NEWSLETTER FROM ON READING 2024.08.09
こんにちは。ON READINGの黒田義隆(義)と黒田杏子(杏)です。
ただいま夏休みをいただいておりまして、北海道・道東エリアに来ております。シカやキツネや牛やウマ、様々な動物に遭遇しながらの楽しい旅路。時折りホームカメラで猫たちの様子を観ながら、北の大地の気持ちのよい風を感じております。(義)
NEWS
〇夏季休業のお知らせ〇2024年8月7日(水)~8月10日(土)は夏季休業をいただきます。
EVENT INFORMATION
ただいま彦根のMitts Fine Book Storeさんにて開催中の『生活フォーエバー』展。なんとなんと!ゆる歌会イベントを開催させていただくことになりました。ほとんど対面イベントをしないので、寺井さんに会える非常~に、貴重~な機会です!お盆真っただ中ですが、滋賀からはもちろん、関西からも、名古屋からも近いので、こぞってご参加くださいませ~~。私たちもいきますよ。短歌初心者も大歓迎◎
ご予約・詳細:https://www.instagram.com/mittsfinebookstore/
2024年8月12日(月祝)イトウマ×遠藤美月×山﨑くるみ
「ながいうた みじかいうた」発売記念音楽ライブ・短歌朗読会
会場:ON READING GALLERY
出演 :イトウマ& スノーフレークラブ、遠藤美月、山﨑くるみ
開場 : 13:30 開演 14:00
料金 : 1,000円
https://onreading.jp/event/nagaiuta/
日々、音楽をつくったり短歌を詠んだりしているイトウマ、遠藤美月、山﨑くるみによる音楽&朗読ライブです。こちらも残席少なくなってきました。
RECOMMEND BOOK !
冬の馬は本当にたくましいぞ。黙々と生きるからな、あの雪の中でもよ。(中略)自分たちの力だけでよ、仔っこを産んで育ててよ。なんも人間が手をかけなくても、ちゃんと生きられるんだ
北海道本島の東端、根室沖に、人が立ち入ることができない馬だけが住んでいる島があるという――。
知人の編集者を通じて、ユルリ島の存在を知った写真家の岡田敦は、役所との交渉の末2011年に初上陸。以後10年以上にわたり、ユルリ島に住む馬と風景を撮影し続けている。
かつては人と馬が暮らす島だったユルリ島。人は去り、なぜ馬だけが残されたのか。本書では、岡田が撮影した写真作品に加え、元島民の方やその関係者へのインタビューを元に、ユルリ島の歴史と馬を巡る物語を紐解いていく。
霧のなかで駆ける馬の姿、その静かで深い瞳。沈みゆく太陽、雄大な海。
近いけれど遠い、幻の島で撮られた写真は、とても美しく幻想的。
だからこそ対照的に、時代とともに馬との関係を変化させざるを得なかった人々の言葉は、ひとつひとつがどっしりと心に積もっていくのを感じます。
「岡田さん、人間ぐらい悪いやついないから。」
消えてゆくものたちを見つめ、何を守り、後世に伝えてゆくのか。写真と文章で綴った、現代のロスト・ワールド。
今回の知床・根室旅で、ついにユルリ島を望むことができるだろうか。
枝葉末節な日々
今週の担当:(杏)
8/2(金) 朝、私はグラノーラ。よっさんはカレー。白くま味のグラノーラが甘すぎる…冷凍しておいたパイナップルを投入してなんとか食べきる。午前に美容院へ。美容師のKさんも私も、どうしても思い出せない言葉があって、テリーヌじゃなくて、ムースじゃなくて…野菜をぐずぐずにしてソースにするんだけど…「あ、ペースト?」「ペーストの兄弟みたいな」「一旦、ペーストで手を打ちましょうか」「なんかだんだんペーストで合ってる気がしてきた」「私もそんな気がしてきました」などと話す。星が丘の三越に寄ってお盆の御菓子などを調達し、通りかかった麩まんじゅうを皆のおやつに買って、店に行く。スタッフのゆいちゃんは以前、星が丘三越の和菓子店で働いていたことがあり、その時に山ほど食べていた馴染み深い麩まんじゅうだったそう。すっごく美味しかった。閉店後、ホモ・サピエンスの道具研究会の山崎さん木田さんとの「研究会」。最近どうですか的なところから始まり、生方脚本のドラマ、生活とエッセイ、批評と考察とそのどちらでもないこと、などなど、話していたら2時間経ってしまった。夜はそうめん。茄子とピーマンの揚げびたし、大葉、納豆をオンして。思い出せなかった言葉は、「ピューレ」だった。ピューレの魔術師。concaという素晴らしいイタリアンのお店の話である。
8/3(土) 朝、甘すぎるグラノーラを牛乳ではなくヨーグルトで食べることでやや緩和。ハムエッグ、コールスロー。生活は、失敗と実験の連続だ。夏季休業前の土日ということもあり、売上は良好。閉店間際、写真家のMくんがご来店。『「百年の孤独」を代わりに読む』の話から、ネタバレの”ネタ”ってなんだという話に。ミステリの犯人、試合の最終結果、M-1の優勝者は、できれば見る前に知りたくない。古典はなんとなくあらすじを知っているのに読める。「シックス・センス」や「ユージュアル・サスペクツ」はネタバレ踏んじゃったらもう見る気になれない。「古畑任三郎」は犯人が誰か、鑑賞者が知っている状態から話が始まる。とかとか。読む前に(見る前に)知ってしまうと損なわれてしまうものがたしかにある。けれど、作品の魅力はそれだけではない。私たちには常にどちらかひとつの道を選ぶしかなく、両方の可能性を比べてみることができない。夜、水曜から家を空けるので冷蔵庫を空っぽにするウィーク。冷凍ごはんで大葉肉みそチャーハン、冷奴。
8/4(日) 朝、グラノーラをヨーグルトで。ハムエッグ、プチトマト、コールスロー。忙しい日ほど、思い出せない不思議。昼イチで富山の古本屋、古本いるふの天野くんが来店。去年の夏は、富山に行った。大竹伸朗展を見て、立山に登った。山々が真っ赤に染まるマジックアワーは忘れられないほど美しかった。下山してからいるふがある滑川に行って、いるふと古道具スヰヘイさん、hopeさんのめっちゃ美味しいパンを堪能した。そこで、憧れのおわら風の盆の話を地元の皆さんに聞き、さらに行きたくなったのだった。夜、トマトとほうれん草の卵炒め、納豆、冷奴、以前あいちゃんからもらった根室のカレイの煮つけ缶。
8/5(月) Yuri Hasegawa Exhibition 『May I come in ?』最終日。オープンと同時に、駆け込みで観に来てくださった方もたくさんいらっしゃって、にぎにぎ。ありがとうございます。臨時休業前なので、各所への連絡や発注や〆切、オンラインショップの在庫管理等々、いろいろと追われて一日終わる。閉店後、ガストで一回ご飯を食べてから搬出作業。夏休みは知床・根室に行く。一番の目的は、元スタッフの画家、田中藍衣(あいちゃん)の展覧会を観に行くこと。会場は、根室の落石無線送信所跡。この不思議で特別な雰囲気を持つ場所の話は以前からあいちゃんに聞いていたので、展示をすると聞いて、行きたい!と思った。道東や北方民族文化への憧れは長年抱えていて、写真家の在本彌生さんや、野口亮平さん、石川直樹さん、白石ちえこさん、文筆家の鳥羽和久さんらの作品を通してや、直接お話を聞いてはいつか、と思っていた。極めつけは、今春にON READINGで展示をしていただいたエレナ・トゥタッチコワさん。エレナさんは知床で毎年滞在制作をしていた時期があり、展示の際には、知床で作成した映像作品の上映もあった。エレナさんとあいちゃんは、VOCA展2023で一緒だったこともあり、展示の話をすると道東行きを大プッシュしてくれて、おすすめの宿や道、温泉に加え、飛行機も調べてくれたのだった。そして昨年急に大好きになったラッコ。(根室沖には野生のラッコがいる。)さらに、岡田敦さんを通して知ったユルリ島と馬たち。まだまだあるが書ききれない。とにかく、ついに、行くのである。
8/6(火) 午前中に店に行って作業しようと言ってたのに、起きてこない奴がいる。さらに旅行準備と、母が猫シッターをしに来てくれるので部屋の片付けをしなければならず、朝から動いている私は寝不足も重なって機嫌が悪い。声をかけると「よいしょー」と猫をなでながらつぶやくが、一向に立ち上がらない。ようやく起きてきたと思ったら、今度は張り切って大掃除を始めた。段ボールをまとめ、クローゼットの整理に取り掛かる。仕事を増やしてどうする、今は「ちゃんと片付ける」より「とりあえず誤魔化す」タイミングでしょ、とぶつぶつ言いながらも、なんだかんだキレイになるのは助かるのではりはり働く。たまったままの冬用毛布をコインランドリーで洗い、掃除機をかけまくり、店に出勤して搬出とオンライン更新作業。来るべきラッコやキツネや鹿や鳥のために双眼鏡をイオンに買いに行って、スシローでご飯をすませ、帰宅してようやく旅行準備。旅のおともをどうしようと本棚を探る。管啓次郎さんとか持ってきたいよな、と思って『斜線の旅』を手に取ってふと開いたページが知床旅のエッセイで驚いた。一気に、彼の地に心を運ばれる。遡上するシャケ、アイヌの古老の言葉、夜の森で感じる動物たちの気配。それにしても、管さんの文章のもつ、この気持ちよさはどうだろう。しかし、今は全くもって、こんなことをしている場合ではない。午前3時。
8/7(水) 朝、にんじんツナサラダ、ゆで卵、昨日買ったミスド。セントレアで搭乗を待っている時に、人数が足りず漁船クルーズが中止になったお知らせがメールで届く。がっかりの気持ちと、それはそれでいいかという気持ちがないまぜに。落石漁船クルーズは、上陸ができないユルリ・モユルリ島の近くまで行く唯一の方法で、海鳥やラッコも見れる。書いていて、悲しくなってくる。あとひとりだったのに。16時に女満別空港に到着、今夜は斜里の宿、しれとこくらぶへ。着いた瞬間にくつろいだ気持ちになる。夜はしれとこくらぶで夕飯。鹿肉の焼肉定食。よっさんは鉄板のチーズチキンソテー。今まで食べた鉄板の中で一番熱々だった。中山よしこさんが宿まで訪ねてきてくれて、すこしおしゃべり。中山さんはずっと前に、はるばる店に来てくれたことがあった。芸術祭を企画されていたり、古書業や編集業もされていたり、近くのお店ヒミツキチこひつじの運営もされている。明日以降の旅程の相談にのってもらった。
8/8(木) ザーザー降り。今日は早起きして、知床五湖に行く予定だったけど予定変更。昨日中山さんに、知床五湖行くならガイド必須と聞いたので、明後日のガイドツアーに申し込み。というわけで、網走へ。まずは大広民芸店へ。セワポロロというウィルタ族の神さまのお守りがお目当て。ご主人に、ジャッカ・ドフニのこと、ゲンターヌさんのこと、樺太アイヌと北海道アイヌの違いなどさまざまにお話を伺う。北方民族博物館へ。北極を中心に世界中に広がる北方民族の文化を、民族別ではなくテーマ別に整理した展示。めちゃくちゃ充実の内容。お次は斜里に戻って、北のアルプ美術館。串田孫一さんが責任編集をつとめた山の雑誌「アルプ」のビッグファンである初代館長が立ち上げた個人美術館。本当に素晴らしかった。特に、移設された串田孫一さんの書斎と居間。しばらくその場にたちつくしてしまった。若き山崎さんが住み込みで働いていた書店に、ある日間違えて入荷した「アルプ」の創刊号。それが運命の出会いだった。出版という形式ゆえの誤配。本が持つマジカルのひとつだと思う。いろんなものを見たけど多分この旅のことを後日思い出す時には、道の途中で見かけた霧の中の馬のことや道路にひょこっと顔を出したキツネや鹿が頭に浮かぶだろう。雨の道東は、きれい。今夜の宿も、生き物の気配を感じる宿。満天の星が落ちてきそうだった。ところで今は、根室のはなまる寿司で順番を待っているところ。大人気の回転寿司で、まもなく1時間経つ。食べるぞ。
EXHIBITION INFORMATION
~~~~~ COMING SOON ! ~~~~~
【EXHIBITION】8/19(月)~8/27(火) at ON READING GALLERY
NEUTRAL COLORS Exhibition『NC別冊「ほんとの本づくりの話をしよう」滞在制作』
※最終日8月27日(火)は定休日ですが12時~16時まで営業いたします。
NEUTRAL COLORS 第6号「滞在」特集に向けて、NEUTRAL COLORSが実際にリソグラフ実機を使い印刷しつづける日々を展示します。2023年夏に東山公園を席巻した丁合ゾンビが再びやってくる。
第5号「言語」特集をリリースしたばかりのNEUTRAL COLORSが早くも6号に向けて始動。特集は「滞在」。2023年にON READINGで製作したNC別冊。そのときの滞在制作で感じた「知らない人を巻き込みながら作業する」「雑誌つくりを開いていく」。そんな楽しさがずっと心に残っていました。というわけで第2弾をふたたびON READINGにて滞在製作させていただきます。テーマは「Sound of Book Making ほんとの本づくりの話をしよう」。今回つくる雑誌は、NEUTRAL COLORSが出会う、本にまつわる人々のインタビュー集です。リソグラフ印刷、折り、丁合、綴じ作業を9日かけて行い、雑誌を完成させます。現場見学はもちろん製作に加わっていただけたらうれしいです。
♪ Now Listening
Tonkori in the moonlight 月明かりのトンコリ/ OKI
樺太アイヌの弦楽器、トンコリ奏者のOKIさんが1996から2010年までにリリースしたアルバムの中から、UKのレーベル「Mais Um Discos」が選曲したベスト盤。OKIさんのことは、18年くらい前の店を始めたばかりの頃に、葉っぱの坑夫の大黒さんに教えてもらって、当時もCDを取り扱わせていただいていた。アイヌの伝承歌謡ウポポの名手として知られる安東ウメ子さんとの楽曲も収録。古典や文化的アイデンティティを大切にすると同時に、ブルースやレゲエ、ダブの手法を取り入れたりと懐の深い音楽性に満ちたエヴァーグリーンな1枚。(義)
今日のところはこのあたりで。みなさまよい夏を!
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