NEWSLETTER FROM ON READING 2025.10.03

こんにちは、ON READINGの黒田義隆(義)と黒田杏子(杏)です。一週間が光の速さの如く過ぎ去っていきます。やばいっすね。夜になるとすっかり肌寒くなりました。これくらいの気温がいちばん好き。猫たちも寄ってきてくっついて寝てくれます。全然、山場が終わらず、もうずっと山場な気がしてきました。少しずつお休みいただきます。(義)
NEWS

絶賛営業中!
国際芸術祭「あいち2025」が開催される2025年9月13日~11月30日の期間中、愛知芸術文化センターB2にて、ON READINGが期間限定のミュージアムショップ『TEMPORA(テンポラ)』をオープンします。
様々なプレーヤーと協働しながら、アートブック、書籍(新刊・古書)を中心に、スーベニアとなるようなオリジナルアイテム、地元ゆかりのクリエイターたちによるプロダクトやグッズ等も販売するほか、ギャラリースペースを設け、展示企画やポップアップも開催し、ミュージアムショップの新たな可能性を提示していきます。芸術祭もぜひ、観に行ってくださいね!今回、かなり興味深い展覧会になってますよ!
Instagramのアカウントで随時、情報発信していきますのでぜひフォローお願いします!https://www.instagram.com/tempora2025/
2025年9月13日~11月30日
愛知県芸術文化センター地下二階
営業時間:10:00~18:00(金曜日は~20:00)
月曜定休(祝日の場合は営業、翌日休)
地下鉄栄駅・オアシス21から直結
臨時休業のおしらせ

ON READINGは、ちょっとだけお休みいただきます。よろしくお願いいたします!
EVENT

『それがやさしさじゃ困る』刊行記念トーク:鳥羽和久×植本一子
日程:2025年11月7日(金)
時間: 開場 19:00 開演 19:30~
入場料:2,500円(ON READINGお買物券500円分付)
定員:30名(要予約)
予約・詳細:https://onreading.jp/event/1107/
当店のお客さんにもファンが多い、お二人の対談です!
早速ご予約いただいておりますので、気になり方はお早めに~!
入荷情報 PICK UP
・「要するに」って言わないで──本当の自分の思いに気づくとラクになる / 尹雄大
インタビューやルポルタージュを主に手掛ける執筆業の傍ら、インタビューセッションと「聞くこと話すこと」についての講座も開催している尹雄大が綴った、心の重さを捨てて身軽になるための本。
・ミシンは触らないの / 中前結花
読めばきっと、明日を生きる力が湧いてくる。持ち前のあたたかくやわらかかつユーモラスな筆致で「忘れられない言葉」をまとめたエッセイ集。
・工芸青花 21号
世代を問わず、骨董、工芸、建築をもう一歩、深く味わうための指南書、『工芸青花』の21号が入荷。西欧中世ロマネスク時代の建築・美術、川瀬敏郎さんの花会、江戸時代から昭和前期まで石川県我谷村でつくられていた我谷盆のことなど。
・Ookpik! イヌイットのウークピック
アザラシの毛皮を主な素材とした、フクロウをモチーフにしたイヌイットのフォークトイ、Ookpikを紹介したZINE。ON READINGの店頭ではお馴染み?のあいつです。
・Coastalvision: Heavily-saturated Tropicaliá / Ardneks
アウトサイダー・アーティスト、Kendra Ahimsa (aka Ardneks) の2011年から2023年にわたる芸術的な旅路を追った作品集。クルアンビンやマック・デマルコといったアーティストたちのライブポスターなども数多く手がけています。
RECOMMEND BOOK !
子どもにとってほんとうに必要なのは「退屈と遊ぶこと」です。なにもすることがない中で、ふと何かを思いつくこと、自分の時間を自分で使いはじめること、誰にも管理されない場所で始まる小さな工夫ーーそうした出来事の中に、子ども独特の「生きる力」の萌芽があります。
早速手に取られています!
福岡で単位制高校や書店を併設した学習塾を経営しながら、作家、文筆家としても活躍している鳥羽和久さんが綴ったエッセイ集。
大人はいつだって子どものことが心配なもの。失敗しないように、傷つけないように、と“先回り”することが、実は子どもの可能性を閉ざしてしまうこともある。
本書では「学校」「親と子」「勉強」「受験」といったテーマを軸に、現代教育の盲点と、私たち大人が抱える不安の影を浮かび上がらせます。さらに、各ページの下部には一年間の日記が。論としてまとまる前の、手掛かりのようなもの、ちくりと刺さった小骨のようなもの、こうした日常の断片の集積を見ると、エッセイで書かれていることがさらに立体的に見えてきます。
鳥羽さんの言葉はいつも世間一般で通っていることとは異なる視点から放たれます。だから読んでいてドキッとする。親である人にとっては耳の痛いこともあるかもしれません。けれど鳥羽さんもまた、今まさに変化を続ける「発光体」である子どもたちを前に、葛藤を抱える大人のひとり。鳥羽さんの言葉からは、子どもたちへの信頼が、強く、強く感じられます。
間違えながら、揺れ動きながら、子どもたちとともに生きていく大人として。焦らず、 断ち切らず、観察しつづけるための視点──。
植本一子さんによる写真が捉えた子どもたちの表情や、教室の空気は、まさに「発光」しているかのようで痺れます。(写真ページ裏の「ICHIKOFILM」も最高!)
トークイベントもお見逃しなく!
枝葉末節な日々
今週の担当:(杏)
9/26(金) 朝、TEMPORAで作業をしていると、ORDINARY BOOKSという屋号でディレクションや出版、編集などの仕事をしている三條さんが。三條さんは可児にある「カニミライブ図書館」のディレクションをしているので、今日はそれに合わせて芸術祭とTEMPORAを見に来てくれた。今回TEMPORAをやるにあたって、ゼロからその場に合わせた本屋を出現させるディレクションの仕事のすごさを改めて知った。本屋の棚は日々の蓄積やお客さんとの綱引きでどんどん醸造されていくもの。だけど今回は、初日が最も人が来る日と聞いていたので、ある程度の状態にしておきたいというプレッシャーがあった。結局は3日くらい前にようやく「やりながら手を入れてけばいっか」というマインドになれたけど。だからクライアントがいて、スタート時にある程度の”完成”を目指さなければいけないディレクションの仕事は、ほんとうに知識と想像力と創造力を要する仕事だなと、改めてディレクションのお仕事をメインでしている皆さんを尊敬しなおしていたところだったのだ。昨日ちょうど、開店以来気になっていた棚の並びの変更に着手したところだったので、見てもらえてうれしい。一旦、ON READINGに出勤し、夕方ゆいちゃんに交代してもらって、私は「態変」のパフォーマンスを見るため再び芸文へ。「態変」は身体障碍者だけのパフォーマンス集団。今回の『BRAIN』は、「脳を敵だと思っていた」主宰の金さんが、あえて脳をテーマに据えてとりくんだ新作。衝撃だった。自由ってなんだろう、と思った。ダンスやパフォーマンスを見るとその鍛え抜かれた肉体の美しさや、「からだってこんなふうに動くのか」という身体の可能性に感動したりするけれど、それとはまったく違っていて、けれどそこには確かに「身体」がある。目が離せない。終了後には質疑応答ベースのトークも。アメリカからこの公演を見るために来たという視覚障害のある方がいた。暗いから見えないけれど、感じた、とおっしゃっていた。夜、冷凍してあったバブーシュカのバターチキンカレー、ほうれん草のソテーを添えて。
9/27(土) 朝、昨日の残りごはんでおにぎり。TEMPORAではプランツェン・アポテーケさんと菓子屋おむすびのPOP UPイベントが。TEMPORAのためにつくってくれたオリジナルのハーブティー”between”に合わせてゆいちゃんがつくったこの日限りのお菓子とのペアリング。開始からたくさんの人が来てくれて、夕方には無事完売!やまだしん灸のやまださんがラス1を食べてくれたのだそう。ON READINGの閉店後、TEMPORAに忘れ物をしたことに気づいて再び栄へ。この往復は地味につらい。用事を済ませて、帰り道にあって気になっていた「メキシコ料理ロシータ」へ。タコスって奥深い。
9/28(日) よっさんが朝からため息を連発している。現在制作中の本の見積とスケジュールが出て、予想以上にハードな状況だったようだ。こういう時はそっとしておいた方がいい。あれどうなってる、とか、あれやらなきゃ、とかたくさんあるけど、話しかけるのは今じゃなさそうだ。今日は喫茶シヤチルのPOP UPの日。特製メニュー「”天”かす”ポ”テトサ”ラ”ダサンド=テンポラサンド」を作ってくれた。ひとつ購入して、ON READINGでゆいちゃんとシェアしながら食べる。鰹節も効いているちょっと和風なサンドイッチで、見た目に反して味がまとまっていて美味しい。ゆいちゃんは「なるほどな~」としきりに感心している。私は名前から発想したダジャレサンドだと思っていたのだが、鰹節で灰を表現しているのではないかとのこと。そういわれてみればたしかになんかピンクっぽい色も入っていた。サンドウィッチという、異なる食材のレイヤーでできているのも「あいま」感がある。今日はTEMPORA閉店後、石川直樹さんのトークイベントがある。ON READINGを閉めてから駆け付けると、すっかり祭のあと。石川さんももう帰ろうかというところだった。少しでもお会いできてよかった。今回、石川さんからこの日ピンポイントでトークイベントの逆オファーをいただいて、ON READINGは展示が入っているので難しく、別の場所でと思ったけれど予定が合わず、残念だけど難しいかな、と思っているときに、「TEMPORAでやれるんじゃない?」となった。35名は少々狭いけど十分に席も確保できて、雰囲気的にもなかなかよかったそう。TEMPORAの可能性がどんどん広がっていく。今日は、画家の湯浅景子さんも来てくれたそう。「痩せたって皆に言われる」とよっさん。私は言われない。なんなら太ってる気がする。おでこに吹き出物もできている。今日のトークの質疑のなかで「死についてどう思っていますか」と聞いた方がいて、石川さんは「ネパールでは輪廻転生の考えが強く、彼らはハエですら殺さない。もしかしたらそのハエは死んだおばあちゃんかもしれないから。この生は一回だけど、また会えるかもしれない。その感覚があると、死というのも違った捉え方ができる」というようなことを言っていたらしい。「死」の感覚が近いということは「生」が近いということでもある。生きて死んでまた生きて、そうやって私たちは生きている。すっかり遅くなったのでコンビニで夜ご飯を調達。わたしは冷凍のカルビクッパ、よっさんは高山ラーメン。
9/29(月) 朝、トースト、目玉焼きのっけ。今日はTEMPORAが休みなので朝、少しゆっくりできる。「あいち2025」のボイコットを呼びかける投稿を見て、ちょうどその話を最近していたあいちゃんとよっさんにすぐにシェア。何かしないわけにはいかない、とヒートアップする私に、よっさんは「今は…無理…倒れちゃう…」とベッドに倒れ込む。さすがにぶちぎれた。休むことを考えてくれ。夏からこっち、よっさんの体調がヤバそうなのは3回目で、その度にぐっとこらえて頑張ってきた。大変なのはわかってる。よっさんしかできないことが多いから負担は私の比ではない。だからそうなる前に、休みを確保する決断をしてくれよ。野田ちゃんにメールすると、すぐに電話がかかってきた。それぞれの場所で、何ができるのか。率直に話ができる人がいて、一緒に考えてくれる人がいて、つまり野田ちゃんがいて本当によかった。CYROさんがインスタで「はじめ狛犬」の画像をあげていて、思わずコメントを送る。「はじめ狛犬」と呼ばれる江戸中期頃までの初期型の狛犬で、それぞれの土地の石工が想像でつくったものが多いので、素朴な造形がたまらなくいとおしい。郡上の「はじめ狛犬」と思われる画像をシェアしたりしてしばしはしゃぐ。今、この瞬間も人が死んでいる、それなのに、狛犬を見て頬をゆるめたりしている。このグロテスクさよ。それでもできることをやっていくしかない。夜、よっさんの髪を切る。前は適当にちゃちゃっとやっていたので早かったけど、最近こだわりだしたので時間がかかるようになった。今回もまあぼちぼち。もうちょっと切りたい。
9/30(火) ON READINGは定休日なので、TEMPORAへ。古本いるふの天野くんが補充に来てくれた。と思ったら、補充というか全入替!今回はフォークアートに全フリ。めっちゃいい本がぎゅうぎゅうに詰まった。お昼頃、沼津からリバーブックスの江本さんが来てくれた。江本さんは会社員時代、長く名古屋に住んでいて、かつ写真家でもあったので、当時ON READINGで写真のワークショップを一緒にしていた。2年前にひょんなことから沼津で本屋を開業され、前職を活かし持ち前のコミュ力も最大限に発揮して、いきいきと本屋を楽しんでいる。中日ビルでランチをしたあと、よっさんはそのまま文喫で作業。私はTEMPORAに戻って仕事。毎朝来ているといっても、1時間ちょっとじゃできる仕事は限られている。週に2日はこうやってまとまってTEMPORAで仕事をしたい。夕方、三軒茶屋の本屋、twililightの熊谷さんとれいこさんも。TEMPORAを本屋とみてくれる人が来てくれると嬉しい。オープン当初は雑貨優勢という印象が強かったけれど、ようやく本屋になってきた気がする。閉店後、イ・ランのライブへ。2019年以来6年ぶりとのことだった。「生きて、また会えてよかった」と話すイ・ランに、号泣してしまった。細く輝く月夜のようなイ・ラン。眠れない夜に自分のことを歌にして、それをなぜたくさんの人が見に来るのかわからないという。美しくて強くて、けれど、ステージに立つ自らも、孤独を抱える一人の人間なんだと見せてくれる。SWEET DREAMSの新刊もコミックも、カッサもソノシートも買う。TEMPORAのスタッフ5人中4人が来ていて、ワイワイ。みんなで揃うことってないからそれだけでうれしくなってしまう。帰りがてら、サイゼリアで夕ご飯。前にきたときなんであんなに感動したんだろう。
10/1(水) 朝、TEMPORAに出勤して、カフェ・ド・クリエでアイスカフェラテとBLTサンドを10分で飲み込んで、電車に乗ろうというところで忘れ物に気づいて私だけTEMPORAにダッシュで戻る。それでもなぜか乗りたいと思っていた電車に乗れて、東山公園駅でよっさんと合流できた。今日も今日とて、ON READINGではやることがいっぱい。昨日江本さんに、「外からみるとTEMPORAに全振りしてるように見える」といわれて、しかし実のところON READINGの仕事でてんやわんや。レジもしながら、オンラインの荷物を作って、『ありふれたくじら』のリリースを制作して、経理の作業をして、発注をして、先々のギャラリーの予定を組んで、独立書店ネットワークの仕事をして…TO DO LISTがまったく減っていかない。閉店すれすれに元スタッフのあいちゃんがやってきておしゃべり。よっさんが「そういえばさ」と最近考えていることを話したら、あいちゃんはなんか泣いちゃったらしい。よっさんはそういうのを表に出す機会が少ないから、話してもらえるとそれだけでぐっときてしまうのだとか。夜、冷凍うどん、わかめ、玉子、梅干し。
10/2(木) 朝、トースト、ぶどう。テレビをつけたら男性ブランコがラヴィットに出ている日だった。ラッキー。「愛愁食堂」も始まったが、見ていると遅れちゃうのでTVerで観ることにしてTEMPORAへ。今日もTO DO LISTが減っていかない。すべてのTO DOに中途半端に手を付けている状態で、一向に終わる気配がない。それでも手をつけなければ終わる可能性すらないので、ぐっとこらえてやり続ける。頭が痛い…。鳥羽和久さんの新刊『それがやさしさじゃ困る』(赤々舎)が店頭でもオンラインでも売れている。「はじめに」で鳥羽さんが子どもたちのことを「発光体」と書いていたのが、とてもよかった。本書の写真を撮っている植本一子さんの写真も、まさにそう。光っている。全身で世界を受け止めて、一秒ごとに変化していく子どもたち。鳥羽さんは、光を放ち揺れている子どもたちを前にして、共にとまどい揺れているんだと思う。「子どもたちを時代で語る」ことについても書かれていて、これは私も本当にしてしまいがちなことだなと思う。自分に子どもがいないこともあるが、やはりその場合の「子ども」が生身の人間ではないというか。解像度が低いので、まとめてしまう。これは政治の話をしていてもそう。「●●の人って~」て、自分も言われたら嫌なくせに。他者から勝手にまとめられること、名付けられること、語られること。ボイコットの件について、ケルベロス・セオリーさんがまとめてくれていたのがわかりやすい!これを元に、まずはスタッフたちとも話をしていきたい。夜、街かど屋で、レバニラ炒め。よっさんはキムチ鍋定食。秋だな。
EXHIBITION INFORMATION

2025年9月19日(金)~ 10月5日(日) ON READING GALLERY
Kohei Omachi exhibition “moon echo”
アーティスト、フォトグラファーの大町晃平による個展を開催します。本展では、月を胎児に見立て、撮影した写真をエコー写真に使用されている感熱紙にプリントしたシリーズ『moon echo』を発表します。とてもユニークな作品!ぜひ観に来ていただきたいです。
<作家在廊予定>
10月4日(土) 12:00~20:00
10月5日(日) 12:00~20:00
♪ Now Listening
Massive Shoe / Way Dynamic
メルボルンを拠点に活躍中のマルチミュージシャンでプロデューサーの、Dylan Youngによるフォーク・プロジェクト。ミニマルな編成、軽やかなグルーブ。70~80年代の良質なフォークっぽいグッドメロディー&コーラス。すべてのバランスが完璧。こういうバンドやりたい。
今週はこのあたりで。
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