NEWSLETTER FROM ON READING 2025.07.25

こんにちは、ON READINGの黒田義隆(義)と黒田杏子(杏)です。参院選終わりましたね。いやはや、な結果ですが。大きな不安を抱えた国民の現状がまざまざと現わされた感じですね。不安を利用するような政治ではなく、きちんと寄り添い解決していく政治を本当にしてほしいものです。一方で、わたしたちにできることは、分断を煽ることなく、対話の糸口を見つけ出しながら、お互いの不安を共有し、分かち合うことで少しでも心を軽くしていくことだと思います。決して簡単なことではないかもしれませんが、一度立ち止まって冷静に考えるべき時だと思います。(義)
NEWS

一周年を迎えた、東京・学芸大学のCOUNTER BOOKSさんのトークイベントに呼んでいただきました。本と本屋を取り巻く環境の変化や、これからの本屋のあり方や役割について今思うことなど、ざっくばらんにお話します。東京方面のみなさま、どうぞよろしくお願いいたします。
COUNTER BOOKS 1周年スペシャルトーク「Local Curious Dialogue」
8月12日(火) CB × ON READING
19:30〜21:00(開場19:00)
ゲスト:黒田義隆さん、黒田杏子さん(ON READING)
参加費:¥1500+ワンドリンクオーダー(当日払い)
定員:25名
詳細:https://www.instagram.com/p/DMZbqCZyruj/
予約: https://localcuriousdialogue.peatix.com/view
入荷情報 PICK UP
・ガラスと雪のように言葉が溶ける-在日韓国人三世とルーマニア人の往復書簡 / 尹雄大、イリナ・グリゴレ
自分の子供と異国の言語で話す文化人類学者のイリナ・グリゴレと、自国の言葉を話せないライター、尹雄大が、自らルーツと言語、そして言葉で表現できないアイデンティティと身体感覚について語り合った往復書簡集。
・複業ZINE / gasi editorial編
終身雇用は崩壊、非正規職が増大し、年金は当てにならず、いまや「死ぬまで働く」が当たり前。先行き不安な社会情勢が続く中、本業のかたわらにする副業ではなく、いろいろな仕事を並行して行う「複業」を選ぶ人が増えている。やりたいことだけでは生活できない/できることを増やすために/持続できる働き方を模索してetc. 複業を実践する15名が綴った、“私の働き方”読本。
・ミュージックシティで暮らそう 音楽エコシステムと新たな都市政策
音楽は都市のインフラだ!ライブハウスが減っていくのは「文化の問題」ではなく「都市政策の問題」かもしれない――。音楽を“社会のインフラ”ととらえ、まちづくりの戦略に音楽を取り入れる方法を説いた、新しい都市論。
・スノードーム / 香山哲
エッセイマンガ『ベルリンうわの空』シリーズの著者、香山哲による初の小説作品。考え続けよう。世界を知るために。
・柳宗悦を考える / 李鳳來
長年、青山で朝鮮の古美術をあつかう骨董美術商の李鳳來によるエッセイ集。自伝(在日本大韓民国民団長だった父親ほか家族の話でもある)と、柳宗悦の朝鮮工芸論について。ふかくかかわった民藝関係者たちの逸話も貴重です。
・暮しの手帖 5世紀37号
1953年に創刊し、広告ゼロの編集方針を貫いて、毎日を豊かに、美しくするヒントを紹介しているインディペンデントな総合生活雑誌『暮しの手帖』。今号の特集は、『いま、「一銭五厘の旗」を立てるなら』。戦後80年の今、社会のどんなことが気になるか。
・乳がんになってたくさんの天使と出会いながら自分は自分としてしか生きられないと改めて確認した旅の記録 / 佐久間裕美子
ニューヨークを拠点に、様々な世相を多角的な視点で綴るフリーライターとして活躍中の佐久間裕美子が、自身が乳がんの診断を受け、手術をしてから1か月後にドレーンが外されるまでの間に綴った日記をまとめたZINE。
・PHOTOGRAPHS (1978-1985) / Christine Furuya-Gössler
めちゃくちゃによい。。。夫であり写真家の古屋誠一のレンズを通して描かれたミューズとして知られるオーストリア人アーティスト、クリスティーネ・フルヤ=ゲッスラーによる写真集。これまで表に出てこなかった7年間の記録を一堂に会した一冊。
・IBM, PAUL RAND’S GRAPHIC STANDARDS MANUAL
アメリカ人グラフィックデザイナー、ポール・ランド(Paul Rand)が手がけた、アメリカ合衆国に本社を置くテクノロジー関連企業「アイ・ビー・エム(IBM)」社によるグラフィックデザインのマニュアルを記録した作品集のREPRINTED EDITION。ロゴタイプやグラフィック、タイポグラフィのルール、社内用、社外用の文書のデザイン、看板などの表示、建築への応用において正しく表現されるための指示が記載されている。
・[SIGNED] HAPPY VICTIMS / 都築響一 Kyoichi Tsuzuki
日本人編集者、写真家である都築響一による名作写真集『着倒れ方丈記 HAPPY VICTIMS』(青幻舎)が、スペインの出版社「APARTAMENTO」から復刻新装。著者である都築響一がオリジナルの序文に加えて、復刊にあたっての新たな序文を執筆、またニューヨークとロンドンに店を構えるファッション・ブックショップとして名高い「Climax」の創設者であるイザベラ・バーレイ(Isabella Burley)による解説も付されている。
・NASA, DANNE & BLACKBURN’S GRAPHICS STANDARDS MANUAL
1970年代にNYのデザイナー、Richard DanneとBruce Blackburnによって制作された、アメリカ航空宇宙局「NASA」のデザインガイドラインを復刻した作品集。ロゴタイプ、レターヘッド、タイポグラフィ、本文組、広告デザインから、スペースシャトルや宇宙服に至るまで、網羅的にデザインの仕様がまとめられている。ビジュアル・アイデンティの構築における指南書としても価値ある1冊。
RECOMMEND BOOK !
普段、忘れているような人こそ、思い出した時にこそ、力いっぱい戦争反対や平等を叫んでほしい。ずるくていいし、偽善的でもいいし、いっちょかみでもいい。平和や平等を叫ぶ人間が完璧でなくてはいけない、なんてそれこそ平和や平等に反する、と私は思う。(柚木麻子)
1953年に創刊し、広告ゼロの編集方針を貫いて、毎日を豊かに、美しくするヒントを紹介しているインディペンデントな総合生活雑誌『暮しの手帖』。
今号の特集は、『いま、「一銭五厘の旗」を立てるなら』。
読者と12名の執筆者による「いま、『一銭五厘の旗』を立てるなら」、硫黄島生まれの祖母を持つ編集者による特集「硫黄島の日々を語り継ぐ」、世界の戦争に触れる「翻訳者に教わる、知らない戦争を教えてくれる本」、ムーミン誕生の前夜が綴られた「トーベ・ヤンソンと戦争の時代」など、敗戦から80年がたつこの夏だからこそ、あらためて知りたい考えたい戦争にまつわる特集記事が掲載されています。とりわけ、「硫黄島の日々を語り継ぐ」は素晴らしかった。滝口悠生さんと寺尾沙穂さんの対談では、記憶を継承していくことについても書かれています。
そして、今号の「目利きの本屋さんに聞いてみた」コーナーに寄稿させていただきました。テーマは「子どもたちが見た戦争」。私は、『ボタン穴から見た戦争――白ロシアの子供たちの証言』(著・スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ 訳・三浦みどり/岩波現代文庫)を紹介しています。第二次世界大戦のなかでも最も悲惨だったと言われる独ソ戦。白ロシア(ベラルーシ)はそのはじまりの場所でもあり、甚大な被害を受けました。
本書は当時15歳以下だった人々にインタビューをしたもの。その語りは驚くほど具体的で、子どもがどのように戦争を見て感じていたのかが伝わってきます。
みんな、まだ子どもだったのです。だけど戦争は、子どもが子どもでいることを許さなかった。
いつにもまして、充実の一冊です。この夏に是非。
枝葉末節な日々
今週の担当:(杏)
7/18(金) 朝、昨日のごはんの残り、ししゃものみりん焼、ちりめん山椒、もずくと豆腐の中華スープ、きゅうりとにんじんの浅漬け。今日と明日、男性ブランコ単独公演「だえーん!」2DAYSを観に行く。会場である今池ガスビルのホールには初めて入ったが、椅子や時計、階段のサインなど細部がレトロでとても素敵。私の席は4列目のど真ん中。舞台真正面でかなり近い。1話目、ふたりが舞台上に出てきた瞬間、近すぎてめちゃくちゃ緊張してしまった。初めてこんな近くで観て、なんというか「そこにいる」感がこれまでの比じゃなかった。とはいえ、コントなのですぐにお話にひきこまれ、あとは笑ったりほろりとしたり。なぜだろう、男性ブランコのコントを観ていると、ものすごく楽しくてものすごく切ない。人間の根源的な優しさと寂しさに触れる気がする。あっという間の100分だった。終演後、席をたったら膝ががくがくと震えている。膝が笑うって、こんなこと初めてで、変なところに力が入っていたのだろうか。店に戻ると、ジャストタイミングでMAQUETTさんが来てくれていた。TEMPORAのオリジナルブレンドをお願いしているので、そのパッケージの打ち合わせをする。自然と選挙の話になった。今回も難しい選挙なだけにいろんな人と話をしている。私たちは早々に期日前投票をしてしまったが、ギリギリまで情勢をみているとより戦略的な投票が必要となってくる。夜、ひがしちかさんがストーリーズであげていた「まぼろしラジオ」を聞く。コテンラジオの深井さんが、「現在」ができることは「過去」から学び、「未来」の戦争の可能性を淡々と消していくしかない、という言葉が刺さる。私にとってはそれは護憲であり軍縮なのだが。よっさんの先週の日記を読んでいたらまたかるび丼に行きたくなったけど遅くなってしまったので、帰宅して、焼き鳥丼、キムチ、ほうれんそうナムルのっけ。よっさんが美味しがっていてよかった。
7/19(土) 朝、グラノーラ、桃。今日はやまだしん灸のやまださんと一緒に「だえーん!」二日目を観に行く。昨日よりは少し後ろの席で、しかしそれでも十分に近い。昨日、近すぎでよくみえなかった部分がみえたり、昨日の今日で台詞ややりとりに変化があった。もちろんアドリブもあるかもしれないけど、細かくブラッシュアップしているのだろうか。本当にすごい。何度みてもひきこまれ、何度見ても笑う。わかってるから余計面白い。それでいて最後にはなんか涙出てくるんだよな。終演後、Hちゃんと合流し、やまださんと3人でガスビル内のサンモリッツでお茶。ガスビルは今池の交差点に面しているので、前面ガラス張りのサンモリッツはいつも下から眺めていた。今回初めてガスビル内部に入ったのでせっかくならばと利用してみたが、ひっきりなしにお客さんがやってくる。こんなに目まぐるしそうなのに店員さんは皆、笑顔でくるくると働いていて美しい。窓から見える今池の交差点の賑わいも楽しく、この光景が見られたのも男性ブランコのおかげだなと思う。公演の余韻で胸がいっぱいだが、おしゃべりも止まらない。店に戻り、閉店後、トドの7周年イベントへ。TEMPORAのオリジナルハーブティーのブレンドをお願いしている、プランツェンアポテーケさんによる、その場で参加者が選んだ茶葉でブレンドをするというティースタンドイベントに参加。参加した4人が選んだ茶葉は、重複しているところも多かったのに、出来上がったお茶はまったく違う味。飲んで驚いて、みんなでシェアして驚いて、とても楽しかった。お茶って、無限大の可能性がある。何日もたったかのような、ボリュームのある二日間で、今日も気づいたら足が筋肉痛だった。帰宅後、男ブラの過去のコントやなんかをあれこれ永遠にみちゃう。永遠に。
7/20(日) とんでもないことが起きた。男性ブランコの平井さんがON READINGに来た。実は昨日、物販コーナーにいらした構成作家のワクサカソウヘイさんにご挨拶をさせていただいた際(ワクサカさんの会社は出版もしていてお取引先)、会話の中でもしかすると東山動物園に行くかも、とおっしゃっていたのだ。「そうなんですね~」と、何気ない風を装いながら可能性がなくはない、と密かに緊張をもって本日を迎えた。扉がひらく度に「もしかして」と「そんなわけない」「やっぱりね」を繰り返して仕事が手をつかない。14時頃、さすがにきっともうお帰りになったんだろうな、と諦めて、さあ経理仕事でもやろうかと思った瞬間、その時がきた。平井さんとは、いつかきっと、どういう形でかはわからないが会える日が来るだろう、となぜか信じてきた。もしそんなことがあったら、平井さんが出演されていたNHKの『ザ・バックヤード』の学芸員の方のように、対等な立場で出会いたいと思っていた。ところが一方でまことに恐ろしいことに、妄想のなかでは”大学の部活の友だち”のような親近感を勝手に感じているので、会ったらきっと旧知の友人のように親しげに話しかけてしまうだろうという予感もあった。けれどそもそも私はKOC2021の決勝で初めて「袋」というコントを観て、雷にうたれたような衝撃を受けてしまった単なる一ファンなので、普通に愛と感謝を伝えたい。態度を決めかねている私をよそに、店に入ってきた平井さんは一瞬で空間に馴染み、あまりにナチュラルに棚を見ていたり話しかけたりしてくれるので、全部の感情でぐっちゃぐちゃになって、一瞬なんか貧血みたいになってしまった。そんな私に「どうぞお座りください」と、お優しい平井さん。しかし私には使命があった。もしいつか、平井さんと会える日がくるとしたら、その時には、高森さんの素晴らしいエッセイのことを伝えなければということだ。友人である社会心理学者、高森さんが連載の0回目として書いたこのエッセイhttps://distance.media/article/20240918000312/ には、とても印象的な形で男性ブランコの話が出てくる。私と同じタイミングでKOCを見て、異なるかたちで、しかしどちらも人生に大きく楔をうつ出来事になった。もちろんあの日KOCを観ていた全国のひとりひとりに違う「あの日」があることは大前提だけれど、このエッセイに書かれた大きな悲しみとそのなかにあるささやかな笑いというののは人生そのもの、そして男性ブランコが描いているものそのものだと思うのだ。意を決して、平井さんに読んでいただきたいテキストがあるんです、と伝えるとまだどんなものかも言ってないのに、すぐに読みます、と言ってくれた。その時のスピードと反応がよどみなく、人間としての平井さんの真摯さがダイレクトに伝わってきた。ちゃんと受け取ってくれた、と思った。なんだかんだサインをもらったり写真をとってもらったりと、ミーハーもちゃんとさせてもらい、胸いっぱいでもう家に帰りたかったが、ありがたいことにそこからのご来店が多く、あれよあれよという間に閉店。参院選の開票結果は、ある程度は予想通りとはいえ、なんとも落ち込む結果である。この三日、感情の振れ幅が大きすぎて、体がもたない。夜、昨日いけなかったかるび丼で盛岡冷麺。毎回楽しみにしているTBSラジオの参院選特番を聞きながら就寝。
7/21(月) 朝、グラノーラ、桃。ノブセノブヨ展最終日。会期中ノブセさんは何度も在廊してくれた。そのたびに、遠方から観に来てくれる方がいる。本を購入して読んでくれていた人、ポットラックアートブックフェアで知ってくれた人、各地の文フリや岐阜駅本の市や下北沢BONUS TRUCKのイベントで観てくれた人…。これまでの地道な活動で、着実にファンをつけてきていることがわかる。はじめましての人にも話しかけて、作品の話もそうでない話もして、ノブセさんがとても充実した時間を過ごしているのがわかる。ノブセさん自身、お客さんと話しているなかで気づいたことがたくさんあったそうだ。展示ってすごいな、と改めて思う。そして、それを最大限引き出すことができたのはもちろんノブセさんの力である。今、挑戦中の小説?作品についての構想も聞けて、今後も楽しみ。一夜開け、昨晩ワクサカさんに送ったDMにお返事が届いていた。公演を観て感じたことを書いたのだが「黒田さんに伝わって私も救われた思いです」とあり、それを読んで、嬉しすぎて朝から泣けてきた。男性ブランコの単独公演はおふたりはもちろん制作チームの作りこみが本当にすごい。昨日は平井さんの登場で少々正気を失ってしまったけど、チーム男ブラの心臓部ともいえるワクサカさん大澤さんにお会いできたこともめちゃくちゃ嬉しい出来事だった。作品をつくる人はすべて、宛先のない手紙を出している。海に投げられたボトルメールのように、いつかどこかでその郵便を受け取ったものはしかし、返信を届けるすべもない。基本的にはそれでいいと思っていたし、そういうものだと思う。差出人に返信が出せなくても、うけとったものを別の人へ別の形でまた、手渡すことができるのだから。けれどこうして不意に、手紙が往復はがきのようになり得る瞬間がある。それはもう奇跡のようなこと。ここ数日のことをきっと何度も思い出すだろう。夜、Mさんにいただいた炊き込みご飯、ほうれん草と角煮をのっけた沖縄そば、実家から届いたとうもろこし。Mさんは以前、沖縄そばのお店をやってらした。先日沖縄に行った時も、美味しい沖縄そばを何度も食べたが、思い出すのはMさんのそば。今日Mさんとそばの話をしたからその気になって、沖縄で買ってきた乾麺の沖縄そばを作った。これも美味しいけど、やっぱり違うんだよな~。Mさんの沖縄そばが恋しい。
7/22(火) 昼、ズッキーニとツナのパスタ。朝からゲンロンの選挙特番を流し見する。日曜夜に開票状況を観ながら生配信していたもので、東浩紀さんが視聴者に乱入を呼びかけていた。チームみらい、立憲民主党、国民民主党、共産党、自民党、参政党、れいわ新選組、社民党…。様々な政党に投票した人が集まり、互いに疑問を投げかけ、各々の人生を話していく。これが、面白かった。身につまされたし、勉強になった。もちろん支持政党はそれぞれだが、「東浩紀」という共通項があるということで互いに心理的な安全が得られているからこそなのかもしれない。これから対話の重要性はよりいっそう強まるけれど、果たして今、意見が異なる者同士で安心して話せる対話の場がどこにあるのだろうか。会社の人、取引先の人、町内会、ママ友、どこもなかなか話を始めるのに勇気が必要な気がする。昔の村社会のように、異なる考えの持ち主とも折り合いをつけつつなんとかやっていくための合議の場が設定しずらい。参政党に入れた人が社民党に入れた人に「参政党のことを悪魔のように見てませんか?」と言っていたのにどきっとした。そんなことはない、ないけれど、やはり反射的に「どうして」と思ってしまうのは否めない。TEMPORAでオリジナルのソイキャンドルを作ってもらうsheepさんと打合せ。さすがのバチバチに素敵な香りを作ってくれた。contで開催中の伊藤眸さんの展示も見られてとても嬉しい。土を砕いて描いた絵と、土器の作品。伊藤さんは東京でzelt bookstoreというお店も営んでおられて以前からやりとりをさせていただいている。道祖神という祈りの文化をベースに、伊藤さんなりにその営みを理解しよう近づいていこうとされてきたその挑戦が感じられてとてもシンパシーを感じた。夜、よっさんが夕飯を作ってくれた。ピーマンと鶏肉のマーラー炒め、卵白のわかめスープ、とうもろこし。2回目の杏仁アイスチャレンジも。
7/23(水) 朝、残りごはん、卵白スープ、ハムエッグ、焼きとうもろこし、ちりめん山椒。ノブセさんが、展示の搬出に会期中に来られなかったお父さんと一緒にご来店。作業をしている間、熱心に店を見てくださっていた。「18年振りに本屋に来ましたよ!もとはよく読んでいたんですけどね。また寄らせてもらいます!」とニコニコお話してくださった。荷物を運んで、先にお父さんが帰られたあとノブセさんが「父があんな風に本を見ている姿を見るのはとても珍しいので驚きました」という。妻(ノブセさんの母)を亡くしたあと、何にも興味が持てなくなってしまったそう。少年のような人で、ノブセさんが植物に水をあげているとわざわざ水にかかりに来たり(しかもほぼ毎日)、車で轢かれたときも自分の怪我をおして相手の方を心配したり。聞いていたらなぜか涙がとまらなくなった。天使みたい、と思った。地上は、自分の利益ばかりを追及し、隣人に牙を向くような場所で、純粋すぎる人には生きづらいかもしれない。こういう人がなにも困ることなく生きていける世界だったらいいのに。平井さんにも近いような印象を抱いていることも重なって、情緒がおかしい。閉店後、TEMPORAの内装チームのうちあわせ。今回は廃材を使用するため、先に素材ありきで内装を考えてもらっている。それもあって二転三転して大変だったと思うが、ようやく着地が見えてきた。夜ごはんはKAMUのお弁当。今回はお肉をチョイス。砂肝とミントの焼売、梅の炊き込みご飯、トウモロコシとローズマリーのかき揚げ、大根とブルーベリーの甘酢漬け、ピーマンのまるごと焼き、和風ラタトゥイユ、オクラのナッツ和え、玉子焼き。副菜のひとつひとつが工夫に満ちていて、おいしいおいしいと言い合いながら食べる。細かい部分をゆっくり確認してもらいながら、イメージをすり合わせていく。こんなに時間をかけて打合せしてもらえて本当にありがたい。いよいよ帰ろうかというところで選挙の話になり、そこからまた小一時間。とうに日付はかわっていた。
7/24(木) 朝、いつぞや冷凍してあったバゲット、昨日ノブセさんにもらったあんぱん。暑さ厳しく店は暇だが、いよいよ佳境の、秋刊行予定の『ありふれたくじら』再校ゲラを熟読したり、TEMPORAのあれこれを考えたり、明日、講師候補の方と打ち合わせをする進行中のプロジェクトの企画書を書き直したり、月末の経理仕事をしたり、なごや文化情報の記事をまとめたりとやることは盛りだくさん。今夜は新町ビルの水野さんとAちゃんとごはん。絶賛制作中の、昨年開催された芸術祭「土から生える」の本からアイドルの話まで。Aちゃんの、プロのアイドルファンたる矜持を垣間見ることができた。「百年の恋が覚めないようにこっちも努力している」「ジャニーズは伝統芸能なので」「真のジャニオタは仕事ができる」などなど、どんどん金言が飛び出す。アイドルとファンの、暗黙の約束と互いのたゆまぬ努力の上に成り立っている、”アイドル”というエンターテインメントの奥深さに触れた。水野さんが、ON READINGが東山公園駅に移転したとき、すごいところでやるな、と思ったという。たしかに東山公園は、名古屋駅や栄からも少し離れている郊外で、移転前の丸の内・伏見エリアと比べると落ち着いた雰囲気がある。私たちがここで店を開くことになったのは割と偶然で、2010年までこの場所で店をかまえていたle petit marcheさん(現在は長野で素敵な宿とレストランを営まれている)に移転の相談に行ったら「ちょうど年内で出るとこ!ここいいよ!」とすすめられて入ることにしたのだった。何の気なしに決めた場所だったけど、窓の外には東山公園のみどりがまぶしく、大きな犬が散歩しているのも見えて気持ちがよい。それに、ここにいたおかげで平井さんにも会えたのだから、東山公園に店をかまえていて、本当によかった。今、書いていて気づいたけど、男性ブランコ(2011年結成)とON READING(2011年開店)は同い年だ。うわ、頑張ろう。精進精進。
EXHIBITION INFORMATION

【EXHIBITION】2025年7月17日(木)~7月28日(月) ON READING GALLERY
mocchi mocchi & 望月佐知子
HANGA – silkscreen × papermaking -EXHIBITION
京都にある版画工房 Printmaking studio PRESS CLUBをアトリエとして活動する、mocchi mocchi(シルクスクリーン版画)、望月佐知子(紙造形版画)の2作家による作品展です。
週末は作家在朗します~!
<作家在廊日>
7月26日(土) 12 : 00 – 18 : 00
7月27日(日) 12 : 00 – 18 : 00
7月28日(月) 12 : 00 – 19 : 00

【EXHIBITION】2025年8月1日(金)〜8月4日(月) ON READING GALLERY
佐藤憲治木彫り熊展 “54/101”
時間:12:00~19:00
※最終日16:00 CLOSE
北海道で木彫り熊が誕生して101年。その101年のうち、54年間も彫り続けている現役の巨匠彫刻家・佐藤憲治さんの作品を展示販売します。貴重なオンコ材の熊をはじめ、100点を超える沢山の木彫り熊が並びます。

【POPUP】2025年8月7日(木)~8月31日(日) ON READING店内
『無用的芸術 フクモ陶器』(大福書林)刊行記念展フェア
インチキ陶器商を自称する、知る人ぞ知る謎の陶芸アーティスト「フクモ陶器」による待望の作品集『無用的芸術 フクモ陶器』(大福書林)の刊行を記念して、フェアを開催します。キーホルダー、トートバッグ、手ぬぐい、土産物風陶器などなど、ユニークな品々が並びます。

【EXHIBITION】2025年8月6日(水)~8月18日(月) ON READING GALLERY
福森翔一 写真展『遥か街を切る』
※作家在廊予定:土日祝
アイスランド旅、50日間の全記録。全編フィルムにて撮り下ろした作品となります。誰も知らないアイスランドではないけれど、誰も切り取ることのなかった遥か街の日常。
♪ Now Listening
Quarantine at El Ganzo / Sebastian Maschat & Erlend Øye
The Whitest Boy Aliveのドラマー、Sebastian Maschatと、ヴォーカル、Erlend Øye(Kings of Convenience)の二人が、メキシコ滞在中にリラックスした雰囲気の中で制作したアルバム。2020年作。夏になると聴きたくなる、超名盤。デジタルリリースのみだったんだけど、いつかLP出ないかな~。。。(義)
今週はこのあたりで。
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