのようだ。熊が力の強い動物であることは今に始まったことではない。恐ろしいからこそ、人は熊を神格化したり、熊とのかかわりを民話として語り継いだりしてきたのだ。その流れで熊を擬人化したりキャラクターとして愛でることは、実在の動物を畏怖することと共存してきた。私はもともと人間が動物に対してさまざまなイメージを付与することにとても興味があるので、今起きている熊のイメージの変化が気になっていた。よっさんに話すと「東日本大震災以降に広がった感覚だよね」という。「不謹慎」という言葉を調べると、「つつしみのないこと。また、そのさま。ふまじめ。」とのこと。今日は春の陽気で、お客さんの恰好も軽やか。おデートらしき若者が多いのもウキウキムードを増殖させてくれる。「やった、久しぶりに本買った!めっちゃいい買い物できた!」と喜んでもらえたり、「面白かったらまた貸して」とパートナーの分も一緒にお会計をしたりと、素敵なシーンにたちあえて本屋冥利に尽きる。夜、あいちゃんからいつぞやの北海道土産にもらった、かにのてっぽう汁。ネギと海藻など入れて具だくさんに。納豆、小松菜と鶏肉のわさび炒め。

2/16(月) 朝、トースト、目玉焼き。店の扉をあけると、Mさんが麦子に持ってきてくれたお花がある。窓辺で一度開きかけたチューリップも、玄関に置いていたらもう一度つぼみに戻った。レジ脇にはAちゃんがくれたスイートピー。ギャラリーにもMさんからのお花。”FLOWER IS POWER"とは、アトリエみちくさ/TUMBLEWEEDのキャッチコピーだが、本当にそうだなと思う。ぱっと心が明るくなる。久しぶりにど暇だったが、私のTO DOリストは項目がびっしり。昨日TOUTEN BOOKSTOREの古賀ちゃんが私のTO DOリストに『確定申告』と書いてあるのを見て「項目がでかい」と言っていたが、確かにこれはなかなかチェックできないデカ項目。とにかくfreeeをコツコツ片付けていく。毎年のことながら、少しずつやっておけばいいものをほかっておくから、詳細が思い出せない。腰をすえてひとつずつ謎を解明していく。閉店間際、アトリエみちくさの幸太郎さんがふたつの花束を持って登場。このシーン見覚えがある…が、去年、この時期に幸太郎さんが届けてくれたのは、Mさんから麦子へのお花で、それはもう先週いただいているので…?私「あれ???」幸「わかるでしょ~」私「え、だって、もういただきましたよ???」幸「そういう人なのよ~」果たしてMさんだった。先だっていただいたお花が、届けてくださった時にすこし元気がなくなっていたのを気にされていて、明日の麦子の命日にあわせて、再びみちくささんにお願いして届けてくださったのだ。本当に、なんというお人なんだろう。6年前、麦子がこの世を去ったあと(なんと定休日前日に旅立ったのだ)、荼毘に付した定休日の翌日、開店と同時にお花を持って来てくださったのがMさんだった。店頭にいるのだからとはりぼての気合を入れていた私の決意は脆くも崩れ大号泣してしまった。あの時、Mさんが私の心をほぐしてくれたことを心の底から感謝している。そのあとも事情を知って来てくれたお客さんたちがそれぞれに、ご自身のたいせつな動物たちとの思い出話を話してくださって、そのたびに私も麦子のことを話して、そうやって、私は麦子のいない世界に段々となじんでいくことができたのだった。ソフィ・カルの『限局性激痛』のようだった。というわけで、MさんとAちゃんのおかげで、お店はお花でいっぱい。せっかくなので、ひとつは家に持って帰って、麦子にお供えする。先週来たときMさんは「もう意地だよね、麦子ちゃんを忘れないっていう」と言っていた。私たち以外にも、麦子がここにいたってことを忘れないでいてくれる人がいる。むっちゃんは本当に幸せ者だ。夜、キャベツと鶏肉のパスタ。味がなかった。

2/17(火) 午前中はたっぷりと寝て、午後からようやく行動開始。今日は野田ちゃん・山城さんの撮影に二人で参加する。とある施設の広報用映像をおふたりが率いるTwelveが制作することになり、様々な人の後ろ姿を撮影しているそう。よっさんは出がけにちょっと髪の毛を切っていた。なかなか自分の後ろ姿を見ることもないので、はじめはそわそわしたけれど、撮影した映像を見てみると楽し気でなかなか悪くない。多分コンマ何秒のことなので多分誰だかわからないだろうけど、仕上がりが楽しみ。野田ちゃんが、着ていたベストを褒めてくれたので、ふたりが住んでいる京都で買ったものだよ、というと「あ!日記で読んだ~。よしくんの週じゃない?「杏子がかわいいベストを買った」って」と嬉しいことを言ってくれる。私が「よく読んでくれてる~」と感動していると「今日のことも書いてくれるのかな~どうかな~」と山城さん。Twelveチームの現場はいつも最高。せっかく栄に来たからJAZZ&Coffee YURIに寄ろうかと思ったけれどお休み。コメダでカツサンド、グラタン。夜、『ウェポンズ』を鑑賞。見終わってすぐ、映画に出てきた怖いポーズを真似するよっさん。不謹慎というのはこういうことである。ちがうかな。

2/18(水) 朝、背徳のスノーボールトースト。「スノーボール」は北海道のお菓子。版画家の大谷一良さんの作品を用いたパッケージも素晴らしく(サイトヲさんデザイン)いつか食べてみたい~と思っていたらよっさんがお取り寄せしてくれた。冷蔵庫で解凍したスノーボールをトーストに挟んで食べると、チョコとクリームが広がってめちゃくちゃおいしい。全然違うものだけど、チーロバのロバチョコサンドにも近い感動が得られる。ゆいちゃん出勤日なので、私は事務所にこもってあれやこれや。確定申告も3合目くらいまでは登れただろうか。フリペ用の夫婦放談のテープ起こしをするものの、車に乗っていて話していた時に運転席側に置いてあったスマホで録音していたのに、助手席にいた私の声しか入ってないという不思議。夜、チキンカレー、しめじ、ジャガイモ、ニンジンの蒸し焼き。

2/19(木) 朝、昨日Aさんにいただいたトレマタンのパン、目玉焼き、ニンジン。久しぶりのNくん。冬は調子が悪かったそうだけど今日はとっても晴れやかな表情。植物も動物も冬は活動をとめているんだから、そもそも冬にいつも通り活動するのなんて無理してるよね、と話す。パートナーのNちゃんが近くの美容院に行っているのを待っているそうで、思い立ってお花をおすそ分けする。美容院終わりで合流したNちゃんにNくんがうやうやしくお花を渡す姿がまぶしい。閉店後に、ホモ・サピエンス道具研究会の山崎さんとおしゃべり会。選挙が終わっての受け止めや、周囲と話したことなど。最近見たドラマや映画の話、「見てられる」と「もっと見たい」の違いや、AIが席巻していくなかで人間に残されている喜びについてなど。夜、昨日のカレーの残りを牛乳でのばして、あれこれスパイスを入れたもの。カレー味が消えてシチューぽくなった。

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EXHIBITION INFORMATION

2026年2月14日(土)~ 3月1日(日) ON READING GALLERY
植本一子 写真展 『ここは安心安全な場所』

写真家・植本一子による写真展を開催します。

本展では、昨年刊行されたエッセイ&写真集『ここは安心安全な場所』に収録された馬と風景写真に加え、植本が遠野に通う日々のなかで撮影した写真を展示します。


2026年3月12日(木)~ 3月23日(月) ON READING GALLERY
EPIC HOUSE EXHIBITION

イラストレーションとそれを彩る額装、それぞれのアイディアを掛け合わせてユニークな作品を生み出す、イラストレーターの佐藤梓(LIGHT HOUSE)と、額装家の沖津真美(ÉPICE)によるユニット『EPIC HOUSE』の展覧会を開催します。

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♪ Now Listening

Celosia Campanella

名古屋拠点のラッパー、Campanellaによる5年ぶりのニューアルバム。相変わらずラップスキルもキレッキレ。客演もトラックメイカーも素晴らしいメンツ。

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今週はこのあたりで。

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