NEWSLETTER FROM ON READING 2024.09.13

週に一度のニュースレターをお届けします。
ON READING 2024.09.13
誰でも

こんにちは。ON READINGの黒田義隆(義)と黒田杏子(杏)です。
日中は、なかなか涼しくなってくれないですが、さすがに日は短くなってきましたね。暴力的な西陽もすこし落ち着いてきたように感じます。ところで私はいつからかずっと鼻声です。熱も出ず、咳も出ずだけど長引く風邪が流行っているとかいないとか?季節の変わり目、皆様どうぞご自愛ください。(杏)

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入荷情報 PICK UP

小さい午餐 / 小山田浩子
 広島在住の芥川賞作家・小山田浩子の初めての食エッセイ集。月に1回くらいどこかへ出かけてお昼ご飯を食べながら考えたこと。  初回入荷分サイン入りです。

開講!木彫り熊概論:歴史と文化を旅する
 1970年代に北海道の一大土産品産業になった、木彫り熊が歩んできた歴史を振り返り、土産店、職人・作家、有志の研究会、展覧会を企画した博物館や大学など、木彫り熊に携わる人々の多彩な活動と現場の声から、木彫り熊をあらたに捉え直し、その魅力と私たちとの関係とを明らかにした一冊。

感情の海を泳ぎ、言葉と出会う / 荒井裕樹
第15回わたくし、つまりNobody賞を受賞した、障害者文化論を研究する日本文学者であり文筆家の荒井裕樹によるエッセイ集。文章を書く人・書きたい人に贈る、良い文章と出会うための25篇。 

全スケートボード史 / イアン・ボーデン
建築・都市文化の専門家であり、自身も40年以上のスケーター歴をもつイアン・ボーデンが、スケートボードがカルチャーやアート、都市文化に与えた影響やそのアティチュードを明らかにした一冊。100本以上のスケート・ビデオをQRコード収録。

DREAMING / 花松あゆみ
主にゴム版画によるイラストで書籍、雑誌等で活躍中のイラストレーター、花松あゆみによるZINE。本書は2024年に西荻窪のFALLにて開催された同名の個展にあわせて制作されたもの。 

えんちゃんち / 最後の手段
EVISBEATSや矢野顕子&YUKIのMVなどで知られる、有坂亜由夢、おいたまい、コハタレンの3人からなる、人々の太古の記憶を呼び覚ますためのビデオチーム『最後の手段』によるコミック作品。

\\人気のカレンダーも続々入荷中!//

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RECOMMEND BOOK !

鉄砲持ってっても、普通に山歩いてきて、いきなりバーッと鳥肌立つ場所があるの。怖いとか感じる前に、バーッて。あと、生き物が見てるんだよね。なんかいるんでねえかって振り返って見れば、シカとかそういうのが黙って見てるんだ、こっち。こう立木を触ってても、気持ちよく感じる時と、鳥肌立つ時ってある。その感覚だびょん。怖いでねえのよな。(マタギ・木地師 山中泰彦)
ふるさとはるか『ことづての声/ソマの舟』(信陽堂)より

主に木版画を中心に表現するアーティスト、ふるさかはるかの作品集。

これまでに北欧の先住民族サーミの人びとを取材した木版画シリーズを発表するなど、その地の暮らしや風土から作品を制作したり、自ら育てた藍や採取した土から絵具をつくり、切り出した枝の形を活かして版木をつくるなど、自身の手を通して自然と対話しながら制作をしています。

2017年からは、滞在制作をきっかけに出会った、津軽・南部地方で山の命と直接関わるマタギ(猟師)やソマ(木こり)や漆掻き(樹液を採集する人)たちが動植物からどんなサインを読み取り、どう自然とやりとりするのかを取材し、またそのことばに導かれながら木版画、ドローイングを通して制作をすすめてきました。

本書は、取材した山の手仕事の人びとのインタビューと自作のピンホールカメラで撮影された記録写真、ドローイングを収めた「ことづての声」(たて組)と、取材を受けて考察したエッセイと木版画を収めた「ソマの舟」(ヨコ組)を1冊にまとめた両開きの構成。菅啓次郎(詩人、比較文学研究)、登久希子(人類学研究者)による寄稿も収録しています。

漆の木と樹液(生漆)を使って1点ずつ手刷りした木版画作品、漆塗りの「ソマの笛」の貴重な音声が聴けるQRコードが付いた栞が入っています。

冬の厳しい北国で、山と直接関わる仕事をしている人々は、どう自然と「応答」しているのか。

都市に住む私たちが忘れてしまったその感覚に裏打ちされた言葉は、とても、重く、響きます。

けれど、きっと遠くはない。こちらから耳を傾ければ今もそこにあるのだから。

そしてこうした生々しいもの、複雑で曖昧なものをそのまま届けるにはどうしたらよいのかと、自身の表現と、分け与えられた「声」のバランスを悩みながら制作を続けてきたふるさかさんの、足跡と挑戦がふんだんに詰まった作品集です。

当店では11月に刊行記念展を開催予定です。

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枝葉末節な日々

今週の担当:(義)

9/6(金) 朝、昨日の残りのカレーに牛乳を加えて温めたら、ほとんどカレーの味がしないスープになった。今日からバブーシュカで断捨離マーケット。杏子が売り子をするのでバブーシュカに車で送る。結構いいレコードも放出してるので売れるといいな。店もゆったりながら、お客さんが途切れたり途切れなかったり。私設図書館もんのTさんが来て、梨をお裾分けしてくれた。「豊水」と貼ってあって見るからに美味しそうな大きなやつ。「梨汁ぶっしゃ~ですよ」とTさん。これは楽しみ。夜、むね肉のソテー、ちょっと火を入れすぎて硬くなってしまった。「地面師たち」を最後までみる。最後までハラハラの展開。

9/7(土)  目玉焼き、ごはん、味噌汁。当店をMVの撮影で使用したいという某バンドの方々がご来店。以前よりON READINGに通ってくれているそうで、本屋のシーンがあるのでぜひここで撮影したいとのこと。嬉しい。その後、11月に展示をしていただく写真家の戎康友さんがギャラリーの下見に来てくれる。雑誌『ku:nel』の取材をきっかけに編集者・文筆家の鈴木るみこさんとともにイギリスのいくつもの美しい庭をたずねて撮影した写真集『みどりの王国』の展示。今から楽しみ。現在、山口洋佑くんの展示を開催してもらっているURESICAさんから、作品集『骨になる』を追加で送ってほしいとの連絡。展示中、既に100冊近くも販売していただいている。凄い!ありがたい。急いで梱包し、なんとか夕方の集荷に間に合った。その後、杏子は郡上おどりのおどり納めに。帰宅、夕飯は麻婆豆腐を作る。ネトフリで最近観ている韓国のサイコサスペンスドラマ『誰もいない森の奥で木は音もなく倒れる』の続き。ふたつの時間軸の違うストーリーラインが行ったり来たりするので判りづらいところもあるのだけど、ルックもカメラワークも冴えてて、俳優陣もすばらしく見応えのある骨太な作品だった。12時をまわって杏子帰宅。

9/8(日) 朝、Tさんからもらった梨をいただく。口に入れた瞬間じゅわ~っと梨汁が溢れ出す。これは美味しい。ギャラリーではKOKOLISの受注会を開催中。長年愛用しているファンも多い革小物のブランド。セミオーダーであれこれ相談しながら自分だけのアイテムを作ってくれるので、みんな楽しそうに悩んでいる。日中もまぁまぁ忙しく、お客さんがいい感じに来てくれている。NC別冊もよく売れている。夕方、杏子はSちゃんとお茶に。閉店間際に滑り込みで来た大学生のお客さんがたくさん買い物をしてくれる。人類学を学んでいて60年代のジャズフェスティバルを研究しているという。先日大学の授業の関係で行ったという台湾の成人儀礼の話が興味深かった。夜はチャーハン。ネトフリで『レベルリッジ』。緊張感あふれるアクション・サスペンス。

9/9(月) 朝、パン、サラダ、おいしい梨。今日はゆったりとした客足。バブーシュカの杉ちゃんが断捨離マーケットで売れ残ったものを持ってきてくれる。結構売れたみたいで嬉しい。ぴちぴちで着れなくなったセットアップのスーツや、まさかの炊飯器も売れていた。DVDレコーダーは返ってきた。だれか欲しい人いますか?

9/10(火) 朝6時半に家を出て、新幹線で東京に向かう。西荻窪でのURESICAさんで山口洋佑くんの個展が昨日まで開催されていたのだが、スケジュールが会わず観に行けなかったので無理言って搬出日の今日に御礼とご挨拶を兼ねて伺わせてもらうことに。本当は10時くらいにURESICAさんに到着の予定が、その後に観に行く予定の東博での内藤礼のチケットをうっかり取り損ねたため、急遽一旦東博まで当日券だけ買いに行くことに。しかし暑い。少し歩いただけで汗がふきだす。40分くらい遅刻してURESICAさん着。店主のカマタさん、小林さん、そして山口くんがあたたかく迎えてくれる。山口くんの新作が本当にすばらしい。かつて海底だった山に降り注ぐ木漏れ日。長い長い年月をかけて魚から人になったという、私たちの祖先から続く壮大な時間を意識して描かれた作品群。漆喰を使った新しい表現も面白い。ELVIS PRESSからリリースした山口くんの作品集『骨になる』も、会期中なんども追加してくれて、通算150冊ぐらい販売していただいた。本当にありがたい。。。お昼は向かいにあるサジロクローブでカレーランチ。カマタさん、小林さんたちともゆっくりお話できて嬉しい。そして再び東博に。内藤礼『生まれておいで 生きておいで』。縄文時代の足形の土版や素朴な土製品と、ガラス玉や鏡、猫の毛玉、枝などを空間にコンポジションしたインスタレーション。縄文時代から現在へと脈々と引き継がれてきた生きることへの祈りのかたち。山口くんの展示のテーマとも呼応する。同じく上野公園内の東京都美術館で開催中の展覧会『大地に耳をすます 気配と手ざわり』も。こちらはミロコマチコさんや、11月に店内でミニ・エキシビジョンをしていただく、ふるさかはるかさんら現代作家5人が参加している企画展。自然と人との関わりをテーマにしていて、こちらもスケールの大きな視点の展示。その後は銀座メゾンエルメス フォーラムで同時開催されている内藤礼の同名の展覧会に。石、鏡、風船や花など、本当にささやかなものたちが響きあうように、調和するように配置された途端に何かが立ち上がってくる。そのことが本当に面白い。音が音楽になったり、言葉が詩になったり、線が絵になったり、光が祝福になったり。その瞬間に凄く興味があるし、その瞬間を見逃さないように生きていきたい。ヘトヘトになった体にムチを打ち、伊勢丹新宿のRonan Bouroullecの展示(三澤遥さんの空間設計もよかった)に行き、麻辣王豆腐で〆。さすがに歩き疲れた。帰りの新幹線で旅のお供に持って行った井戸川射子の『ここはとても速い川』を読了。素晴らしい。特に後半は打ちのめされた。

9/11(水) さすがにちょっと疲れている。朝、昨日、東京駅で買ったオイモンブラン。休み明けなので、オンラインの出荷作業が忙しい。半休もらうつもりが、あれこれしているうちにあっという間に時間が経ってしまい、結局17時過ぎに帰宅。ちょっと横になったらそのまま寝てしまい、20時過ぎに杏子を迎えに再び店へ。スーパーに寄って、こてっちゃんとキムチ、もやしを買って、ちゃちゃっと手抜き丼に。

9/12(木) 朝、トースト、サラダ、ウィンナー。大人気のイラストレーター・勝山八千代さんのカレンダーが入荷。昨日オンラインにのっけたところ早速たくさんのご注文をいただく。今日も出荷作業に励む。夜、杏子は、あいちゃん、山田さん、ゆいちゃんとご飯へ。自分は残ってオカタオカの作品集のスリーブジャケットのデザインや色校の赤入れ、ギャラリーの片付け。ペヤングソース焼きそばを買って22時半頃帰宅。ネトフリで『MIU404』を観始める。杏子は24時頃帰宅。

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EXHIBITION INFORMATION

~~~~~ 開催中! ~~~~~

【EXHIBITION】9月14日(土)~9月29日(日) at ON READING GALLERY
大杉好弘 個展 『sometime,somewhere,somethings』

当店では2回目となる、愛知在住の画家、大杉好弘の個展を開催します。

私は、私自身にとってリアリティのある空間や場所、人や物を描く際にともなう、現実とイメージとの間にあらわれる不確かながらも、確かに存在する空気のようなものを表現したいと思っています。今回の展示では、旅先でのスナップ写真や私の生活空間をモチーフとして描き、プレス機によって圧縮されたモノタイプの作品群を通して、ささやかな空気のようなものを感じていただけたらと思います。(大杉好弘)

また、本展示に合わせて、モノタイプの作品をまとめた作品集も発売開始!

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【EXHIBITION】10月12日(土)~10月27日(日) at ON READING GALLERY
OKATAOKA Exhibition 『WALL OF SOUND』

イラストレーター・オカタオカによる最新作品集『WALL OF SOUND』(ELVIS PRESS刊)の刊行記念展を開催します。自分で好きな曲を選び、それを聴きながらイメージを膨らませ、7インチと12インチのブランクのレコードジャケットをキャンバスにして描いたシリーズを展示します。

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♪ Now Listening

Piano Études / Mashu Hayasaka

北海道を拠点に活動中のSSWで音楽家のMashu Hayasakaが2020年に自身のバンドキャンプにて公開していたピアノソロ作品がこの度、イギリスのAll Night lightからLPリリース。カセットの録音されたミニマルでローファイなピアノ即興音源。エリック・サティや、エマホイ・ツェゲ・マリアム・ゴブルーに通じるノスタルジックで美しい旋律。(義)

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今日のところはこのあたりで。また来週~~!

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