NEWSLETTER FROM ON READING 2025.04.25

こんにちは、ON READINGの黒田義隆(義)と黒田杏子(杏)です。週に一回お届けしているこのNEWSLETTERを始めてから1年が経ちました。なかでも苦し紛れに始めた日記「枝葉末節な日々」に、思いのほか反応をいただけるのが嬉しいやら恥ずかしいやらですが、自分たちが楽しめる範囲でゆるりと続けていければと思います。タイミングの合うときに覗いていただけたら嬉しいです。(杏)
GWの営業について
4月29日(火祝)は営業します。
5月6日(火祝)は休業とさせていただきます。
NEWS

こちらのイベントで、ELVIS PRESSからリリースしたリソプリントを販売します。
RISO PRINTER’S FAIR 2025
PPP[PRINT,PLAY,PULSE]
開催日時:2025年4月26日(土)・27日(日)11:00-18:00
会場:長者町コットンビル1F+3F(〒460-0003 愛知県名古屋市中区錦2丁目11−24長者町コットンビル1F+3F)
入場料:500円
愛知県・名古屋市で、プリンターとアーティストによるあたらしい印刷物のフェア「PPP」を開催します。全国から個性あふれるリソグラフスタジオやブックレーベルが集まり、印刷物を展示販売する貴重な機会です。さらに、名古屋・愛知にゆかりのあるアーティストたちのアートワークを束ねたZINE+ポスターを、LIVERARYが企画・編集。whenpressが印刷・製本し、会場で特別販売とワークショップを開催します!イベントのテーマは「ずれをたのしむ、印刷であそぶ」。おおらかで味のあるZINEやリソグラフ印刷に挑戦してみたい方、面白い印刷物をお探しの方、ぜひ春の名古屋へ遊びにきてください。
詳細:@whenpress_jp

名古屋市北区の金城市場周辺で開催されるブックイベント、『BOOKBOOK』に出店します。
まちあるき徘徊系ブック・ジャンボリー『BOOKBOOK』
開催日時:2025年5月5日(月曜 こどもの日) 11:00~17:00
詳細:https://www.instagram.com/kinjo_ichiba/
主な会場:
* 金城市場(名古屋市北区清水5-32-22)
*観音寺K庵(名古屋市北区生駒町2-47)
*めぞんこよみ(名古屋市北区水切町1-11)
*yup(名古屋市北区清水5-32-26)
*みかんハウス・まなみ古書店(ともに名古屋市北区清水5-21-4)
*SUNSHINE UNDERGROUND CURRENT(名古屋市北区清水5-27-2)
その他、会場まわりの空き地や通りなど
ON READINGは金城市場の会場に出店します!
入荷情報 PICK UP
・生きる力が湧いてくる / 野口理恵
『USO』誌編集長にしてrn press社主・野口理恵によるエッセイ集。これはものすごい一冊。早速売れております。
・アフター・アフター・アワーズ / 犬川蒔
東京在住の会社員で、インディロック、映画館で見る映画、アイドルが好きという著者が、普段つけている日記を週に1回ChatGPTに送り、日記とその応答を記録した一冊。これも面白い。
・【サイン本】おかわりは急に嫌 私と『富士日記』/ 古賀及子
武田百合子生誕100年を記念した、注目の日記・エッセイの書き手、古賀及子による『富士日記』再読エッセイ。戦後日記文学の白眉とされる武田百合子『富士日記』のきらめく一節をあじわいながら、そこから枝分かれするように生まれてくる著者自身の日記的時間をつづる。
・パソコンとヒッピー / 関根美有、赤田祐
スティーブ・ジョブズは『ホース・アース・カタログ』の、どこに影響されたのか? LSDとパソコンの関係とは? あまり知られていなかったパソコン誕生の経緯と文化的背景を、全編マンガでわかりやすく解いた、他に類を見ないパソコン文化史。
・"One Year" 一年 / 小幡彩貴 Saki Obata
物語性豊かな日本の四季を描いた「季節の記録」シリーズで人気のイラストレーター 小幡彩貴によるzine「一年」。2024年と2025年の小幡彩貴 × communeカレンダーに収録された作品と新作が収録されています。限定300部。
・OF & ABOUT POSTERS: THE LAWRENCE WEINER POSTER ARCHIVE (1965-2021) / Lawrence Weiner
アメリカ人コンセプチュアルアーティスト、ローレンス・ウェイナー(Lawrence Weiner)の作品集。1965年から2021年の間に制作された作者のポスター250点を初めて一冊にまとめたもの。これはファン垂涎の一冊でしょう。
・DISTANCES III / Romain Laprade
こちらも大人気のフランス人フォトグラファー、ロマン・ラプラード(Romain Laprade)による最新作品集。入荷しました。2019年刊行『DISTANCES』、2022年刊行『DISTANCES VOL.II』の続編。
・THE VIRGIN SUICIDES / Sofia Coppola
予定より早く入荷しました!
アメリカ人映画監督でプロデューサー、脚本家、女優、ファッションデザイナーであるソフィア・コッポラ(Sofia Coppola)の作品集。作者にとって初の長編映画監督作品「ヴァージン・スーサイズ(英題:The Virgin Suicides)」(1999年)公開から25周年を記念して刊行された一作。お見逃しなきよう。。。
RECOMMEND BOOK !
どうして私の周りの人はバタバタと死んでいくのだろう。四人家族のうちの二人が自分で死を選んだ。初めて担当した作家もいなくなった。突然誰かがいなくなることを何度も経験してわかったことは、人は亡くなり、肉体が朽ちれば無になるだけだということ。(中略)私はみんなが恋しくて、恋しくてたまらない。しかしこの恋しさこそが、彼らが私のなかで生きている証なのだ。
百万年書房の大人気シリーズ「暮らし」より、またまたすごい一冊が登場です!!
“うそ”をテーマにした私的な文芸誌『USO』誌編集長にして、出版社rn press社主である野口理恵によるエッセイに加え、『USO』誌に掲載した小説4篇を収録。
実家のバラの庭の記憶をたどる冒頭の「昼間に風呂に入る」から、目次、タイトルを挟んでの「家族」。この落差がすごい。この本、すごい…!と思いながらページをめくる指がとまらず、本当に一気に読んでしまいました。
自死を選んだ母、数年後に他界した父、祖母と同じ日に命を絶った兄、尊敬すべき先輩編集者たちとの出会い、うまくいかなかった結婚生活、ひとりでたちあげた出版社のこと。
「私はおそらく多くの人がもつ家族観をもっていない。おそらくこれからももつことはできない。」(本文より)
繰り返し、地面を見る。何度も、空を見上げる。そして自分自身の輪郭を確かめる。
「太く、長く、濃く生きる」。そのために、書かざるをえなかった言葉たちが、私たちにも力をくれる。
枝葉末節な日々
今週の担当:(義)
4/18(金) 疲れているのか、知らず知らず追い込まれているのか変な夢をみた。杏子がオールバックで着物を着てうちあわせに挑む夢。朝、昨日の鍋の残り汁にうどんを投入。今日から毎年恒例のvada antiqueさんによるやちむん市。今回は、工房マチヒコさんの器がずらりと並んでいる。オープンと同時にお目当てにしていたお客さんが早速ご来店。寺井奈緒美さんの新刊『おめでたい人』発売日。昨年、今、こういう企画で書いていますと、寺井さんから伺っていた本。”おめでたい”をテーマに一冊書くと言っていて、一体どんな仕上がりになるのだろうと楽しみにしていたが、今回もニヤニヤしたりぷっと吹き出してしまうくらい、とんでもなく面白い本になっていた。笑わせてやるぞ、なんていう意志がまったく感じられないのに、こんなにも面白い。いや、だからこそ面白いのか。もはや職人芸のような手腕。ずっと読んでいたくなる素晴らしい書き手だ。店頭に並べたとたん、たくさんの方が手に取ってくれている。『生活フォーエバー』とあわせてどんどん売っていきたい。夜はブリの照り焼き、十六穀米、味噌汁。
4/19(土) じんわりと暑い。今日は夏日らしい。半袖のシャツで出かける。杏子は実家の引越しの準備作業で岐阜に向かう。コンビニでおにぎり。ちょっとゆったりとした土曜日。次回の「言の菓」でとりあげる、よしもとばななの『みずうみ』を読む。この本は、ゆいちゃんの大のお気に入りでお守りのような一冊だという。「わからないものはわからないと思うのが、そういう人に対しての誠意だと思う」。大切にしたい言葉がたくさん出てくる小説。続いて、楽しみにいていた野口理恵さんの新刊『生きる力が湧いてくる』も読み始める。家族を巡る壮絶な過去。こちらも”わかりあえなさ”からはじまる本だと思う。書かずにはいられなかった、という切実さが文章からにじみ出ている。これは物凄い本。予約していたのを忘れて重複して買ってしまったBLACK COUNTRY, NEW ROADの新譜のカセットが届いたので、そのまま店頭に出す。誰か買ってください。お客さんがレジにイヌイットの彫刻を持ってきて、お会計で25,000円ですと伝えると、え!となる。2,500円だと思っていたらしく、そりゃ安すぎるよねとなったのだが、それでも買ってくれた。こういう思い切りの良い人を見るといつも嬉しくなってしまう。(店頭でのやりとりじゃなくても)。思い切る、ということに憧れがあるし、高揚感がある。これってギャンブル体質なのかもとも思うけど、パチンコも宝くじもやらない。そういうことではないのだな。こないだ聞いた、Yくんの思い切った話もとてもよかった。あれだけのこと(念のため、道義的に悪いことではない)をして後悔してなさそうなのがまた良い。まぁ、どこかで結局は糧になるのだろうから。ああいうメンタルの強さは魅力だと思う。年に一回くらいは思いきっていきたい。岐阜から帰った杏子はヘトヘトだった。夜はチキンのソテー。鉄のフライパンで焼くだけでカリっとジューシーになるから簡単楽ちん。
4/20(日) 朝、十六穀米、納豆、味噌汁。GW中は、版元も問屋も休みになってしまうので、発注作業に励む。在庫を切らさないよう、しかし、頼みすぎて在庫過多に陥らないよう、発注数に頭を抱える。うちはほぼ買切なので返品ができない。本は腐るものではないとはいえ、ストックスペースにも限りがあるので難しいところ。そえぞれの本に売り時、といのももちろんあるにはある。連休中、たくさんお客さんが来てくれることを祈るばかり。ここにきて再び四十肩が酷く痛みだしているので、スーパー銭湯にいってジェット風呂に浸かる。夜ご飯は食堂で大きなアジフライ定食。
4/21(月) 朝、十六穀米、味噌汁。4月前半は不調だったオンラインの売上がここにきてようやく戻ってきた感があって少しホッとする。今日もちょっと暑い。梱包作業しているだけで少し汗ばんでしまう。やちむん市最終日。駆け込みのお客さんもちらほら。来年は、やちむんだけではなく、vada antiqueさんをまるごとPOPUPというかたちで紹介してみましょうか、という話に。おやつに杏子が買ってきた巻き寿司、いなり。夜、大垣の建築事務所TABの西田さんご一行がご来店。西田さんとは、もう15年くらいのお付き合いだろうか。まだ本当に僕らが駆け出しの頃に声をかけてくれて選書の仕事をさせてくれたのがきっかけで、ほぼ同世代でUSオルタナにどっぷりはまって育ったという共通点もあってすっかり意気投合。その後もちょくちょくイベントや企画に誘ってくれたりしている。西田さんは、ここ数年、大垣の街づくり、活性化にも積極的に参画していて、今回は6月に開催する「まちなかスクエアガーデン」というイベントの中で、ざっくり本と街とか、本づくりとか、本屋やってきてどうだったとか、みたいなテーマでトークをしてくれないかというご相談。営みと資本主義とか、プラットフォームからいかに逃れていけるのか、みたいな、最近、頭のなかで転がしているようなことを話せたらと思う。ちょっと小腹が空いたので帰りにコンビニにいってめちゃくちゃ久しぶりに日清焼きそばUFOを買う。
4/22(火) 今日は久しぶりに予定がない。昼過ぎに起床。台湾で買った謎のインスタント麺を食べる。台湾の匂いがする。しかし、やっぱり日本のインスタント食品ってレベルが高いなと思う。たまった洗濯物をどんどん洗う。が、ベランダに干していたら夕方から天気が崩れて、そそくさと部屋干しに。「シンシン」とか「教皇選挙」とか「終わりの鳥」とか、気になる映画でも観に行こうかと思っていたが雨が降ってきたのもあって、一気に杏子のモチベーションが下がり却下される。明日の千種さんのトークイベントのために、「短歌研究」の千種さんのインタビューを読んだり、「あやとり」を再読したりして準備。スーパーにいって買い物。夜は麻婆豆腐と卵とじ中華スープを作る。かっかと汗が出てくるよい辛さ。ネットフリックスをザッピングしていてたまたま目に留まった「告白」。詳細をみたら大好きな山下敦弘監督作品だったので観てみる。「カイジ」の福本伸行が原作、「沈黙の艦隊」のかわぐちかいじが作画を手がけた漫画の映画化だったらしい。まったくの予備知識なしで観たのだが、まぁまぁ怖かった。悪い夢見そう。。。そういえば相田冬二さんも2024年のベストにあげていた『水深ゼロメートルから』も未見なので観ねば。
4/23(水) 朝は、卵、マスタード、マヨネーズ、ハムでホットサンド。予約商品などがどっさりと入荷したので、梱包・出荷作業に励む。夜は千種創一さんの新歌集『あやとり』の刊行記念トークイベント。少しキャンセルが出たもののほぼほぼ満席。昨年、一緒に制作したアートサイト名古屋城で発表した作品『The Garden』『知多廻行録』の振り返りから始まり、今回の歌集の中でも特に重要な位置をしめているだろう作品『つぐ』の解説、そして朗読。今回の歌集では、短歌につきまとう「私性」の拡張を試みている。祖母と交わした戦争の記憶、亡命中のシリア人活動家や、パレスチナ系作家との会話などを通して、彼らと「私」の「間」で生まれた短歌たち。この作品が歌壇という場所でどう評価されるかはわからないが、少なくとも、これまでの歌集に比べ、より開かれた作品だと感じるし、たくさんの人たちに読んでほしいと心から思える一冊。『つぐ』を初めて読んだときは、目頭が思わず熱くなってしまった。お客さんからの質問も絶えず、あっという間に予定時間を超過。一人、少し込み入った質問をしてくれた方がいて、終わった後もしばらく考えていた。めちゃくちゃ勝手に超要約すると「SNSをはじめ、人を恣意的にコントロールしようとする言葉がどんどん溢れたり、何ならAIなんかも出てきてしまって、言葉そのものに対する信頼が揺らいでいるこの時代に、言葉を用いる文学に希望はあるのか?」みたいな質問だったとも思う。そもそもテキストをテキストそのままに読むってことが可能なのか、というのが(個人的には)前提にあって、ゆえに、読者がどう読むのかって、ほとんどアンコントロールなのは昔も今も変わらないのではないかと思っている。翻って、何かものを書くっていう行為は、もう読者を信用するところからしか始まらないものなのではないか。それでも読者を信用しようと思える気持ちこそが文学における希望そのもので、読者として本を読む際に期待しているのは、その希望に触れることなのかも知れないなとも思った。打ち上げは本山の我屋。歌人の野口あや子さんも合流。ラップにはまっている野口さん。短歌は飛躍と抽象、ラップは具体、という解釈になるほど!となった。
4/24(木) 朝、十六穀米、味噌汁。今日もひたすら梱包作業。ほりはたさんからロゴのラフ案が届く。どれも素晴らしく、しばし悩むことに。夜は、東海エリアの独立書店主の懇親会。名駅の中華料理店・千龍で。隣のテーブルの酔っぱらったサラリーマンたちの声がデカすぎて会話がしづらく、久しぶりに大きな声で喋る。彼らが帰ってようやくゆっくりお話できる状態に。それぞれの近況や困っていることなどの情報交換を。今までこういう機会を作ってこなかったので、これからもちょくちょく集まれればいいなと思う。普通に楽しいし。
EXHIBITION INFORMATION

【EXHIBITION】2025年4月26日(土)~ 5月11日(日) at ON READING GALLERY
PHILIPPE WEISBECKER Exhibition
GWはこれ!パリ、ニューヨーク、バルセロナを拠点に活動し、日常生活の中にある誰も気にとめない品々の簡素な美しさに注目し、鉛筆や定規を用い、独特のフォルムで描く、アーティスト、イラストレーターのフィリップ・ワイズベッカーの個展を開催します。

【EXHIBITION】2025年5月10日(土)~6月1日(日) ON READING店内
ユカワアツコ個展『文なす鳥』
精緻な筆致で生き生きとした鳥たちの姿を描き出す、イラストレーター、ユカワアツコによる個展『文(あや)なす鳥』を開催します。岐阜の活版屋さんから引き取った、役目を終えた文選箱に描いた文鳥の作品を中心に展示します。
♪ Now Listening
set / Alex Chilton
誠光社さんのストーリーズでレコードリリースを知って、速攻ポチってゲットできたアレックス・チルトンの99年作の名盤。RECORD STORE DAYの企画で限定1500枚で初LP化。買い逃していたらめちゃくちゃ悔やんでいたと思うから心底嬉しい。アレックス・チルトンってカバー曲もめちゃくちゃよいのだよな~。ちなみにこの曲↓はChet Bakerのカバー。
今週はこのあたりで。
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