NEWSLETTER FROM ON READING 2024.10.11

週に一度のニュースレターをお届けします。
ON READING 2024.10.11
誰でも

こんにちは。ON READINGの黒田義隆(義)と黒田杏子(杏)です。今週は、悲しいお知らせが続いて届きました。写真家の大林直行さん。当店では2020年に写真展「おひか」を開催していただきました。人懐っこく顔をくしゃくしゃにして笑うチャーミングな方でした。昨年、惜しまれつつ閉店したちくさ正文館書店の店長、古田一晴さん。あまりにも早すぎます。この先に、楽しみも相談ごともあったんですよ。心よりご冥福をお祈り申し上げます。(杏)

***

POPUP EVENT

スタンダードサプライのスタンダード。展
2
024年9月28日(土)~10月20日(日)

今年で10周年を迎えたスタンダードサプライのアニバーサリーを記念し、ポップアップイベント「スタンダードサプライのスタンダード。展」を開催中。

本イベントでは、デビューシーズンの7型を旧タグ&10周年ロゴで復刻した限定アイテムや10周年を記念して制作されたコンセプトブックもラインナップ。対象商品を11,000円以上ご購入のお客様に限定のノベルティ・ミニポーチもプレゼント中です!

***

入荷情報 PICK UP

旅のたのしみ / 甲斐みのり
文筆家・甲斐みのりによる随筆シリーズ第3弾は、旅がテーマ。旅で見つけた様々な心ときめくものたちを綴った名随筆がたっぷり。今回も装画は湯浅景子さん。初回入荷分はサイン入りです~!

ぼくらの「アメリカ論」/ 青木真兵、光嶋裕介、白岩英樹
それぞれが自らの中の「アメリカ」を問い直すリレーエッセイ。読むうちに、「自分にとってのアメリカ」がやさしく揺さぶられ、世界を見る目が更新される--今このときに多くの人に届けたい、真摯で率直な全18回の対話集です。  

【サイン本ご予約受付中】いっぽうそのころ / 秦直也
  シャープペンシルを遣った緻密な筆致で心和ませるイラストレーションを描く、イラストレーター・秦直也による初めての絵本。

新百姓 2号「米をくう」
効率や規模の拡大を最優先に追求する経済のあり方、人間一人ひとりがそれに従順であるように求められる巨大な社会システムに異を唱え、システムに封じられた人間の創造性の解放を促す雑誌『新百姓』。毎号、古来から人間が行ってきた根源的な営みを1つずつ特集テーマに掲げ、その意味を深め、捉え直して転回することを試みる。今号の特集は「米をくう」。

IN/SECTS Expanded Edition「本をつくって本を売る」
大阪発のローカルカルチャーマガジン「IN/SECTS」がこれまで発行してきた特集号の中でも反響が大きかった、vol.13「NEW BOOK SHOP CULTURE」とvol.16「本をつくる」を合本し、新たなレーベルやブックフェア事情などの追加取材記事を収録した「本をつくって本を売る」人のためのヒントが詰まった手引書的一冊。

26歳計画 / 椋本湧也(企画・編)
重版!再入荷。 世界各地で暮らす26歳たちによる「26歳」をタイトルにしたエッセイ集。料理人から宇宙工学者、俳優から機動隊員まで、総勢48名の等身大の文章が掲載されています。巻末には、沢木耕太郎による「26歳と旅」をテーマにした寄稿も収録。

イメージと正体の調査報告 / 村上慧
現代アートのアーティスト・村上慧によるプロジェクトをまとめた書籍。食事の時、食べているもの自体ではなく、メニューやパッケージに写っているイメージを食べているのではないか。そのような仮説をもとに自ら「イメージと正体の調査員」となり、メニュー画像やパッケージの写真(イメージ)と実際に食べたもの(正体)を撮影し対比して収録した1冊。

***

RECOMMEND BOOK !

仄暗い闇の中、一点に光の灯るような揺らめき。パリ近郊の城内で眠りつづけていた刺繍布地は、暗がりの中でも金銀に輝き、絹の微細な糸の荘厳さと儚さ、聖母マリアの愁いを湛えたまなざしに身震いすると同時に魅き込まれていく思いでした。
本田慶一郎『まなざしを結ぶ工芸』(目の眼)

岐阜で骨董や工芸品、古民具を扱う骨董店「本田」を営む本田慶一郎による初めての著書。

蚤の市で出会った木馬、小さな修道院の風見、中世の刺繍布、古都の石彫残欠、御深井焼のうつわ、ヨーロッパの影響を受けた古伊万里と、東洋磁器を写したデルフトーー。

これまでさまざまな国を旅しながら、古いモノと現代のモノ、西洋と東洋の魅力的な美を拾い集めては紹介してきた「本田」。まるで時間が止まったような不思議なその空間に本田が選んだ品物が置かれると、それぞれが共鳴してほんのりと輝きだすようです。

ひとつひとつの「もの」との出会い、そこに残された当時の人の営みや痕跡、自身が「もの」から受け取ってきたもの。美を生み出す者と、見出す者、両者のまなざしを結ぶ骨董商という仕事についての冒険譚です。

光と影をまとった「もの」を捉えた、大沼ショージさんによる写真もとても美しい。

じっと眺めているうちに、心を鎮めてくれる一冊です。

***

枝葉末節な日々

今週の担当:(義)

10/4(金) 今日は昼一からやまださんの出張しん灸のため、早めに出勤。SUNのハムレタスサンドとウインナーパンを買ってきてもらい昼食に。通販の出荷作業を終えた後は、杏子に店をまかせて半休をもらう。といっても銀行に行ったり百均で買い出しをしていたらすっかりいい時間。帰宅して猫を撫でていたらうとうとしてしまい、結局何も出来なかった。猫を撫でるとなんであんなに眠くなるんだろう。閉店時間にあわせて店に戻り、少しだけ仕事をして帰宅。夕飯は久しぶりのステーキガスト。いろいろメニューやオーダーシステムが変更されており、少しとまどう。こういう企業のシステム変更で客側に好ましいケースってあんまりない気がする。

10/5(土) 朝、パン、サラダ。コーヒーは夏の間はずっと水出しで淹れていたけれど、ようやくホットで飲む気になってきた。今日は、常連でもあるNさんが中心となって企画してくれた、『よむ・きく・はなす』という読書会を12時から開催した。Nさんは視覚障害者への情報提供施設・名古屋ライトハウスにお勤めで、視覚障害者と晴眼者が一冊の本を真ん中において語り合うこの読書会を立ち上げた方。そのチラシのデザインを僕にずっと依頼してくださっていること、第9回目となる今回の課題本がELVIS PRESSから出した『生活フォーエバー』ということで、今回はON READINGを会場にして開催したいとお声がけいただいたのだ。初めて参加する方も多く(僕もその一人)、最初は自己紹介をしながら、本の中で気に入った短歌を発表してもらったのだが見事にほとんど被ることがない。歌集や句集で読書会をすると結構好みがバラバラでいつも面白い。次に視覚障害者の方がどのように本を読む(聞く)のかの説明を受けた。参加者の方が普段聞いているスピードという3倍速の音声化したテキストを聞かせてもらったが、ものすごい速さで全然聞き取れなかった。普通に黙読するより早いんじゃないかというくらい。普段のおしゃべりももっと早口で大丈夫だと言っていた(笑)。参加者の年齢層も幅ひろく、短歌は文語で慣れ親しんてきたので口語の短歌が新鮮だったという話や、日記やエッセイを書くという目的があると、何気なく見過ごしがちなモノゴトでもそこにある面白みに気付くことができるという話など、皆さん楽しそうに色々お話してくれた。あと、生活フォーエバーの文字が小さすぎるというお叱りもいただいた苦笑。夕方、デイジーメッセンジャーのイズルさんが自転車を届けてくれる。以前、友人のKくんに譲ってもらったピストバイクをオーバーホールして修理、調整してもらったのだ。パーツも少し変え、ピカピカになってかっこいい。が、固定ギアなのでまったく慣れず、しばらくは練習しなくちゃならない。はじめのうちは絶対転ぶよ~とイズルさん。東山公園付近で転んでいたらそれは僕です。夜、映画『憐れみの3章』を観に行きたかったが、レイトショーが終わっていて、マ・ドンソクの『犯罪都市 PUNISHMENT』に変更。痛快以外の何ものでもない。最高。

10/6(日) 朝、食パン、サラダ、おにまんじゅう。濱田英明さんのツイートで大林直行さんの訃報を知る。大林さんは最初、濱田さんの展示の時にお手伝いに来ていて、一緒にごはんも食べたり、楽しくお話させてもらった。写真家になる夢を諦めきれず40歳を前にして山口から上京したという彼は、本当に真面目でまっすぐで、でもちょっとどこか抜けていて、優しそうな眼が印象的な”愛される”人だった。その後、自身の写真集『おひか』を出版した際にも声をかけてくれてON READINGで展示を開催した際ももたくさんの人が観に来てくれていた。『refrain』という最新作の案内に、病の治療のため帰省していた故郷の山口県の海岸で撮影したシリーズとあったので、少し心配していたのだが、まさかまさかこんなにも早く。。。濱田さんによると最期までカメラを手にしていたそう。。

10/7(月) 朝、食パン、サラダ。土、日と売上が低迷。週末はいたるところでイベントが開催されていたので仕方ない。今日も振るわずだが、ありがたいことにオンラインでの注文がたくさん入って持ちこたえる。今日は早めに店を閉めて、楽しみにしていた折坂悠太のライブへ。前回はクアトロだったのでスタンディングだったが、今回はアートピアホールでの開催で座席指定。最近はどちらかというと座って観たいので嬉しい。席も2階のいちばん前といい位置だった。たどたどしく、言葉を選びながらのMCがいつもとてもよい。折坂さんの歌を聴いていると、茨木のり子の「汲む―Y・Yに―」という詩を思い出す。「なめらかでないしぐさ」が胸をうつ。大好きな曲「ハチス」で感無量。”きみのいる世界を「好き」ってぼくは思っているよ”と、みんなみんなが歌えたなら。あとで杏子に言われて、あ~と思ったが、照明が緑と赤になる瞬間があった。あの日からちょうど1年だった。アンコールは「トーチ」。胸いっぱいの夜になった。

10/8(火) 定休日。ゆっくり起床。家を少し片づけて、店にどさっと届いたオカタオカの作品集の在庫の半分を自宅に運びこむ。しばらくの間は玄関に在庫の壁がある生活。ドラッグストアに寄って買い物。今夜はたまにどうしようもなく食べたくなるルーのカレー。ネトフリで若きマ・ドンソクが出ている『ザ・ファイブ』を観る。マ・ドンソクがまだ3分の2くらいの大きさだった。

10/9(水) 朝、2日目のカレー。熱いごはんに冷たいカレーをかけるのが好き。昼頃から、急に右側の親知らずがうずき出す。う~。13時半くらいにオカタオカ到着。せっせと搬入。今回の作品はオカタオカの画力がいかんなく発揮されている。やっぱり絵がめちゃくちゃ上手い(プロだから当たり前なんだろうけど)し、こんなにも多彩な描き方をしているのに、しっかりオカタオカの絵になっていてすごい。いや、本当にすごい作品なのでぜひ観に来てほしい。作品集も納得のいく仕上がりになった。搬入がひと段落して、夜は栄に新しく出来た、韓国ホルモン焼肉の店、ミリネヤンコプチャンに。よくこんな場所に店作ったな、という韓国のサスペンスドラマに出てきそうな雰囲気の雑居ビルの2階。めちゃくちゃ現地感があってソウルに来た気分に。いろんな種類のホルモンを食べたが、親知らず側で噛むと痛いので左側中心で噛む。ホルモンはとても美味しいが噛むのが大変だった。帰宅してロキソニン飲んで就寝。

10/10(木) 朝9時から本チャンネルの顔合わせ的なミーテイング。内沼さんに、マルジナリア書店の小林さん、本屋lighthouseの関口さん、toibooksの磯上さん、TOUTENの古賀ちゃんと。みんな本と本屋の未来をあれやこれや考えていて、こうやって気兼ねなく話せる場ができてうれしい。出版業界というか、特に個人経営の独立書店をめぐる状況はここ5、6年でまたぐっと変化してきたように感じるし、ある意味正念場だと思っている。みんなで知恵を出し合って頑張っていきたい。ミーテイング後、11時に店に行き、来年の5月に展示をしていただくユカワアツコさんと打ち合わせ。ユカワさんは、古い木箱などを支持体に、精緻なタッチで鳥の姿を描きだす画家。ON READINGでは、活版の活字を収めていたという小さな木箱に、文鳥や雀を描いてずらりと展示していただく予定。とても楽しみ。その後、杏子は美容院に。ひとりで店番している時ほど忙しくなるジンクス発動。昼過ぎにオカタオカが再びきてくれてスーリープの食パンをいただく。めちゃうれしい。。。展示で販売する作品集にサインを入れてもらう。そうこうしていたら、Uさんから、ちくさ正文館の古田さんの訃報の知らせが。なんと。正文館が閉店してから僅か1年。まだまだお話できると思っていたのに。煙草を片手ににか~と笑う古田さんの顔は今でもありありと思い浮かべることができる。本屋を始めたての駆け出しだった頃でもきちんと相手をしてくれたな。店にいけばいつも1、2時間は本や本屋談義をしてくれた。悲しむひとは多いだろう。明日はお通夜。

夜、新町ビルの水野さんと、アーティストの伊藤潤さんが来店。なんと多治見のイベントの「土から生える」の平日に特別にツアーを組んでくれることになった。うれしい。。。潤さんの展示も10月12日から新町ビルで開催とのこと。フライヤーからしてかっこいい。帰宅して3日目のカレー。コロッケのせ。親知らずは昨日よりはましになった。

***

EXHIBITION INFORMATION

~~~~~ 開催中! ~~~~~

【EXHIBITION】10月12日(土)~10月27日(日) at ON READING GALLERY
OKATAOKA Exhibition 『WALL OF SOUND』

イラストレーター・オカタオカによる最新作品集『WALL OF SOUND』(ELVIS PRESS刊)の刊行記念展を開催します。自分で好きな曲を選び、それを聴きながらイメージを膨らませ、7インチと12インチのブランクのレコードジャケットをキャンバスにして描いたシリーズを展示します。新作のシルクスクリーンポスターやハンカチなどもお披露目します。お楽しみに!初日はオカタオカも在廊しますよ~。

~~~~~ COMING SOON! ~~~~~

【EXHIBITION】10月24日(木)~ 11月10日(日) at ON READING店内
湯浅景子 作品集刊行記念巡回展 『Beside my Flowers / Within my Flowers』2024 – 2025

画家・湯浅景子による、小原流『挿花』の表紙画24点を収録した作品集『Beside my Flowers / Within my Flowers』(momogusa刊)の刊行を記念して、巡回展を開催します。

会場では、コラージュの技法を使った小作品をおよそ100点展示。作品集とともに限定販売いたします。

~~~~~

【EXHIBITION】11月2日(土)~ 11月17日(日)  at ON READING GALLERY
ミヤザキ個展「安心な寝床」  

ON READINGでは初となる、イラストレーター、アーティストのミヤザキによる個展を開催します。

対象となる事物を、シンプルで柔らかな線と造形で再解釈し描いたミヤザキの作品には、ユーモラスな親しみやすさが漂っています。本展では、今年から始めた油絵をメインに、新作のペインティング作品を発表します。

***

♪ Now Listening

 Fools / John Roseboro

ハイチ系アメリカ人シンガー・ソングライター、ジョン・ローズボロの2ndアルバム。清涼感溢れるチルなポスト・ボサノヴァ。とにかくアレンジが洒脱すぎる、センス良すぎる。Mei Semonesもゲスト参加。(義)

***

今日のところはこのあたりで。また来週~~!

無料で「NEWSLETTER FROM ON READING」をメールでお届けします。コンテンツを見逃さず、読者限定記事も受け取れます。

すでに登録済みの方は こちら