NEWSLETTER FROM ON READING 2026.08.14

こんにちは、ON READINGの黒田義隆(義)と黒田杏子(杏)です。 明日は8月15日。戦争の話を直接聞ける人は減っていっても、毎年「初めて知った」ということがあります。時間が経ったから明らかになることもある。そして知るたびに、戦争の恐ろしさに震えます。知って、震えて、もう二度と嫌だと何度も言う。(杏)
NEWS

EVENT
喫茶 言の菓:星新一「ノックの音が」
2025年8月22日(土)、8月23日(日) ※日程追加しました!
時間:12:00~ / 13:30~ / 15:30~ / 17:00~ / 18:30~
予約制:各回1時間・定員4名
料金:2,500円(税込)
ご予約:https://onreading.jp/event/kotonoka4/
8月23日(日)が定員となりましたので、8月22日(土)の枠を追加しました。
残席僅かです!
物語から、浮かぶ味がある。舌から、たちあがる言葉がある。ある一冊の本(または言葉)を起点に、菓子屋おむすび @kashiyaomusubi が菓子を拵えます。言葉と菓子のコラボレーションをお楽しみください。今回は喫茶でのご提供となります。
文庫本(星新一『ノックの音が』新潮文庫)と、菓子、温かいお茶のセットでご提供いたします。ゆっくりと本の世界に浸りながら、お楽しみください。
以下、菓子屋おむすびこと、芦川結衣さんから↓
今回は、星新一の短編集『ノックの音が』を念頭に、喫茶の形式で菓子と温かいお茶をお出しします。
星新一は、言わずと知れたSF小説の金字塔的存在。ショートショートと呼ばれる、とっても短い短編でよく知られます。ひとつの短編はだいたい10ページほど。どこか懐かしいような描写に、けれど冷静に考えたらあり得ないような設定、そして最後に待ち受ける、ぞくっとするようなどんでん返しに視点をひっくり返される感覚。小学生の頃から幾度となく触れてきましたが、何度読んでも胸が高鳴り、どきどきします。
今回の『ノックの音が』は、その名の通り、すべての短編が「ノックの音がした。」の一文から始まります。同じ文章から始まるのに、さまざまなお話に枝分かれしていく驚きと、「扉」という物体の秘める普遍性、そして何より、言葉というものの不思議さに何度もため息をついてきた一冊です。
星新一は、春や秋ののどかな空気や、冬のぬくぬくしたお部屋の中ではなくて、夏のきんきんに冷えたお部屋の中で読むのが一番似合うんじゃない?――という私のわがままに、黒田夫妻には付き合っていただき、真夏ど真ん中の開催とさせていただきました。
もしかしたら、私の普段の作風とはひと味違ったものになるかもしれません。それもぜひ楽しみに、お越しいただけたら嬉しく思います。
入荷情報 PICK UP
・30年目の手記 / 阪神大震災を記録しつづける会
阪神・淡路大震災から30年。震災を経験した人、経験していない人、10代から90代まで、さまざまな時間を生きる125人の手記を収録。災害の記録や記憶の継承について考えるためだけでなく、異なる背景をもつ人々が、一つの出来事について安心して言葉を寄せることの意味を考える本として。震災から30年という時間の先に、いまを生きる私たちが手に取る意味のある一冊です。
RECOMMEND BOOK !
「山って、女なんじゃって」
と、姉が言っていたのを思い出した。まだ、この戦争がはじまる前だ。どこかの国では、ものや自然にも、女か男かがあるらしい。じゃあ海は、と聞いたら、姉は本をじっと見て、海も女、と答えた。(中略)その数年後、あたしは子供の手を引きながら、きっと戦争も女だろうと、白い光を見て思っていた。あたしたちは、戦争という女の、つるみたいに巻きつくような腕の中にいる。
『ほんとうのことを書く練習』が大ヒット中の著者による初の長編小説。
1953年、軍艦の浮かぶ港町・呉。戦後間もない混乱の中で、からだを売りながら、それでも誰の支配も受けずに生きようとする女たちがいた。
彼女たちの日々を締め付ける、貧困、暴力、差別、失われた尊厳。
ある日、そんな町に「7月31日、町が焼かれる」という不穏な噂が流れるーー。
歴史の大きな物語からこぼれ落ちてきた人々の声に耳を澄ましながら、戦後という時代の現実と、そのなかでなお生きようとする人間の強さや、一人ひとりの切実な人生を生々しく描き出し、過酷な現実を見据えながらも、そのなかに確かに宿る希望や連帯の光を描いた一冊。
土門さんはこの小説を書き終えて、身心ともにボロボロになった、そうだ。
とんでもなく大きなものが自分の中を通過していったようだった、と。
読み終えて、そうだろうなと思う。
ここに書かれた5人の女性たちの生。
愛もからだもいのちも、気だるく、ずしりと重い。けれど、恐ろしく鮮やかな光を見た、とも思う。
枝葉末節な日々
今週の担当:(義)
8/7(金) 朝、なんとか早めに起きて、名古屋古書会館で開催されている古書市へ。徒然舎や古本いるふ、オヨヨ書林、半月舎などすばらしい古書店が出店する年に数度の市。10時半くらいに会場に着いたが、既にお客さんでいっぱい。冷房が頑張っているもののなかなかに暑い会場内でみんな必死に棚を見つめている。若いお客さんもちらほら。隣にいた大学生らしき若者たちは、漫画ってコスパ悪いよね、一時間くらいで読めちゃうもん。といって、分厚い古典文学を何冊も手にしていた。頼もしい。買い物かごがいっぱいになるくらいは買えた。ちょっと寄り道し、帰省先で楽しむためのBBQセットや花火をかって店に戻る。朝昼兼用ごはんは、コンビニの冷やしきしめん。たらったらの麵だけど、冷えていれば適当でもおいしいのがきしめんのポテンシャル。最近、求人についてのお問い合わせがちらほら来ている。明らかにAIに書かせたであろう応募文面に「現在は求人していません」と返信すると、今度はさらにAIが書いたような丁寧な返信が秒で届いたので少し笑ってしまった。これもまた、コスパやタイパを重視する行動姿勢なのだろうと思うが、たしかに時間やコストは削減できたかもしれないが、肝心の「パフォーマンス」も削減(っていうかこの場合は消滅)していないだろうか。本当にすぐに手段の目的化が起きちゃうんだよな~。自戒も込めて。
8/8(土) 朝、とうもろこしごはん、みそ汁、蒸し野菜。プリンタのヘッド交換をしたら、見違えるように印刷がきれいになっていい気分。これまでのプリンタはヘッド交換や廃インク吸収パッドが交換できず、限界がくるとプリンタごと買替えなきゃで、それがすごくストレスだったが、今使っているCanonのG3370は、どちらも自分で交換できるような仕様になっているため、基盤さえ壊れたりしなければずっと使えるのが気に入っている(もちろん交換パーツが販売終了したら終わりだが)。こういう「修理する権利」(ヨーロッパやアメリカでは運動にもなっているらしい)を奪わないプロダクトは、それだけで推せる。営業後、詩人で写真家の小林くんと個人的なおしゃべりの会。ちょっと詩について話しましょうと、前もって連絡が来ていて楽しみにしていた。なか卯で弁当を買って、店で食べながらおしゃべり。吉増剛造さんのこと、若木信吾さんのこと、縄文土器のこと、ネガティブ・ハンドのこと、宛先のない手紙。詩を書くこと、詩を読むことは、詩について考えること。あいだ、あわい(小林くんは濁りと表していた)をつかまえること、それは詩の言葉でしかできないということ。気がついたら日付を跨ぎそうになっていた。
8/9(日) 朝、とうもろこしごはん、みそ汁、蒸し野菜。今日も今日とて、DIYのためにホームセンターへ。いつも行っているスーパービバホームに行くも、売っていたベニヤ板の状態があまり良くなく、足を延ばして長久手のロイヤルホームセンターへ。あ~、こっちの方が全然状態もいいし、在庫も豊富だし、何ならちょっと安い。はじめからこっちに来ていればよかったな……。カットしてくれるスタッフさんも丁寧で親切だった。夜ごはんは、長谷川あかりレシピの出汁カレー。『バックルームズ』の試写を観る。昨今話題になっている「リミナルスペース」という美学・概念をインターネット上で普及させた代表的なミーム/都市伝説をモチーフにした映画。16歳で公開した同名の短編動画で世界的な注目を集めたケイン・パーソンズが監督を務め、19歳で映画化を実現し、史上最年少で全米・世界興収ランキング初週1位を記録したという話題作。現実と仮想の境界が曖昧になり、知らぬ間に足元をすくわれてしまうような、現代特有の、常に得体の知れない不安が付きまとう感覚をうまく描き出した作品。この感覚は世界的なものなのかな~。そういえば『シャイニング』も、今思えばかなりリミナルスペースっぽい映画だったな、と思い出したりした。
8/10(月) 今日、明日と店はゆいちゃんにお任せ。朝、9時半に出ようと言っていたのだが、結局出発できたのは10時過ぎ。渋滞にもしっかりはまり、杏子の祖父母家のある白鳥に着いたのは12時半。用意してもらっていたひやむぎを食べる。日差しが強い日向はさすがに暑いけど、日陰にいくとさらっさらの風が吹いてとても心地よい。姪っ子のRちゃんの遊びに付き合いつつ、少しだけ昼寝。夕方からBBQ準備。めちゃくちゃ久しぶり(多分20年ぶりくらい?)すぎて、木炭の火おこしに一苦労。そうだった、めちゃくちゃうちわでバタバタして風を送らなきゃダメだったんだ。なんとかかんとか火もついて、肉やら野菜やらを焼く。涼しい風が吹き抜けるなかで食べるBBQは最高だった。毎年やってもいいな~。陽が落ちらところで、今度は花火。手持ち花火もめちゃくちゃ久しぶり。線香花火はやっぱりいいもんだ。ぱち、ぱち、と音を立てながら、無数の小さな光が生まれては消えていく。やせ細った火玉がふっと落ちたあとの少し焦げた匂いが、様々な記憶を綯い交ぜにする。Rちゃんも線香花火がいちばん好きみたい。空には星がこれでもかというくらい輝いている。北斗七星はみつけれたが、どれが夏の大三角形かは忘れてしまっていた。何もかもが夏過ぎた。この夏のことをRちゃんはいつか思い出したりするのだろうか。
8/11(火) 朝、10時前にゆっくり起床。既にRちゃんとお義姉さんは、道の駅まで出かけていた。静かな朝。外に出てチェアリングしながらくつろいでいると、Rちゃんたちが戻ってきた。手にはミルクココアの缶。知らないババアにもらったのだという。笑いながらババア、ババアとふざけて連呼していたら、お義母さん(つまりおばあちゃん)にピシャっと叱られていた。こういうときにきちんと叱れるお義母さんはえらいなと思った。姪や甥に対して、果たして真剣に叱ったりできるのだろうか。あまり想像ができない。昼ごはんをたべて、お義母さんがみんなで作ろうと用意していた、郡上の切子灯籠の紙模型の制作に取り掛かる。が、難易度が高く、Rちゃんは早くも離脱。大人たちが悪戦苦闘しながら工作に励んでなんとか形にする。一息ついてRちゃんとねるねるねるねを食べて(めちゃくちゃに甘い!こんなに甘かったっけ?)、今度は一宮に帰省。父が鰻を食べたいというので、近所のなまずやで、ひつまぶしを。生き帰り、大江川沿いを歩いたが嘘みたいに涼しい。台風が迫っているからか。ずっとこのくらいの気温だったらいいのに。実家にはこうちゃん、もんちゃんという二匹の猫がいるが、いまだ懐かず。こうちゃんをコーナーに追い詰めてお尻とんとんして、なんとか撫でさせてもらう。撫でているときはまんざらでもない顔をしているのにな。いつか懐く日がくるのだろうか。一旦店に戻り、ゆいちゃんにトウモロコシをお裾分け。外の植物を念のため中に入れて帰宅。疲れているはずがなかなか寝付けず、ネトフリで『三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実』を観る。三島由紀夫、思想には賛同しかねる部分も多いけど、ユーモラスだし、相手を決して馬鹿にしないし、めちゃくちゃ魅力的な人だったんだな。この時代の政治背景もなかなかに複雑だ。いや、今だって十分複雑か。いろんなことがねじれにねじれている。が、三島くらい、きちんと対話を試みようとする姿勢をもった政治家ばかりだったら、もうちょっとマシな社会になっていただろうな。「お答えを差し控える」ばっかだもんな。それを許しちゃだめでしょうに。
8/12(水) 朝、とうもろこしごはん、みそ汁、蒸し野菜。台風は拍子抜けするほどなにも影響がなかった。お盆休み中盤。昨日はだいぶ忙しかったみたいだが、今日は暇、というわけではないが、忙しいというほどでもなく、売上もまぁそんなところか、という感じ。こまごまとしたDIYを進める。夜は、蒸し豆腐や蒸し野菜。人間ドックの結果が届いていた、やはり、胃のポリープは要再検査。はじめての胃カメラか~。
8/13(木) 朝、とうもろこしごはん、ラタトゥイユ。今日も昨日と同じくらいの感じ。まぁお盆はこんなもんか。営業後、MINAで秋に行う企画の打合せを、作家の渡辺真悠さんと。ずっと気になっていた素敵な作家さんで、今回のコンセプトにもぴったりだったので思い切ってお声がけしてみたのだが、快諾してくれて嬉しい限り。話しているとどんどんいろんなアイデアが生まれてくる。とにかく時間がないので、どんどん進めていかなくてはいけない綱渡りなスリリングな企画だが、なんとか楽しんでやっていきたい。夜は久しぶりに街かどや。
EXHIBITION INFORMATION

KOKOLIS exhibition vol.17
2025年9月3日(木)~7日(月)
※最終日は19時まで
革鞄・革小物ブランドKOKOLIS(ココリス)17回目の展示受注会。
新作はちょっとだけスポーティな雰囲気のショルダーバッグ。しなやかに体に馴染む、使い心地のよいバッグです。
また今回はアパレルブランドYP. @__yp.__ のお洋服も併せて展示販売いたします。
服とバッグのコーディネート提案。ダブルネームでの新しいアイテムも企画しています!
※KOKOLISの商品は基本的に受注生産となります(一部即売品もございます)。
展示品をベースに、革色や糸色、仕様をお選びいただけます。商品は3~4ヶ月後のお渡しとなります。
※YP. の商品は即売品のみとなります。すべてこの展示のために制作した一点ものの作品となります。
KOKOLIS
ハンドメイドの革鞄と小物のオーダーメイドブランド。気張らず使いやすいデザインと、長く愛用できる丈夫で丁寧なつくりにこだわり、デザインから染色、縫製、仕上げまで、一点一点すべて手作業で制作しています。
http://www.kokolis.jp/
instagram : kokolis_sk

渡邉紘子 個展『想像の昼寝』
2026年9月12日(土)~9月27日(日)
※9月22日(火祝)は営業、9月24日(木)は振替休業となります。
布やガラス、紙など身近な素材を組み合わせ、日常に潜む小さな喜びや記憶をすくい上げる立体作品/インスタレーションを制作するアーティスト、渡邉紘子の個展を開催します。
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「想像の昼寝」
このタイトルに至るまでには、「自分のまね」→「マネ」→「草上の昼食」→「想像の昼寝」という連想がありました。
(「草上(そうじょう)」を上手く発音できず、「昼食」と書きたいのにどうしても「昼寝」と書いてしまうことから生まれた言葉です。)
初めのうちは全くやったことのない表現に挑もうと試行錯誤していたのですが、途中でとても辛くなってしまいました。
そんな中、ふと思いついた展示風景が、以前自分が作ったものとよく似ていることに気がつきました。
人のまねはもちろん、自分の過去作の焼き直しもしたくない。そう思っていたはずなのに、何かを作るということは、結局自分の中にあるものを引き出し、知らず知らずのうちに「自分のまね」を繰り返していることなのかもしれない。それならいっそのこと意識的に「自分のまね」をしてみようと決めたら、新しいアイデアが浮かんできたりもしています。
『草上の昼食』を描いたマネ自身も過去の名画から着想を得ており、その作品もまた多くの作家によってオマージュされ続けていることを知りました。
「まね」から始まった制作にまだ少し抵抗感を抱きつつも、このタイトルのように思考を連想させ、まだ知らない場所へ辿り着くことができたらと思っています。
渡邉紘子
1981年生まれ。多摩美術大学 テキスタイルデザイン専攻卒業。University of Art and Design Helsinki留学。日常の小さな出来事をテーマに、布やガラスなどを使用したオブジェやインスタレーションを制作している。2020年 代々木上原にアトリエ兼多目的スペース「April Shop」をオープン。
https://www.instagram.com/hirocoro43/
♪ Now Listening
Papa's Boat / Dana and Alden
オレゴン州ユージーン出身の兄弟、サックス奏者DANAとドラマーALDENによるユニット。ジャズを基盤にインディ・ロック、ファンク、ポップ、ヒップホップまでを自在に横断する技巧派。MARCOS VALLEやMEI SEMONESら多彩なゲストも参加した意欲作。
今週はこのあたりで。
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