NEWSLETTER FROM ON READING 2024.06.14

週に一度のニュースレターをお届けします。
ON READING 2024.06.14
誰でも

こんにちは。ON READINGの黒田義隆(義)と黒田杏子(杏)です。

なんと今日は関東は猛暑日だそう。名古屋も32℃。早速Tシャツ、短パンで出勤してしまいました。道路を挟んで斜向かいにある、築53年の巨大な集合住宅・東山ビルの解体準備が進んでいます。あんなに大きな建物を、どうやって崩していくのかいつも不思議で仕方がない。なんだか建てるよりも壊す方が大変そう。一年くらいかけて工事がなされるようです。お馴染みの風景が失われるのは少し寂しい、と勝手に思ってしまいますが、どんな景色に変わるんでしょうか。(義)

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NEWS

~~~~~ イベントのお知らせ ~~~~~

『BETTER FOOD vol.2』刊行記念お話会:わたしたちの食の未来のために
日程:2024年6月26日(水)
時間:open | 19:00 , start | 19:30~
参加費:1,500円(500円分お買い物券付・overview coffeeのコーヒー、または紅茶付)
定員:15名(要予約)
予約:https://onreading.jp/event/bf2/ 
 
 大量生産・大量消費を基本に設計された現代のフードシステムのなかで、絶望することなく、より良い食の未来を目指している人はどんな実践や挑戦をしているのだろうか。そんな問いから生まれた、食分野におけるサステナビリティの先行事例を紹介するインディペンデントな雑誌『BETTER FOOD』。取材、編集、デザインすべてを手掛ける『BETTER FOOD』の編集長を囲んで、雑誌を作り始めたきっかけ、取材秘話、特集テーマの「ファーム・トゥ・テーブル」と「リジェネラティブ」について、フードビジネスにまつわる疑問や、食の未来に希望はあるのかなど、ざっくばらんにお話を伺います。2号で取材されたOVERVIEW COFFEEのコーヒーを飲みながら、ベストではなくとも、よりベターな未来について、皆さんとお喋りできたらと思っています。

飲食業界に携わる人はもちろんのこと、食の未来を考えたい人、雑誌づくりに興味がある人など、どうぞご参加をお待ちしております!喫茶prologueさんに、珈琲を淹れていただきます◎

協力:喫茶prologue

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奥山淳志『BENZO ESQUISSES 1920-2012』スライドショー&トーク
日程:2024年6月29日(土)
時間:18:30~ スタート
料金:1,000円(ON READINGお買い物券500円分付)
予約:https://onreading.jp/exhibition/benzo2/

写真家・奥山淳志の写真集『BENZO ESQUISSES 1920-2012』の出版記念展、初日の夜はスライドショー&トークを開催します!奥山さんの美しいスライドとともに、弁造さんの思い出、エッセイ、展示、写真集の制作を通して感じたこと、思い出されることなどをお話いただきます。深く、静かな奥山さんの語り、ぜひ皆さんと一緒に耳を澄ませたいと思っています。

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入荷情報 PICK UP

私の身体を生きる / 西 加奈子、金原ひとみ、エリイ、能町みね子、柴崎友香、宇佐見りん ほか
私の身体はどんな視線にさらされ、どのように規定され、内面化されているのか。17人の人気小説家・美術作家・コラムニスト・漫画家・発明家が自らの「身体」と向き合い、ときにユーモラスに、ときに激しく、そしてかつてない真摯さで文章をつむぐ。

哲学対話日記 / 小川泰治(編)
様々な背景を持つ人同士が集まり、哲学的な思考を通じて対話しながら、お互いの違いを認めたり、共通の課題に対して考えを深める「哲学対話」。本書は、街で、バーで、学校で、オンラインで、家族で哲学対話をしている11名の著者が、対話を行った日のことを記録した日記集。

DEEP LOOKING 想像力を蘇らせる深い観察のガイド / ロジャー・マクドナルド
ロングセラー再入荷!「アートの有用性」を独自に研究してきたロジャー・マクドナルドが解き明かす、革新的な表現を生んだアーティストたちが実践した「深い観察」の知られざる力。ディープ・ルッキングの歴史的背景とその実践について、具体的な事例も交えながら紹介。

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RECOMMEND BOOK !

庭とエスキース / 奥山淳志(みすず書房)

不思議に思えるのは、このようにして聞こえてくる弁造さんの声が語るのは、僕が意識的に思い起こそうとする内容とは異なるということだ。弁造さんから聞いたときに感銘を受けたり深く印象に残ったものだけではなく、むしろ、印象から遠いところ、きっと、弁造さん自身が聞いたとしても忘れてしまっているような些細な話。そんな何気ない会話がふいに、しかも繰り返し蘇るのだ。
奥山淳志『庭とエスキース』(みすず書房)より

いなくなってしまった人のことを想う。多くの言葉を交わし、ともに時間をすごし、心に触れた(ような、気がする)人が、どう生きていたのかを。

写真家である著者は、北海道の丸太小屋で自給自足の暮らしをしている「弁造さん」と出会い、14年にわたって撮影し続けた。現代社会への反抗ではなく、いずれ来る未来のために、開拓時代の暮らしを続け、庭をつくっていた弁造さん。画家になる夢を抱きながらも、1枚だけしか完成させることができなかった彼が遺したたくさんのエスキース(下絵)。弁造さんの”生きること”はなんだったのか。本書には、静かに綴られる弁造さんとの日々や記憶の断章と、呼応する40点の写真が掲載されている。

”生きること”とか、一人の人を「本当に知る」、というのは答えの出ない大きな問いで、輪郭が見えたと思ったらその瞬間から淡くにじんでいく。他者の記憶を譲りうけること、一人の人間の輪郭をとらえようとすること、他者を通して自分を見ること。著者はこの大きな問いを簡単に結論づけることなく、繰り返し繰り返し、記憶に呼ばれるままに想いを巡らせる。この本を書き上げた今でもきっとそれは変わらず、それは描いても描いても完成することのない、エスキースのようなものなのだろうと思う。そのまなざしと、写真というメディウムが持つ特別なちからが、わたしたちの心を打つ。

この本に出会って5年が経ちましたが、今なお、私たちにとってとても大切な一冊であり続けています。29日から始まる展覧会では、いよいよ弁造さんのエスキース(原画)が私たちの前に現れます。ドキドキ。(杏)

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枝葉末節な日々

今週の担当:杏

6/7(金) 朝、バゲット、ハムエッグ、レタス。今日、明日はギャラリーにて「出張やまだしん灸」。本当なら月イチペースで開催したいのだが、展覧会のはざまでやっているのでなかなか日程がとれず、今回は3ヶ月ぶりになった。平日だけどお客さんも多く、そこに大学生の取材やら『熊彫』に関する新聞の電話取材やらで夕方までてんやわんや。19時から私も施術をしてもらう。めちゃくちゃ久しぶり。「最近どうですか?」と聞かれて、自分の身体に思いをめぐらす。やまださんに診てもらうようになって、自分の身体の不調や変化に、以前よりは敏感になったと思う。昨秋診てもらったときは、「杏子さん今日、バラバラになってるよ~!黒・田・杏・子ってなってた!」と言われた。事実、心身ともに限界だったのだ。やまださんは鍼灸師だけどあまりはりを刺さないスタイル。やまださんのあたたかい手と柔らかなオーラに身体も心もほぐれていつも施術後はすっかり元気になっている。夜、よっさんの富山のお土産「大門素麺」。作り置きしていた茄子の煮びたし、みょうがと大葉、ゴマをオンして食べる。めちゃくちゃうまい。

6/8(土) 朝、昨晩卵液につけておいたバゲットを焼いてフレンチトースト。にんじんサラダ。昨日の時点でカチカチだったからか、ひと晩つけてたけどカリっとしたところもあって、しかしそれが逆に美味しい。店番はよっさんにお願いして、事務所にこもって今秋刊行の「手芸本」(仮称)のテープ起こしにいそしむ。手芸と共に生きてきた女性たちの語りが本当に面白い。お客さんが落ち着いてから、明日の「OKAZAKI BOOK FAIR」の準備。ケンカしながらなんとか終えて、一社の常楽飯店で夕ご飯。ニラレバ―定食。

6/9(日) 朝、昨日やまださんにもらったクッキーを朝食にして岡崎へ。企画者で会場のANGLEをやっている飯田くんは、昔からON READINGに通ってくれている。本のイベントをやりたいという話もいつか出店してほしいという話も、はるか昔から言ってたので、4周年記念として本のイベントをやると聞いて張り切って参加した。オープンと同時に続々と常連さんがやってくる。ANGLEは宿だけど、カフェ営業やイベントを通して、地元のお客さんに愛される「場」になっているんだなと思った。普段あまり本を読まない、本屋に行かないという方も多く「どんな顔をしてみたらいいかわからない」「本って伏線回収してくるじゃないですか」など、示唆に富む言葉を多く頂戴した。それでも本を読みたいって気持ちはある!と言ってくれるのが嬉しく、本屋としては、はちまきもふんどしも締めまくりたい所存。15時半からよっさんとTOUTEN古賀ちゃんのトークイベント。その間も、ゆったりお客さんがブースを見てくれて、本の話やら、農業の話やら、書店の現状やらについて調子に乗って喋りたおして、こっちはこっちでトークイベントみたいになった。打ち上げではANGLEのメンバーと、出店していた徳谷柿次郎さん、乾さん、アタシ社のミネシンゴさん、TOUTEN古賀夫妻と近所の中華「萬珍軒」へ。座りの円卓で味も気分も最高。三河エリアではおなじみ?の「インディアカ」なるスポーツを初めて知った。

6/10(月) 朝、晴天。溜まりにたまった洗濯物をひと回ししつつ、納豆ぶっかけうどん。開店を待っていてくださったのは、サンフランシスコからのお客様。どっさり買い込んでくださったのでお話を聞くと、「黒鳥本屋探訪」を観て来てくださったそう。SFでは、日本語の本はAmazonで買うと1週間くらいで入手可能だし、図書館に所蔵されている本は取り寄せで借りられるので、それほど不便はない。でも、こういうのはないのよね!とホクホク。たしかにうちはAmazonに載ってない本だらけ。夜、ゆいちゃんと一緒に、「DOROTHY」展で作品を購入してくれたTくん宅に、お納めついでに手巻き寿司パーティー。19時過ぎにスーパーに行くとお刺身がお安くなっていたので上トロも買っちゃう。その他、マグロ、甘エビ、鯛、ブリ、イカ、サーモン、ツナマヨ、チャンジャ、サニーレタス、納豆、みょうが、大葉などをせっせと包んで食べる。包んで食べるのってなんて美味しいんだろう。Tくんお手製の豚汁、きんぴらごぼうに始まり、ゆいちゃん作の和菓子(試作)2種、さくらんぼで終えるという素晴らしい晩餐。家に帰るとクレプトマニアのドキュメンタリー。以前、うちもそうした方の被害にあったことがある。盗る方も盗られる方も、たまらない。

6/11(火) 今秋開催のプロジェクトの下見に名古屋城。30度をこえる真夏日だったが、木陰に入ると涼やかで気持ちのよい風が通る。ふかふかの苔を絨毯に、皆でしばしまどろむ。しかし、帽子も日傘も持たず、無防備すぎの我々はすっかりバテてしまった。一旦帰宅して、昼寝してからレイトショーで『関心領域』を観に行こうといっていたけど、とても無理だった。猫とひたすらゴロゴロする日とする。最近、ハチがベランダに興味深々。洗濯を干したり取り込んだりする度に、こっそりと侵入(脱出?)を試みてくる。夜、ひき肉のサルサソースパスタ、にんじんサラダ。よっさんは蚊にくわれたのか眉間が赤くなっている。

6/12(水) 朝、トースト、ハムエッグ、ツナサラダ。絶望的な夢を見て目覚めたので朝からぐったり。よっさんに嫌われる夢だったので、心なしかよっさんが憂いを帯びているように感じて不安になる。あれこれ話しかけてみると、親知らずが疼くのでダウナーなのだそう。ちょっとほっとした。週末からのmornquilt展の搬入。テンションが一気にMAXになるかわいさ。天才すぎる!!!岡崎のイベントでもお話したAさんが来てくれた。いろいろ話してるうちに建築を学んだ方だと知って、無限に広がる概念を物理的に有限である棚に収める時に、編集が必要になる・・・っていうようなめんどくさい話を私がしだしたのだが、その際に、河原に落ちている石を箱に収めると、とたんに「それでしかない石」になる、という話を例に出した。すると、Aさんが初めてON READINGを訪れた時のことを話してくれた。Aさんが大学生の頃、札幌国際芸術祭で島袋道浩さんの「携帯電話を石器と交換する」という体験型プロジェクトがあった。会場近くにはられたテントに石器が入った箱が並んでおり、参加者はそこで、携帯電話を同程度の重さの石器と交換し、その後は石器を持って芸術祭の鑑賞をする、というもの。Aさんの友人はポケットに入れた石器を、何度も携帯電話と間違えて取り出していたそう。その旅行の直後、初めてうちに来たAさんは、「この間みた、あの石が入った箱みたい」と思ったのだという。なんて最高の話!!!しかし、よっさんに話しても、今こうして書いてみても、全然うまく伝えられず、もうちょっと詳しく聞けばよかったと思う。でも私は、それを聞いてめちゃくちゃ嬉しかった。そういう場所を、ちょっと不思議で軽やかでユーモラスな、凝り固まった視点や意識がずれるような場を作りたいと思っているので。島袋さんも好きだし。夜、mornquiltさんからいただいた扶桑のパン屋、二兎のキッシュ。「今まで食べたキッシュの中で一番美味しい」とよっさん大喜び。

6/13(木) 朝、二兎の食パンをトースト。久しぶりに食べたけど、やっぱり私のナンバーワン食パン。どっしりもっちり、何にもつけなくても美味しい。鼻から脳へ香りがぬける。今日は宮田明日鹿ちゃんと制作中の「手芸本」(仮称)の取材日。築地口で約60年手芸店を営んでいたGさんにお話をお伺いする。御年98歳。戦前から現在まで、港まちの移り変わりや、手芸と女性の関わりをずっと見てきた方の生のお話、聞かせていただけて本当によかった。お昼は和食処わかまつで日替り割子弁当。品数たっぷりで美味しい。午後は、手芸×インターネットの申し子のようなYさんにZOOMでインタビュー。パソコン通信、ホームページ、SNSと、様々なオンラインコミュニティと手芸のつながりのお話が興味深い。閉店後、伏見ミリオン座でようやくの『関心領域』。わりと早い段階から終わりまでずっと、ぐおー、ふがっ、ごー、と無呼吸症候群が心配になっちゃういびきをかいている人がいた。この映画で高いびきは、皮肉にもなかなかの臨場感というか、これぞまさに、というべきか。登場人物たちの”美しい生活”を安全な場所から観ている私たちもまた、観られている。塀のあちら側にいたユダヤ人が今、逆のことをしている。スクリーンの中だけではない。叫び声も銃声も今、この瞬間も鳴り続けている。麻痺させてはいけない。

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EVENT & EXHIBITION INFORMATION

~~~~~ ただいま開催中!~~~~~

【EXHIBITION】6/6日(木)~6/23(日) /  書店内ギャラリー 
『坂巻弓華 寓話集』原画展 光の詩人のおはなし
盛岡の書店、BOOKNERDよりリリースされた『坂巻弓華寓話集』の原画展が始まりました。本書は絵描きで絵本作家でもある坂巻さんの、ちょっとシュールでファニーな掌篇集。今回は、本書の巻頭に収録されている「光の詩人のおはなし」の原画を展示しています。書籍のほか、会場限定のトートバッグやポストカードも販売しております。坂巻さんの漫画集『すやぴ』も最高なので是非~!https://onreading.jp/exhibition/sakamakiyumika/

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【EXHIBITION】6/15日(土)~6/23(日) / ON READING GALLERY
mornquilt exhibition 『あたらしいキルト』
いよいよ明日からスタート!どこか感じる懐かしさの中に新しさが加わったパッチワークキルトを制作するmornquilt。独特な色や柄の組み合わせと、ひと針ひと針仕上げたハンドステッチがポイントです。悶絶する可愛さのクッションとキルトピースが並んでいます。会期も短くなっていますので、お早めに!!
https://onreading.jp/exhibition/mornquilt-2/


~~~~~ COMING SOON ! ~~~~~

【EXHIBITION】6/29日(土)~7/15(日) / ON READING GALLERY
井上弁造 / 奥山淳志『BENZO ESQUISSES 1920-2012』出版記念展覧会
写真家・奥山淳志の写真集『BENZO ESQUISSES 1920-2012』の出版記念展を開催します。今回の展示では、奥山さんが撮影した弁造さんのエスキースのポートレート写真と合わせ、ついについに、弁造さんのエスキース(原画)作品を展示販売いたします!!!嬉しい…!初日には奥山さんのスライド&トークイベントも開催します。ぜひご来場ください! ご予約は以下のリンクより。
https://onreading.jp/exhibition/benzo2/

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♪ Now Listening

『High On The Glade』Little Wings
2002年リリースの歴史に残る超傑作『Light Green Leaves』は今でも個人的オールタイムベスト。奇跡的なご縁に恵まれ、来日した際にON READINGでもライブをしてくれたのは忘れられない想い出よ。お茶目で心優しきKyle Fieldによるソロ・プロジェクト、Little Wingsによる心待ちにしていたニューアルバム。こんなの好きに決まってる。(義)

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今日のところはこのあたりで。それではまた来週お会いしましょう~。

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