NEWSLETTER FROM ON READING 2025.01.24

名古屋のbookshop & gallery ON READINGから、週に一度のニュースレターをお届けします。
ON READING 2025.01.24
誰でも

こんにちは、ON READINGの黒田義隆(義)と黒田杏子(杏)です。毎年そうなんですが、今年も気づいたら1月22日で、ON READING14周年を迎えておりました。さすがに来年は15周年なので何か企画しようかな~と思います。ちなみに、本日1月24日は杏子の誕生日です。おめでとうございます。お互い年を取りました。僕は絶賛(?)四十肩中です。(義)

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NEWS

菓子屋おむすび × ON READINGの、新しいプロジェクト『言の菓』。

物語から、浮かぶ味がある。舌から、たちあがる言葉がある。ある一冊の本(または言葉)を起点に、菓子屋おむすび(当店スタッフの和菓子作家でもあるゆいちゃんです)が和菓子を拵えます。言葉と菓子のコラボレーションをお楽しみください。

いよいよ今週日曜日の販売です。
めちゃくちゃ素敵なお菓子ができております。凍らせてもよし。ぜひ皆さんにも食べていただきたいです。

言の菓
2025年1月26日(日)12時~ 販売開始
言葉:宮沢賢治「永訣の朝」
菓子:二相系
価格:2,000円(税込)
予約・詳細:https://onreading.jp/event/kotonoka1/

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【寄稿させていただきました】

『暮しの手帖 34号(2025年2月ー3月号)』の、「目利きの本屋さんに聞いてみた」コーナーに寄稿させていただきました。今号のテーマは「おなかがすいてくる本」。私は、庄野千寿子・著『誕生日のアップルパイ』(夏葉社)を紹介しています。作家、庄野潤三の妻である千寿子さんが、長女の夏子さんに宛てて書いた36年にわたる手紙たち。そこには、庄野家の食卓の様子がありありと綴られていました。お皿からたちあがる湯気や、孫たちの笑い声まで聞こえるようで、読んでいると本当にお腹がすいてきます。

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【トークイベント出演のお知らせ】

日進市にぎわい交流館主催で開催される、U25限定講座「わたしとみんなの困りごと」に、僭越ながら登壇させていただくことになりました。

わたしの困りごとと、 みんなの困りごとをひらいてまとめて、一緒に考えてみる会です。
みなさんと色々お話できるのを楽しみにしております。

詳細:https://scc.agu.ac.jp/topics/topics-4848/
お申込:https://x.gd/uBdxP

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入荷情報 PICK UP

WADDLE YA PLAY? / SWISH!
カラフルでポップでオルタナティブなハンドニット作家、SWISH!が、ポップカルチャーとファッションを縦横に編み上げるた、新感覚の編み物読み物。最高です!

ロイヤルホストで夜まで語りたい / 朝井リョウ、稲田俊輔、上坂 あゆ美、古賀及子、能町みね子ほか
青木さやか、朝井リョウ、朝比奈秋、稲田俊輔、上坂あゆ美、宇垣美里、織守きょうや、温又柔、古賀及子、高橋ユキ、似鳥鶏、能町みね子、平野紗季子、ブレイディみかこ、宮島未奈、村瀬秀信、柚木麻子、豪華執筆陣17名による“ロイヤルホスト愛”でいっぱいのエッセイアンソロジー。  

BETTER FOOD VOL.3 エシカルフード最前線(バリ島)
様々な問題をもたらしている大量生産・大量消費を基本に設計された現代のフードシステムを改善すべく、世界各地で取り組まれているムーブメントや先駆者たちを紹介する、より良い食の未来を描くための雑誌『BETTER FOOD』の第3号。今号の特集は、『エシカルフード最前線(バリ島)』。  

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RECOMMEND BOOK !

三月六日

お葉書ありがとうございます。

和雄の云ったこと、あんまり可笑しくて、お父くんは、笑って笑って「こんなに笑うことは一年に一回だ」とのことです。私も笑いすぎて、おひるごはんの牛乳が飲めず、お腹がすいて、今日は、お八つを一杯たべました。
庄野千寿子『誕生日のアップルパイ』(夏葉社)

庄野潤三の妻でもある庄野千寿子が、娘の夏子に送った膨大な手紙の中から、昭和48年から作家が亡くなった2009年までの、130通を選んで編集した書簡集。

これは、かなわないなあ、と思いました。

孫のことば(何言ったんだろう)に笑い転げ、長女が作るサマードレスや天下一品のアップルパイに大喜びし、たくさんの本や美味しいものを送りあう。手紙の文面からは文学を愛し、家族を愛し、生活を愛するチャーミングな千寿子さんと一家の姿がいきいきと浮かび上がってきます。そして庄野さんが、娘から届く手紙に番号をふって保存し、ついには作品にしていく様子が綴られてるのも見逃せません。だってこの手紙、もう庄野さんの作品世界そのものなんですもん。

なにより、本書を作ることができたのは、手紙の受取人である夏子さんが、手紙を保管しておいたからこそ。そのすべてが美しく「幸わせ」で、読んでいると涙が出てきます。こんなふうに生きることを楽しむことができたなら、と思うのです。

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枝葉末節な日々

今週の担当:(杏)

1/17(金) 思い立って午前中に行こうとしていた場所が、午後からしか空いていないことが出かける寸前に発覚する。せっかくだからコアラド行ったりしたいけど、昨日の東北大冷麺で思いのほか胃腸にダメージを受けていて、がっつりしたものは食べる気にならず、本山のにぎりたてでおにぎり二つと豚汁をテイクアウトして出勤。ちょうどいい。10時くらいに出勤して、通販の荷物作ったりメール返したり掃除したりして、プロローグでお茶して、余裕を持って12時の開店を迎える。それが夢。夢すぎる。夕方から、明日から書店内ギャラリーで始まる『喫茶店の水』展の搬入。アーティストのqpさんが来てくださる。波型にカットされたプリントが、まるで切手のよう。喫茶店のテーブルにおかれた水の入ったコップがこんなに美しいとは。日常的に見ているはずの光景が、アーティストの視点によってガラッと変わる体験は、魔法のようだと思う。「岐阜駅 本の市」で開催するIPMの出店者にメールをしたいのだが、googleメールに送信制限がかかってしまい、一度にメールが送れない。面倒すぎるが、毎日少しずつメールをするしかないのか。夜、鶏肉と葱の白湯鍋。

1/18(土) 朝、よっさんがきなこもちを作ってくれた。ゆですぎたかも、と言ってたけど、餅はぐずぐずぐらいが好ましい。夕方からゆいちゃんにバトンタッチして、私は瀬戸へ。国際芸術祭あいち2025のプレイベント、「ラーニング・ラーニング」が行われる。今年の芸術監督、フール・アル・カシミさんによるステイトメントを、参加者みなで一文ずつ音読をしたり、ディスカッションしたり。その後、キュレトリアルアドバイザーの芸術人類学者、石倉敏明さんのレクチャー。これが濃密すぎてめちゃくちゃ面白かった。2005年の愛・地球博の話から始まり、インゴルドやラトゥール、花咲爺の昔話と類型の神話、火や灰というものの意味、アートが、共同体や社会にもたらすもの。何を交換したかではなく、贈与の質を見ること。今回のラーニング・プログラムは、建築家、リサーチャー、写真家、アートマネージャー、アーティストという異なるフィールドで活動している5名のチームで企画運営されている。その中のひとり、アーティストの村上慧さんが話していた、コンセプトをたてることそのものが分断をうむことにならないか、というコメントがひときわ印象に残った。今年の国際芸術祭あいち2025、ますます楽しみになった。

1/19(日) 朝、トーストにヌテラ。今日は『Knitting ’n Stitching Archives. 』展の最終日。あすかちゃんが在廊してくれることになったので、急遽思い立ち、ギャラリー内に編む場を作って自由に参加してもらえるようにした。あすかちゃんが用意してくれていた、パレスチナ抵抗のシンボルであるスイカを編めるドネーションのキットも展示で大人気だったので、みんなでスイカを編みながらいろんな話をしたい、と思ったのだ。15時からあすかちゃんが栄でのパレスチナ連帯スタンディングに参加するために抜けるので、助っ人としてHさんとNさんにきてもららう。誰も来なければ私も二人に教わりながら編もうと思っていたけれど、ありがたいことに入れ替わり立ち替わり編みたいというお客さんが来てくださって、特に初めて編み物をされる方がチャレンジしていってくれる。昨日お会いした、国際芸術祭あいち2025ラーニングチームの辻さんと村上さんも初チャレンジ。お客さん同士で教えあったりしている姿がめちゃくちゃよかった。Hさん、Nさんも教え上手で、めちゃくちゃ褒めてもらえるので教わる方もぐんぐん手が進む。編むことは力だ、と思う。展示していても、何度もそう感じることがあった。自分の手を動かして、何かを生み出すことができる。そのことが、自分自身の足場を固めてくれる、輪郭を感じられる。こういう場が作りたかったのだ。いっぽう本屋の方でも、今週からはじまったみんげいおくむらさんが、店頭にたってくれている。おくむらさんに会いに来てくださった方も多くいらしていて、売上大爆発。

1/20(月)  朝起きて、岐阜駅本の市の出店者にメール。これで一応、全員に送信できたはず。今日は広島に行くのだが仕事が終わらず、12時頃にようやく出発する。前に広島に行ったのは、2020年2月だった。植本一子さんが参加していた「アカルイカテイ」展を見るために、日帰りで来たのだった。展示を見て、いっちゃんに教わったお好み焼き屋に入ったら誰かの等身大パネルが置いてあった。誰のだったっけ。ヨン様だっけ。その後READAN DEATに行って、店主の清政さんとパートナーのなみさんとお店の近くのお好み焼き屋に行った。広島が名古屋から日帰りできるというのは発見だった。せっかく久しぶりの広島だったけど、そんなこんなで到着したのは夕方。ホテルにチェックインして、村野藤吾が設計した世界平和記念聖堂教会だけ行く。教会に行くのは10年ぶりだが、ステンドグラスもレリーフも、細部に渡って本当に美しい。夜、画家のnakabanさんとリーダン・ディートで待ち合わせて、5年前と同じお好み焼き屋さんへ。広島のお好み焼きはほとんどキャベツでさっぱりしているので大好き。

1/21(火) 朝、広島駅で「むさし」のおむすびを買って駅のベンチで食べていたら修学旅行生のような団体が朝礼を行っていた。よっさんは修学旅行が広島、山口だったという。この山口に行った時の体験談(海がきれいだった)(マグカップを作った)は度々話にあがる。広島はどうだったんだろう。駅でnakabanさんと待ち合わせてお仕事場へ伺う。いちぢくの木、ミツバチの巣箱、薪のストーブ。すこしずつ手をかけながら整えていらっしゃるアトリエで、至るところにnakabanさんの息吹が感じられて素晴らしい。特に本棚の前から離れられなくなってしまった。ロマネスク教会のアーカイブ集、西脇順三郎の詩集、濱谷浩の写真集。お昼ごはんは、nakabanさんお手製のサンドイッチとスープ、おやつにおしることコーヒー。nakabanさんの絵葉書コレクションや、過去に描いてきた旅のスケッチブックなども見せていただきながら、いろんな話をする。nakabanさんとは今冬、作品集を制作する予定。名古屋駅できしめんをすすって旅を終える。

1/22(水) 『KISSA BY KISSA』(BOOKNERD刊)刊行記念トークイベント。作家で写真家のクレイグ・モドさんと、本書の訳者でエディターの今井栄一さんが来てくれる。クレイグさんの歩き旅はかなりストイック。自分のなかにルールを設けて(音楽を聴かない、午前中に1枚は写真を撮る、江戸時代のスピードで歩く、宿に着いたら5時間は記録をつける、できるだけ人に話しかける、などなど)とにかく歩く。その単調で退屈な時間のなかで感覚をとぎすまして、外からの刺激や、内から湧いてくる声を受け止めて、書く。今井さんが”BIG WALK”と名付けたクレイグさんの歩き旅は、意識しなければ日常のなかで得られることのない、豊かな時間だと思った。夜、お取り寄せの浜松餃子、ごはん、わかめスープ。

1/23(木) 朝、昨晩のごはんと味噌汁、目玉焼き。今日は18時で店仕舞して、『Knitting ’n Stitching Archives. 』打ち上げ。著者のあすかちゃん、デザイナーの溝田尚子さん、訳者の西田雅希さんとツムギキッチンでごはん。毎回あれもこれもと迷うけど、いつも結局はハンバーグ+カニクリームコロッケに落ち着く。ツムギのハンバーグは外がカリっとしていて本当に美味しくて、ツムギに来るとハンバーグの誘惑には勝てないのだ。うちで展示をする作家さんもよく連れていくけれど、ツムギのハンバーグが忘れられなくて、もう一度ハンバーグを食べるために再度名古屋に来る人もいるほど。今日はお祝いなので、カキフライも追加する。『Knitting ’n Stitching Archives. 』は11月中旬の刊行だったので、考えてみればまた2か月しか経っていないけれど、YouTubeに出たり、港まちのブロックパーティーや、TOKYO ART BOOK FAIR、展示&トークといろんなことがあって濃密だった。とはいえ出版社としてはまだまだここからのスタート、という感じもある。飛ぶように売れる、という類の本ではないからこそ、ゆっくりじっくり、この本の魅力を伝えていかなければ。それにしても、この充足感はなんだろう。いい本作ったな~、と思う。今回は、校正の藤本さん以外は名古屋にいるメンバーでチームを組んで本を作ることができた。それも、小さいながらも10年以上出版活動を続けてきた今だから、できたことだと思う。本を作ることで自分の中で起きる変化が、本屋を営んでいく上でも次の1冊を作る上でも原動力になっていると感じる。お腹もこころも、満ちたりた夜だった。

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EXHIBITION INFORMATION

~~~~~ 開催中! ~~~~~

【EXHIBITION】2025年1月25日(土)~ 2月9日(日)at ON READING GALLERY
Mari Sasaki Exhibition 『MODERN』

当店では3回目となる、版画家・佐々木まりの個展を開催します。作為と無作為、抽象と具象の間にある蠢きを、「彫る」という身体的行為を通じて直感的に探った有機的な線や形。様々な想像を膨らませてくれる作品をぜひご覧下さい。


【EXHIBITION】2025年1月18日(土)~2月9日(日) at ON READING店内
qp『喫茶店の水』刊行記念写真展

「⽔」から⾒える、喫茶店の世界――画家として活動するかたわら、これまで400店以上の“喫茶店の水”を撮影してきたqpさん。そのなかから85枚の写真を厳選した、類のないフォトエッセイ『喫茶店の水』が誕生しました。透明感あふれるコップに入った水と、水を通して見るどこか懐かしい喫茶店の光景。誰もが知る有名な純喫茶や、新世代の喫茶店、ふらりと立ち寄った旅先の喫茶店まで、さまざまな喫茶店の水の写真を掲載。すでに閉店している喫茶店もあり、撮影当時の時間に引き込まれることでしょう。

本書の刊行を記念した写真展を開催中です。

【EXHIBITION】2025年1月16日(木)~2月9日(日) at ON READING店内フェアスペース
『中国手仕事紀行 増補版』刊行記念フェア

日本や世界の各地から集めた手しごとを中心とした生活雑貨のお店「みんげい おくむら」店主・奥村忍さんが、少数民族たちの“生きた”民具を求めて、中国の奥地を彷徨い歩いた10年間の記録『中国手仕事紀行』(青幻舎・2020年刊)。この度、新型コロナパンデミック後の雲南・貴州の旅を新たな章として加筆した増補版の刊行を記念してフェアを開催中。
中国貴州省を中心に買い付けられてきた、布ものを中心とした手仕事による貴重な品々を展示販売しております。中には100年以上前のものも。お見逃しなく!

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♪ Now Listening

Anytime, Anyplace, Anyhow / Matt Maltese

サウスロンドンの若きシンガーソングライター、Matt Malteseの新曲がめちゃくちゃ良いではないか。昨年出たアルバムもよかったし、2020年の『KRYSTAL』も名盤だけど、次作もかなり期待できそう。(義)

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今日のところはこのあたりで。また来週!

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